キャブレターパーツ一筋に70年!安心の高クオリティーをリーズナブルに提供
    取材協力/岸田精密工業 取材・撮影・文/木村 圭吾 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
    掲載日:2012年02月24日

主力商品はパッケージングされた「燃調キット」"

キャブの修理や調整に必要となるジェット類やガスケットがパッケージされたKEYSTERブランドの燃調キット。パイロットジェットが3サイズ、メインジェットが6サイズ、ジェットニードルが4サイズとセッティングに必要なパーツが豊富になっているのが特色だ。

キャブの修理や調整に必要となるジェット類やガスケットがパッケージされたKEYSTERブランドの燃調キット。パイロットジェットが3サイズ、メインジェットが6サイズ、ジェットニードルが4サイズとセッティングに必要なパーツが豊富になっているのが特色だ。

1941年(昭和16年)の創業からキャブレターの内部パーツの製造・販売を行っている岸田精密工業。以来、71年に渡ってキャブパーツの自社生産を継続し、現在に至っている。同社製品は「KEYSTER」のブランドで広く知られており、その高い精度と品質で日本国内はもとより、海外市場においても絶大な信頼性を得ているのだ。

 

そんなKEYSTERの日本国内における主力商品が「燃調キット」だ。これはキャブレターのセッティングに必要となる各種のジェット類やガスケットなどが、車種やキャブレターごとにパッケージされたもの。それも、メーカー出荷時のデータを基準にリーン(薄い)、リッチ(濃い)のいずれにも振ることが可能になっているというスグレモノ。つまり、このキットを購入すれば、キャブのリペアはもちろん、セッティングに必要なパーツが一通り揃ってしまうというわけだ。

 

さらに、バイクのキャブは同メーカーの同一モデルでも、年代によってキャブの種類や口径が異なる場合も多いが、KEYSTERは、それらのマイナーチェンジにも柔軟に対応している。そうして増えていった燃調キットは現在1200種類ほどラインアップされており、今後も拡大が予定されているという。

 

ライダーのニーズに細やかに対応する豊富なバリエーションに加え、それをリーズナブルな価格で提供してくれるのも特筆すべき点だ。キャブレター1基分が、なんと3,150円(税込み)なのである。安心の純国産であり、精度や品質の高さも純正を凌ぐといっても過言ではないKEYSTERのキャブレターパーツ。それは長年に渡りキャブレターパーツに携わってきた、岸田精密工業の自信作でもあるのだ。

岸田精密工業株式会社

1941年に創業されてから二輪・四輪のキャブレターパーツを専門に取り扱っている岸田精密工業。国内外において「KEYSTER」のブランドで展開し、その信頼性は高い。

住所/兵庫県尼崎市元浜町4丁目85-1

電話/06-6411-4001

キャブパーツの製作模様を見てみよう

燃調キットの主要なパーツとなる削り出しの各種ジェット類や同梱されるガスケットは、社内で一貫して製造されている。だからこそ、安心の高いクオリティーとリーズナブルな価格を両立できるといえる。ここでは、その製造などの様子を見てみよう。

 

削り出しの行程

各種のジェット類などの素材として多く使われるのが真鍮(しんちゅう)。その理由は加工時の熱膨張が少なく、柔らかいため万が一の際にキャブ本体を傷め難いから。

メインの素材は真鍮

“各種のジェット類などの素材として多く使われるのが真鍮(しんちゅう)。その理由は加工時の熱膨張が少なく、柔らかいため万が一の際にキャブ本体を傷め難いから。

1階の工場には、削り出しを行うNC旋盤が約20台設置されており、その片隅には素材となる真鍮やステンレスの棒材が太さに分けられて整然と並べられている。

NC旋盤は約20台

1階の工場には、削り出しを行うNC旋盤が約20台設置されており、その片隅には素材となる真鍮やステンレスの棒材が太さに分けられて整然と並べられている。

ジェットニードルを削り出すために、真鍮の丸棒をNC旋盤にセットする。ホース状の物は、切削油などを素材に流すための物だ。セットが完了したらNC旋盤の蓋を閉じる。

素材をセット→切削へ

ジェットニードルを削り出すために、真鍮の丸棒をNC旋盤にセットする。ホース状の物は、切削油などを素材に流すための物だ。セットが完了したらNC旋盤の蓋を閉じる。

NC旋盤の蓋を閉じて約1分、削り出されたジェットニードルが排出される。掛かる時間は異なるが、その他のメインジェットなどの削り物も同じ手順で製作される。

ジェットニードルの完成

NC旋盤の蓋を閉じて約1分、削り出されたジェットニードルが排出される。掛かる時間は異なるが、その他のメインジェットなどの削り物も同じ手順で製作される。

ニードルバルブの組み立て

NC旋盤で削り出されたニードルバルブのケース(ボディ)は外注でメッキ加工が施される。画像だとスケール感が解りにくいが、その長さは1円玉の直径よりも短い。

ケース(ボディ)

