取材協力/モリワキエンジニアリング  取材・文/淺倉 恵介  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2016年5月18日

大人気のプレミアムスーパースポーツバイク、カワサキニンジャH2用のバックステップがモリワキからリリースされた。開発を担当したのは同社のレースグループ。motoGPや全日本ロードレース選手権など、世界のトップカテゴリーのレースを戦ってきた“世界のモリワキ”の技術と魂が、最速マシン、ニンジャH2にインストールされている。

INTERVIEW

世界有数のコンストラクターが
本気で作り込んだステップキット

スーパーチャージャーを装備し、常識を覆す新しいコンセプトのスポーツバイクとして誕生したカワサキ『ニンジャ H2』。ハイパフォーマンスマシンでありながら、レース出場を考慮しないことでレギュレーションに囚われない自由な発想を手に入れ、レーシングマシンを頂点とする従来のスポーツバイクの概念を打ち壊し、新時代のスポーツバイクの姿を提示して見せた。

H2を構成するパーツは世界の一流品で固められている。それ故に車両価格も高価で、プレミアムバイクにカテゴライズされるモデル。だからと言ってガレージに飾っているのではなく、実際に走りを楽しむユーザーが多いのはH2の特色かもしれない。そんなアクティブなH2オーナーにこそ薦めたいパーツが、モリワキエンジニアリングから発売された。ニンジャH2用バックステップがそれだ。

モリワキと言えば、日本を代表するレーシングコンストラクターだ。古くからオリジナルフレームのレーシングマシンを手がけ、独自開発したmotoGPマシンMD211VFで大きな話題を呼んだのは記憶に新しい。moto2クラスのスタートに合わせて開発された専用フレームMD600は、同クラスの初代チャンピオンマシンに輝いている。現在は高橋裕紀選手をエースライダーに迎え、オリジナルマシンMD600で全日本J-GP2クラスやアジア選手権を席巻。数々のチャンピオンを獲得している。2016年、満を持しての全日本ロードレースの最高峰クラス、JSB1000復帰は大ニュースとなっている。

今回紹介しているH2用のバックステップは、そのモリワキのレースグループが開発を担当している。世界の最高峰で戦ってきた、現役のレーシングエンジニアが、モリワキのクオリティ、モリワキのフィロソフィをリアルに反映させて作り上げたステップなのだ。

全ての角に施された面取りも、一様ではなく三次元的な曲線を描く。もちろん、その角度や寸法には、モリワキならではのノウハウが込められている。精緻な仕上がりには溜息が出るほど。機能美とはこのステップのためにある言葉だ。

たとえばステップバーを見ると、滑り止めのローレット加工が施されているが、このローレット加工は部材を型に押し当てて凹凸を付ける転造式が一般的。だが、モリワキのH2用ステップのバーは、全て削り出し加工で形作られている。手間とコストのかかる削り出し加工を選んでいることには、当然理由がある。凹凸部分のエッジを鋭く立てているため、ステップバー自体がブーツのソールに食い込み、ホールド性を向上させているのだ。

また、ローレットのパターンにも工夫が凝らされている。一般的なローレットはパターンが均一だが、このH2用バックステップでは、バーの根元のブロックは大きく、先端に行くに従いブロックが小さくなる変則パターンを採用。これはモリワキMD600にも採用されているデザインで、操作性とホールド性を追求した形なのだ。

フレームのグリーンの塗装色に合わせたメタリックグリーン仕上げもラインナップされる。マシン全体をトータルコーディネイトするカスタマイズが楽しめる。

シフトペダルの軸受けにはボールベアリングを装備。フリクションの少なさで操作性に優れるボールベアリングだが、塵芥や水分が侵入すると逆に抵抗が増えるというデメリットもある。本来持つ高い性能を発揮させるためには、メンテナンスが必須なためレース用パーツと考えるべきだが、モリワキではストリート対応品のH2用バックステップに、あえて採用した。ハイエンドモーターサイクルたるH2には、考え得る最高のパーツを用意すべきだ、との考えによるものだ。

