掲載日:2019年12月01日 プロが造るカスタム
取材協力/クオリティーワークス TEL 048-261-0262記事提供/ロードライダー編集部 ※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2018』に掲載された内容を再編集したものです。
1983年にケニー・ロバーツが駆った、YZR500(0W70)を再現したこのRZVで、誰もが最初に注目するのは、KuroKuro工房製のYZR=OW70タイプ外装と、手塚サイクルによるカスタムペイント(当時の姿を復刻したスポンサーロゴもワンオフ)だろう。全体の製作を担当したのはクオリティーワークスで、中身に同店ならではのノウハウが随所に注入されていることに注目したい。
「実はオーナーさんは、当初はリアまわり一式をYZF-R1用に換装するつもりだったのですが、RZVに180や190サイズのタイヤを履くと、ハンドリングが重くなるだけでいいことはないですから、ウチの定番の160をオススメしました。また、R1用のリアまわりを導入すると、リアサスがオーソドックスなリンク式になるという利点があります(RZVのリアサスは、ショックユニットをエンジン下の前後方向に水平に置く)が、それをやるとチャンバーや補器類のレイアウトが厳しくなるので、今回はあえてSTDの構成を維持しました」
そう語る同店・山下さんがリアにチョイスしたのは、1983YZRに近いルックスの1993RGV250Γ用スイングアームと、守備範囲が広いナイトロン製リアショック。なおフロントには、XJR400用パーツを多く使っている。
「XJR用を使った一番の理由は、サポートなしでブレンボ4Pキャリパーが装着できることですが、φ41mm正立フォーク+オフセット35mmのステムは、RZVとの相性がいいんです。レースをするのでなければ、RZVに過剰な剛性は必要ないと思います」(同)
製作期間は約2年。途中で店舗の引っ越しを挟んだとは言え、同店としては異例の長さだ。
「こういった車両は、製作途中でオーナーさんと相談する要素が多いですし、パーツも要加工なものがほとんどですから。例えばメーターは、限られたスペース内にどう収めるかで悩みましたし、チャンバーはJL製ベースですが、レプリカ度を高めるために後半部分を作り直しました。言わばこのRZVは、あらゆる部分に相当な手間がかかっているんですが、オーナーさんは仕上がったこのスタイルと、乗り味ともに絶賛してくれているので、ウチとしては非常にやりがいがある仕事だったと思いますよ」(山下さん)