

掲載日:2009年12月10日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
VT1300CXを語る上で外せないもの、それは何と言っても個性的なスタイル。メーカーメイドとは思えないハイネックのフレームと絞り込まれたタンクをはじめとする刺激的なボディワークは、これがカスタムビルダーのマシンだと言っても気付かない人もいるだろう。これまでのホンダ製クルーザーを知っていれば、これがホンダだと言われてもにわかには信じられないほど大胆な造形であることも確かで、これまでお約束になっていたタンクのマークまで省かれており、HONDAロゴはサイドカバーに小さく入るのみ。バイクを美しく見せることにこだわった造形は非常に好感が持てる。そして、車両全体に配されたメッキパーツにも注目して欲しい。特にエンジンのメッキ加工は印象的で、巨大なピストンを内包するシリンダーヘッドがまるで鏡のような仕上がりになっており、ハイネックフレームよって作られた空間で美しさがより強調されている。これだけでも存在感たっぷりなのに、200サイズの極太タイヤや圧倒的に低い車高など、列挙していけばそれこそきりが無いほどだ。細部を見ればメーターやウインカー、ミラーなどもカスタムバイクの文法が積極的に取り入れられている。
実際街中での注目度も相当なもので、走っていて声を掛けられる回数はこれまで試乗インプレッションを行った車両の中でも断トツ。高速道路の料金所やガソリンスタンドはもちろん、交差点で並んだバイクからも話しかけられるほどで、外国の方からは「Beautiful Bike!」とサムアップされてしまうほど。あまりにも注目されるので、普段どおりスポーツバイク向けのライディングジャケットで乗っていることが、少し気恥ずかしくなってしまった。VT1300CXを乗りこなすなら、このスタイルに見合うファッションも必要になってくるかもしれない。それにしても、これだけの視線を集められるバイクは現状の国内ラインナップにおいて稀有な存在だ。北米のバイクシーンを沸かせたスタイルを、ほぼそのまま国内に持ってきたホンダの英断を賞賛したい。こういったこれまでのスタイルを打ち破るバイクの登場が、きっとシーンの流れを変えていくのだろう。VT1300CXを眺める度、そういう思いを抱いてやまない。
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