構造から細部の意匠に至るまで、モリワキのレーシングテクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれたバックステップ。世界レベルの性能と品質を市販パーツとして入手できる幸運。その走りを体感できる喜び。H2オーナーは幸福と言う他ない。

ポジションは可変4ポジションを採用し、様々な体型とライディングスタイルにマッチ。ニンジャH2に標準装備されるKQS(カワサキクイックシフター)に対応する。

PICKUP PRODUCTS

全てはライダーが思うままに
マシンをコントロールするために

モリワキのニンジャH2用バックステップは、多くのライダーが楽しめるように設計されたカスタムパーツだが、細部に渡りモリワキのレーシングテクノロジーが息づいている。ポジション設定は、純正ステップのライディングポジションを大きく崩すことはないが、ライダー個々に合わせた微妙なアジャストが可能な4ポジション可変タイプ。構成パーツのほとんどは、CNCマシニング削り出しで製作されており、精度は非常に高い。また、全体的に高剛性化が図られているため、ライダーの操作を確実に、繊細にマシンへ伝える。そのコントロール性の高さこそ、モリワキのニンジャH2用ステップの本領なのだ。さらにモリワキでは、ステップだけでなくニンジャH2用パーツもラインナップ。スリップオンマフラーもそのひとつ。エキゾーストパイプ部は軽量なチタン製で、スタイリッシュな専用カーボンヒートガードも付属する。

01MORIWAKI BACK STEP KIT for Kawasaki Ninja H2 メタリックグリーン
価格6万8,000円(税抜)

02MORIWAKI BACK STEP KIT for Kawasaki Ninja H2 ガンメタ
価格6万8,000円(税抜)

03ステップバーに刻まれたローレットは削り出し製。先端に向かってパターンが細かくなるデザインは、モリワキのオリジナルレーサーMD600にも採用されているもので、マシンを確実にホールドする。

04ペダル類の軸受けにはボールベアリングを採用。スムーズで繊細なマシンコントロールを実現している。

05ステップバーの位置は、ノーマルポジション、0mmアップ/10mmバック、10mmアップ/0mmバック、10mmアップ/10mmバックの4ポジションから選択可能。

06MORIWAKI MXR S/O WT for Kawasaki Ninja H2Ninja 価格19万円(税抜)
仕様 ■重量=2.8kg ■材質=Ti サイレンサーカバー ■排気音量=近接92db/加速81db ■政府認証マフラー(東南アジアモデル) ■製品2年保証

07MORIWAKI MXR S/O BP for Kawasaki Ninja H2 価格19万円(税抜)
仕様 ■重量=3.2kg ■材質=SUS サイレンサーカバー ■排気音量=近接92db/加速81db ■政府認証マフラー(東南アジアモデル) ■製品2年保証

08ニンジャH2用スリップオンマフラーに使用されているサイレンサーは、全日本ロードレース選手権J-GP2クラスのチャンピオンマシン、モリワキMD600と同じデザインを採用。サイレンサーカバーは、ホワイトチタン(WT)と精悍なブラック仕上げのブラックパール(BP)から選択できる。

BRAND INFORMATION

株式会社
モリワキエンジニアリング
住所/三重県鈴鹿市住吉町6656-5
電話/059-370-0090(営業)
FAX/059-370-0152(営業)
営業時間/09:00-18:00
定休日/土曜、日曜
1973年創業。マフラーやステップといったパーツだけでなく、エンジンチューニングパーツやオリジナルフレームまでラインナップする総合パーツメーカー。代表を務める森脇護氏は、チューナーとしての高い評価はもちろん、ライダーを見る目も確かで、世界GP500ccクラスチャンピオン、ワイン・ガードナーをはじめ多くの名ライダーを見い出している。