取材協力/有限会社山崎技研工業(ALCANhands)  取材・撮影・文/櫻井伸樹 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2013年11月21日


バイク用のグリップで、今、爆発的に売れている製品がある。パーツメーカー・アルキャンハンズがリリースする「アイグリップ」がそれだ。

ドレスアップ目的が多いグリップにおいて、デザインではなく素材や機能を追及して作られたこの製品は、どのようにして開発されたのか。

大阪・堺にある本社にて生みの親を訪ねた。

BRAND HISTORY

職人と使用者の意見を
融合させることがヒットの要因?

バイクのハンドルグリップは、めったに換えるパーツではない。ドレスアップに興味のないライダーにとっては、すり減ったら交換を考える程度だろう。しかしよく考えてみれば、グリップはライダーと車体を直接つなぐ重要なパーツであることに気付く。

 

そんなグリップでバイクブロスのネット販売において、好調に販売数を伸ばしているのが、アイグリップ(I Grip)を始めとするアルキャンハンズのグリップシリーズだ。多い日は1日40セット、年間で15,000セットも出るという同社のグリップが、今、なぜ売れているのか。そしてこれらのグリップはどのようにして生まれたのか。取締役専務を努める山崎利博氏と営業の松本智志氏に、メーカーの歴史やグリップ誕生の経緯をうかがった。

 

山崎「もともとうちは鉄製マフラーにメッキ加工をする前段階として、マフラー本体を研磨し下地を作る会社だったんです。その経験を活かし、1980年代なかばにはマフラーやハンドル、ワイヤーといった自社製品を作り始め、やがては自社ブランドを世に広めようということで98年にアルキャンハンズがスタートしたんです」

 

山崎「基本は金属加工なので、金ものが得意だったんですがハンドル、ワイヤーときたら次はグリップやろ、ということで2006年ごろからグリップを始めました。でも開発にあたって世の中のさまざまなグリップを調べたんですが、なかなか機能的なグリップって無かったんです。グリップは滑らないことが大切で、当時、滑らないグリップもありましたが、なぜ滑らないのかを謳っていないんですね。私はずっと現場畑で、ユーザーというよりも製作側の職人として考えてしまいます。ですからゴムの成分配合やカッティングなどを徹底して研究し、来る日も来る日もテストと金型の修正を繰り返した末に、今の主力製品であるアイグリップを完成させたんです」

アルキャンハンズはもともとマフラーの下地処理を行なう企業。現在でもこの道50年の職人がこうして火花を散らしている。

アイグリップが誕生したのは06年のこと。発売からすでに7年が経過しているが、市場に多く出回るようになったのはここ数年だ。ではなぜ急に市場が動き始めたのか。

 

山崎「おそらくネット通販が普及したためだと思いますね。発売当初は販売店に直接営業しましたが、どこも『普通だね』と、いい印象はありませんでした。しかしネットだと、卸業者や販売店と違い、ユーザーがダイレクトにレビューやブログで紹介してくれるわけです。そんな口コミが広まったのかなぁ、と。ネット通販は有名も無名も関係なく『気に入ったら買う』という一面もありますから、アイグリップのみならず、うちのようなちょっと変わったラインナップがお客さんの目に止まった、ということもあるでしょう」

 

山崎氏が職人的目線で製品を開発する一方で、同社ホームページの企業理念には「声なき声に耳をかたむけ、時代のニーズに応えること」の一文がある。これはユーザーの意見を取り入れ、商品を開発するこということだ。

考え方はバリバリ職人だが、終始柔和で優しい口調の専務・山崎氏(左)。営業・松本氏(右)はバイク乗りの観点で商品を開発し、販売店やユーザーの声も聞く腕利き開発者兼営業マンだ。

松本「だから僕のような実際にバイクに乗れていじれる人材が必要なんです。山崎専務が製造側の職人なら、僕は使う側の目線で開発します。でも自分の意見ばかりでなく、お客さんの意見も大切。だから年に10回ぐらいは販売店のイベントに参加して、お客さんと触れ合う機会を設けているんです」

 

松本「しかしユーザーには想像できない、一歩進んだ面白い製品も開発したいんですよね。お客さんをアッと驚かせたい。商品開発ではお客さんの声、僕の考え、山崎専務の意見を戦わせるんですが、それが大事なんですね。職人とユーザーの意見をいかにうまく融合させるか。そんな柔軟な開発が大切なんじゃないかと思っています」

 

職人と使用者。一般的な職人とは、頑なに自分の意思を押し通し、その一徹なところに使用者が惚れこむ、というイメージだ。しかし時代の流れを読み、使用者の意見を取り入れ、守るべきポイントは徹底する。今の時代、そんな柔軟な姿勢の職人こそが生き残り、さらにヒット製品を生み出すのかもしれない。アルキャンハンズの製品が売れている要因は、ネット通販ばかりでなく、そんな血の通った開発者達の柔軟な情熱のぶつけ合いにありそうだ。

