シーゲッツが販売している乗り物は、スノーモービル、ジェットスキー、バギー、3輪ビークルと様々だ。もともとジェットスキーの選手として活躍していた西本氏だが、3輪もスタートさせることになったのは、カンナムスパイダーのメーカーであるBRP社に惚れ込んだからだという。以来、現在に至るまで20年以上もBRP社に携わってきた。
「日本では“BRP社ってどこのメーカー?”という質問がとても多いんですよ。BRPは数年前まで『ボンバルディア』という社名でした。飛行機が好きな人ならピンと来るでしょう。アメリカではボンバルディアを知らない人はいないくらい認知度の高い、カナダの会社なんですよね」
飛行機や列車を製造する歴史ある会社で、マシンにはロータックスエンジンを積んでいる。これはBMWやビューエル、ハスクバーナ、アプリリアなどにも供給されているエンジンだ。特筆すべき点は、このロータックスというのがBRP社の製品であるということ。上記に挙げたメーカーはBRP社からエンジンを買っているが、ロータックスエンジンがBRP社のブランドだというのはあまり知られていない。
「日本に上陸したのは2014年。一度乗ってしまったら病みつきになってしまう面白さがあるのがカンナムスパイダーなんです」
3輪を総称して“トライク”と呼ばれているが、スパイダーは、正確には“リバーストライク”と言う。フロント1輪、リア2輪というのもあるが、西本氏によるとまったくの別物だという。
「普通のトライクはコーナースピードが遅いんです。それにリアが2輪だとお尻を気にしないといけないが、1輪なら内輪差が無い。でもこの謳い文句だけじゃないのがスパイダーなんです(笑)。安心なのはもちろんだけど、乗っていて楽しいんですよ。フェラーリやランボルギーニにも採用されているシーケンシャルクラッチでスポーティな動きをするんですよ。スポーツカーが好きな若い人もお客さんに多いんです。僕自身もスポーツカーを乗ってきましたが、街中だとスパイダーのほうが面白いし気軽。目の前に原付とスパイダーがあったら、スパイダーを選ぶぐらいですから。ヘルメットも被らなくいいし、冬でも雨や雪が降っていなければ軽装でも大丈夫です。スノーモービルのメーカーなので、標準でいいグリップヒーターが付いていたり、ボディデザインの特性上、空力が働いて風を受けにくかったり…。色んな点で優れていると思います」
シーゲッツの客層は様々だ。海や雪に親しむ人もいれば、3輪に興味を持つ新規ユーザーも多い。大型のクルーザーバイクと迷って訪れる人も多いという。
「いつかは乗りたいバイクってあるじゃないですか。例えばハーレー。ゆったりとしたポジションでどっしりとした車格。とても理想的なバイクです。もしまだ乗ったことがなくてスパイダーと迷われているお客様がいれば、間違いなくハーレーを勧めます。僕自身も3台持っています。スパイダーは一時的に販売しているのでなく、ずっと販売しているので、また興味が湧いたら乗ってみて下さい、ってね。乗ったら虜にする自信があるので、バイクとの比較もしてもらいたいんです」
西本氏はカンナムスパイダーが2007年にカナダで発表されて以来、アメリカで行われるスパイダーミーティングに毎年参加し、知識や遊び方を蓄積してきた。マシンのポテンシャルを知っているからこそ、色んな人に乗って楽しんでもらいたいと願っている。
「BRP社は国内メーカーに比べて10年は進んでいます。この間のBRP本社の社長のスピーチでは“どこのメーカーも節約モードに入っている。しかし我が社では開発に今まで以上にお金を使う”と言ったんです。こういう所ですね。僕がBRP社が好きなところは。圧倒的なパワーにユニークなマシン。試乗して多くの人に実感してもらいたいですね」
オーナーさんが気軽にコーヒーを飲みに来ることができる店を目指してオープンさせたBRPのショールーム。1階は陸で遊ぶカンナムスパイダーやバギーが展示されており、2階は水上で遊ぶジェットスキーや、それに付随するギアやウェアも展示。ジェットスキーは年間100台は売れているという好調っぷり。カンナムスパイダーは2014年に日本へ上陸したばかりでまだまだ認知度は低いものの、感度の高いユーザーは媒体での宣伝もあってか、興味を示す人も増えてきているという。「5分や10分乗っただけでは分かりにくいですが、1時間も乗ってもらうと、スポーティな走りに魅了されると思います。3輪ならではの安心感と、それだけじゃないポテンシャルを秘めているから、多くのユーザーさんに満足してもらえると思っています」
Sea Gets
住所/愛知県尾張旭市狩宿町4-16-1
TEL/0561-52-5600
FAX/0561-52-5631
営業/10:00-20:00
定休/火曜
URL/公式ウェブサイトはこちら