型にはまらず躍進するバイクショップ「ジェイ・ピートレーディング」の魅力と活動に迫る
取材協力/ジェイ・ピートレーディング  取材・文/櫻井 伸樹  写真・構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2014年7月11日
最近注目されている70年代の旧車や、トライクを得意とするバイクショップがジェイ・ピートレーディング。まだまだ一般的とは言えないトライクの魅力や、同社が行なっているバイク認知度の普及活動など、一般のバイクショップとは少し違うグローバルな話を広いショールームでうかがった。

INTERVIEW

旧車、トライク、災害支援
多岐に渡るバイク普及活動

埼玉県川口市を通る国道122号線沿いに店舗を構えるジェイ・ピートレーディング。その巨大なショールームには、カスタムされたハーレーや綺麗に整備された国産旧車などがずらりと並び、道行くライダーの目を引く。

 

中でも特に注目を集めるのが、ハーレーやゴールドウイング、V-MAXを3輪仕様にしたカスタムトライクだ。トライクといえば最近ではハーレーダビッドソンが純正モデルを発表し話題となったが、正直今の日本ではまだまだ普及しているとは言えない。そんな実状も含め、ジェイ・ピートレーディングの展開について代表の五十嵐隆博さんにうかがった。

 

「弊社はもともと4輪の販売を行なっていたんですが、バイクが好きだったということもあって15年前からバイクも扱うようになりました。でも普通のバイクじゃつまらないし、なにより70年代の旧車が好きだったので、旧車のレストアをメインにするようになったんです。しかし8年前にトライクに出会って、直感的に魅力を感じ、取り扱うようになりました。トライクの世界はまだまだ発展途上なので、うちでも試行錯誤の日々です。それでもV-MAXのトライクに関しては弊社ならではのこだわりや独自のシステムを開発して今の完成形に至っています。日本で走るために、日本の道に合わせたものができたと自負していますね」

 

もちろん、同店ではトライクばかりでなく、国産車やパンやナックルなどの古いハーレーのレストアなども手がけている。整備や修理は経験豊富な元BMWやハーレーのメカニックが行ない、実績も十二分にあるという。

 

「そういった販売や修理、開発を行なっていく一方で、実はバイクを通じた災害支援にも力を入れていて、例えばフィリピンの台風による被災地にバイクで支援物資を届けたり、日本では宮城の自治体や行政と提携して、東日本大震災の際にガソリンを満タンにした原付を1万円で奉仕販売する活動を行なうなど、多くの方にバイクの魅力、利便性を訴える活動も行なっているんです」。

 

ジェイ・ピートレーディングは埼玉県川口市の本社にて車両の販売、修理を行なっているが、他にも宮城とフィリピンにも支店を展開している。トライクに関しては首都圏である川口市よりも、道や敷地の広い東北エリアのほうが大柄なトライクの魅力をより味わえると好評な様子。またトライクの修理やメンテナンスを行なう店舗も少ないため、東北トライクオーナーの駆け込み寺的存在として慕われているという。

 

一方、五十嵐社長は価格の高価なトライクをもっと安く日本で提供できないかと考え、人件費の安い海外工場を開拓。フィリピンに店舗を作り、人材を育成し日本に輸入する活動も行なっているわけだが、こちらも現地で人気に火が着き、今ではイベントを主催すれば500台ものトライクが集まる人気ぶり。

 

国産旧車や古いハーレーのレストアに加え、このようにトライクの開発・販売、さらに被災地への支援活動など、ジェイ・ピートレーディングは一般のバイク屋とは一味も二味も違う、グローバルで精力的でバイクの可能性を未来へとつなげる活動を具体的に推し進める、型にはまらない企業なのである。

PICKUP SERVICE

独自の技術がふんだんに盛り込まれた
JPのこだわりがV-MAXトライクだ

ジェイ・ピートレーディングが得意とするV-MAXのカスタム例。エンジンや車体は基本的にノーマルのままだが、やはり大きく違うのは駆動のデファレンシャル部分。この駆動部はトライクにとって一番の要であり、ここが強度不足により故障するトラブルが多いという。同社ではアメ車の強大なパワーやトルクにも耐える車用のパーツを独自に改良して装着することでその不安を解消。パワフルでダイナミックな走りを実現している。