これはディアマンテのイメージデザイン図。各製品は山崎氏のイメージからこのようにイラスト化され、具体的な数値や素材などが決まり、サンプルを何度もテストするなど、長い道のりを経て生み出されていく。

PICK-UP PRODUCTS

機能重視から遊び心にあふれたものまで
豊富で楽しいラインナップが魅力

アルキャンハンズのグリップシリーズで爆発的な売れ行きをみせるのが『アイグリップ』。一見すると、多数の横スリットが入ったシンプルなものだが、実際にこのグリップが装着されたハンドルを握ると、その溝が掌に食い込み、吸い付くような粘っこい感触で、グリップ感は上々。細部を見るとスリット幅が部位によって違ったり、表面にエンボス加工が施されるなど、細かい作りこみが見え、その徹底した機能の追及を垣間見ることができる。これで1,680円ならかなりお買い得だ。同社ではこの他にも砲弾型の「デリンジャー」、ヒネリの入った「ドレープ」、木製の樽型グリップ「オドロ木」など奇想天外ともいえるグリップを多数ラインナップ! 換えるだけで操作感や気分までも一新してくれるこれらのグリップを、アナタの愛車でもぜひ試してほしい。

 

主力製品であるアイグリップはロゴやポイントカラーが6色展開。どこかメカメカしいデザインのためネイキッドやSS系、モタードなどと相性抜群だ。1,680円

タル型のゴムグリップはあるが、本物の木製樽はないよね、ということで作ってしまった木製グリップ「オドロ木」。その斬新な発想にこちらがオドロキだ。3,990円

表面にクロコダイル柄のフェイクレザーを貼ったその名も『クロコダイル ブラウン』。こんな発想を実現する実行力に脱帽。なんともゴージャスだ。2,625円

この砲弾形状が握りやすく、どこか懐かしい雰囲気の『デリンジャー』。SRやWといったトラディショナル系からクルーザー、スクーターまで、装着するだけでカスタム度大幅アップ!1,680円

まるで通常のグリップを溶かして中央だけ捻ったような美しい捻り形状を見せるのが『ドレープ』。見た目だけでなく手にフィットし、高いグリップ力を発揮する。機能とデザインを備えた逸品。2,940円

ダイヤモンド型のボコボコがなんとも奇抜な印象のディアマンテシリーズ。ちょいワルなルックスもいいが、この凹凸がグリップを高め、握り心地も良好だ。ライトブラウン、ホワイト、ブラックの3色が揃う。2,625円

美しいアルミグリップにラバーを巻いたマージシリーズは、ラインナップ中でも特に高級感溢れたグリップで、カスタムでは必需のアイテム。滑りにくいラバーの採用で実用面でもクラスアップ! アルミ部分がシルバー、ブルー、レッド、ブラックの4色で展開。2,940円

ピンク、ホワイト、ブラックのグリップの中で妖精達が舞う。ファンタジックでキュートなカスタムモデル。左右のアルミリングがゴージャス感を更に引き立てる、非貫通式のグリップだ。1,890円

アルミハンドルに和柄の草花を大胆にデザインしたミヤビシリーズは、女性ライダーに好評。バイクへと装着するだけでゴージャスでオリジナリティ溢れるルックスへ。シックなブラウンと、キュートなピンクをラインナップ。2,835円

10スクーターやクルーザー系のカスタムに欠かせないアルミグリップシリーズはダイヤ、レール、Oリング、ローレットの4種類をラインナップ。φ22.2mmとφ25.4mmの2サイズあるためハーレーから国産まで装着可能だ。ダイヤ4,935円、ブラックダイヤ5,250円、レール4,935円、ブラックレール5,250円、Oリング6,300円(φ25.4のみ)、ローレット8,400円Oリング6,300円(φ25.4のみ)

11アルキャンハンズがグリップと共に力を入れているのがLEDウインカー。LED特有のシャープな点滅と高輝度LEDにより視認性が大幅にアップ。LEDウインカー/リーフ/ブラック/クリア 4,620円


※価格は2013年11月現在の税込み価格です

BRAND INFORMATION

ALCANhands(アルキャンハンズ)

アルキャンハンズ本社は大阪の堺市西区にある。堺のこの一帯はもともと自転車が地場産業であるため、今でも金属加工の町工場が多い。アルキャンハンズの製品は、まさに職人の町から生まれる逸品なのだ。

 

住所/〒593-8312 大阪府堺市西区草部734-9
電話/072-271-6821
WEBサイト/http://alcanhands.co.jp/