NC旋盤で削り出されたニードルバルブのケース(ボディ)は外注でメッキ加工が施される。画像だとスケール感が解りにくいが、その長さは1円玉の直径よりも短い。

ニードルバルブのケースの先端に円錐状のゴムを装着する。このニードルバルブは岸田精密工業が独自に開発し、特許をも取得した耐アルコールの「AAニードル」だ。

ゴムを装着

ニードルバルブのケースの先端に円錐状のゴムを装着する。このニードルバルブは岸田精密工業が独自に開発し、特許をも取得した耐アルコールの「AAニードル」だ。

ケース内にスプリング、ピンを入れて最後に専用の機械でカシメてニードルバルブの完成。カシメ作業は1つ1つ手作業で行われている。器具には様々な大きさがある。

ニードルバルブのカシメ

ケース内にスプリング、ピンを入れて最後に専用の機械でカシメてニードルバルブの完成。カシメ作業は1つ1つ手作業で行われている。器具には様々な大きさがある。

カシメが終わり、完成したニードルバルブ。耐アルコール性となのは、燃料にガソリンだけではなく、バイオエタノールまでの使用することまでを視野に入れたためだ。

ニードルバルブの完成

カシメが終わり、完成したニードルバルブ。耐アルコール性なのは、燃料にガソリンだけではなく、バイオエタノールまでの使用することまでを視野に入れたためだ。

ガスケットの製作工程

ガスケットは板状の紙質等の素材から作られる。もちろん耐ガソリン性のある物で、工場内にはさまざまな厚みや組成違いが用意されて幅広い車種に対応している。

素材

ガスケットは板状の紙質等の素材から作られる。もちろん耐ガソリン性のある物で、工場内にはさまざまな厚みや組成違いが用意されて幅広い車種に対応している。

機械にガスケットを打ち抜くための「刃」をセットし、板状の素材をプレスすることで製作していく。打ち抜かれると素材が奥に送られて、次々とガスケットが作られていく。

打ち抜き

機械にガスケットを打ち抜くための「刃」をセットし、板状の素材をプレスすることで製作していく。打ち抜かれると素材が奥に送られて、次々とガスケットが作られていく。

打ち抜くための「刃」と打ち抜かれたガスケット。この刃は1970年以降の物が全て社内に保管されており、必要であればいつでも生産が可能なシステムになっている。

刃とガスケット

打ち抜くための「刃」と打ち抜かれたガスケット。この刃は1970年以降の物が全て社内に保管されており、必要であればいつでも生産が可能なシステムになっている。

ピッキングと測定

製作されたジェット類やガスケット類は、工場の上の階に集められ、それぞれ棚のラックに入れられて、部品番号で管理されている。おびただしい数で圧巻だ。

管理は部品の状態で。

製作されたジェット類やガスケット類は、工場の上の階に集められ、それぞれ棚のラックに入れられて、部品番号で管理されている。おびただしい数で圧巻だ。

燃調キットはセットされた状態で保管ではなく、必要に応じてラックからピックアップしてパッケージングし出荷されている。手前の積み上げられた紙箱は輸出向けだ。

パッケージング

燃調キットはセットされた状態で保管ではなく、必要に応じてラックからピックアップしてパッケージングし出荷されている。手前の積み上げられた紙箱は輸出向けだ。

削り物は“試削”の段階で図面通りの寸法かを測定して確認、問題が無ければ量産に移る。手前は針の形状と数値などの計測器で、奥は形状を見る投影機だ。

形状の測定

削り物は“試削”の段階で図面通りの寸法かを測定して確認、問題が無ければ量産に移る。手前は針の形状と数値などの計測器で、奥は形状を見る投影機だ。

こちらは削り出しのパーツに開けられた穴の大きさを測定するピンゲージだ。0,01mm刻みで、0.2mmから3mmまでがあり、図面通りの寸法になっているかの確認を行う。

穴を測るピンゲージ

こちらは削り出しのパーツに開けられた穴の大きさを測定するピンゲージだ。0,01mm刻みで、0.2mmから3mmまでがあり、図面通りの寸法になっているかの確認を行う。

メーカー適合車種を検索する

※岸田精密工業のサイトでは、メーカー&排気量別にモデル型式で「燃調キット」を探すことができる。