 

この車両のもうひとつの魅力が機械式バックギアの搭載。通常のトライクはモーターによる電動バックギアの採用が多いが、このV-MAXは機械的にギアを反転させる構造で、前進5速がそのまま後進5速になるため、非常にパワフルなのだ。

 

またブレーキには強力なストッピングパワーを発揮するディスクブレーキを採用。これもトライクとしては数少ないジェイ・ピートレーディングならではの仕様と言える。

 

車イスも格納できる大容量
新設計トライクユニット誕生

カスタムの先に見えてくる新しい価値を見つけ、具現化していくのもジェイ・ピートレーディングのカスタムスタイル。現在開発中のFRP製の新しいトライクユニットは、とにかく大容量のラケッジルームが特徴だ。クルマのトランクと同様に、ショックアブソーバーで開閉するトランクには、車イスを収納することもできるというこからオドロキだ。

 

それだけの大容量を確保しながらも、曲線を基調とした新デザインのフォルムが見た目の大きさを抑制。実用性と洗練されたスタイルの両立を見事に成し遂げているトライクユニットとなる。

 

完全国内生産のこのユニットは、制作時にライダーの要望を取り入れたオリジナルデザインに変更することも可能な「セミワンオフ」といえる商品。そのため単体販売を行う予定はないという。なお、本ユニットの受注開始は2014年8月からとなっている。

高い技術力が可能にする
魅惑のフルレストアモデル

トライク同様にジェイ・ピートレーディングが力を入れているのが旧車のレストア。これらは業者向けオークションをはじめ、地方で眠っていたベース車両を買い付け、自社工場にて時間をかけてフルレストアするこだわりよう。整備やレストアをするのは、国産車ディーラーはもとより、BMWやハーレーでも修行を積んできた手練のメカニックたち。

 

国産車はカワサキのZ系やマッハ、ホンダCBといった往年の名車に加え、ショベルはもちろん、パン、ナックル、サイドバルブなどの古いハーレーダビッドソンもその対象となる。これまでには陸王のレストアも数台行なったというから、整備力、修理技術、レストア知識がそろってこそ成せる体制といえよう。

 

またフィリピン工場のスタッフも長年の育成の末、技術力が飛躍しており、トライクの製作や整備においては日本に引けを取らないほどのレベルだという。

 

人件費が安いだけに車両価格を低く抑えることができ、そのうえでしっかりとした造りの車両が入手できるのだからユーザーにとっては非常に魅力的だ。

PICKUP PRODUCTS

まだまだあるぞ
ジェイ・ピートレーディングの魅力の車両たち

上記の車両はほんの1例。ジェイ・ピートレーディング店舗には、その技術力をふんだんに発揮した車両が並んでいる。なお、今回はトライクを中心に取材時の展示車両を紹介しているが、実は展示車両は取り扱い車両のごく一部なのだ。旧車・希少車などは同社の予約販売システムを介して、多くの車両が告知等をする前に売れてしまうという。その販売台数はハイシーズンならば月に100台に達すこともあるというから、オドロキだ。個人で探すことが難しいモデルなどは、ぜひ相談してみてほしい。

 

SHOP INFORMATION

株式会社 ジェイ・ピートレーディング

【本社】
住所/埼玉県川口市西新井宿911-1 2F
TEL/048-280-0007
FAX/048-280-0008

【宮城支店】
住所/宮城県栗原市築館沢入74-4
TEL/0228-23-0770
FAX/0228-23-0880

【海外オフィス】
住所/lot 1 block 20 Vista Pueblo townhouse woolbright street beverly hills lahug Cebe City Phils
TEL/+63-238-1319

ジェイピートレーディングは埼玉県川口市の国道122号線沿いに広々としたショールームを展開している。ちょうど東京外環道と首都高川口線の交わるあたりで、新井宿インターからはわずか5分ほどの立地のため、都内からのアクセスは非常に良好。店舗にはトライクから70年台の旧車までがずらりと並んでいる。迫力のトライクを間近で見てみたい場合はもちろん、カスタムの相談、旧車の修理、トラブルなどで悩んでいる場合も気軽に訪ねてみてはどうだろう。経験と知識の豊富なスタッフが、親身になって相談にのってくれるぞ。