■SPECIFICATIONS エンジン=水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ ボア&ストローク=52×58.6 mm 最大出力=N/A 最大トルク=N/A 全長×全幅×全高=2,015 × 660 × 1,065mm ホイールベース=1,355mm シート高=818 mm 車両総重量=138 kg 価格=460,950円 |
フォルムが示すYZF-Rの血統
フルサイズシャシーによる余裕の走り
ヤマハの誇るスーパースポーツバイク、YZF-Rシリーズの最小排気量車であるYZF-R125。鋭角的なフォルムは、兄貴分であるYZF-R6とイメージを共有する。シャープなスタイリングと同様に、ライディングポジションもスパルタン。だが125ccクラスとしては車体がとても大きいため、成人男性が乗っても窮屈さは感じないだろう。YZF-R125に跨がって受ける印象は、ビッグバイクのスーパースポーツに近いものがある。所有満足度と、アピール度の高さは抜群だ。
この車体の大きさこそがYZF-R125のキャラクター。ルックスはもちろん、走りの面でも大きなファクターとなっている。大柄なシャシーは高い直進安定性を生み出し、高速域のクルーズ性能のレベルは高い。ハンドリングにも手応えがあり、乗り味は125ccらしからぬ重厚感がある。
コーナリングでは一次旋回がスパっと決まるところが気持ち良い。二次旋回は、一次旋回に比べ弱めなので、コーナーでは向き変えが終了したらマシンを起こし素早く加速体制に入るのがお薦めだ。サスペンションは柔らかめの設定で、前後共によく動く。ただし、フロントフォークは動き過ぎる傾向があり、個人的にはもう少しフォークのダンピングを強めたいと感じた。だがこれは、サスペンションが柔らかいおかげでピッチングが発生しやすく、簡単にコーナリングのきっかけが掴めるというメリットに繋がっている部分でもある。
エンジンの完成度も高い。トルク特性がフラットなので、それほどスロットルを開けていないつもりでも、スピードメーターを見ると思ったより車速が出ている。そこから意識して開けていき、ピーク領域に入るとしっかりとパワーを体感できる。低中回転域では乗り手を疲れさせないトルクを、高回転域では乗り手を楽しませるパワーを発揮してくれるのだ。
エンジンは比較的ロングストローク型で、低中速のトルクと高回転のパワーを両立している。マフラーはヤマハのモトGPマシンYZR-M1を思わせる、ミッドシップレイアウトを採用する。 | ブレーキキャリパーは片押し2ピストンながら、ブレンボ製で高い制動力と優れたコントロール性を発揮。ブレーキローターはステンレス製で、インナー径を拡げることで軽量化を実現している。 | メーターパネルはYZF-Rシリーズ共通のデザインワークを採用する。スパルタンなホワイトパネルのアナログ式タコメーターに、スピード、残燃料、切り替え式の距離計を表示する液晶パネルを組み合わせる。 | 大柄なシャシーはYZF-R125の大きな魅力。佇まいはビッグバイクのスーパースポーツを彷彿とさせる。堂々たるスタイリングは、クラスをこえた質感を漂わせ、オーナーの所有感を満たしてくれる。 |
それぞれが独自のキャラクターを持つ5台
125スポーツバイクは面白い!
今回、5台のマシンを走り比べて印象深かったのが、それぞれが異なったコンセプトで作られ、見事にそれを具現化しているということだ。モタードであるSMS4や、ネイキッドのDUKE125は見た目からして違うが、フルカウルモデルのCBR125R、YZF-R125、RS4 125の3車ですら、明確にキャラクターの違いが感じ取れたのだ。しかも、どのマシンもそれぞれに面白い。
同じ排気量、同じロードスポーツというカテゴリーにあれば、マシンの性格が似通ってしまうことは珍しくない。それなのに、これだけ個性的なマシンが揃うというのも面白い話だ。ヨーロッパにおける125ccクラスは、重要マーケットであるということは先に記した。当然、どのメーカーも力の入った開発が行われ、競合する車種も多くなる。だからこそ、メーカーごと、車種ごとの個性化を図る必要があるのだろう。これだけの多様性を持ち、かつしっかりと作り込まれたマシンが揃うカテゴリーは他にない。125ccスポーツバイクは、今注目したい存在なのだ。
今回の試乗は、群馬県のミニバイクサーキット 榛名モータースポーツランドで行った。試乗会を主催したのはモトGPライダー青木宣篤氏。現在はスズキのモトGPマシンの開発ライダーを務める青木氏と、125ccクラスのスポーツバイクにはあまり縁が無いようにも思える。青木氏が、なぜこの試乗会を開いたのかを聞いてみた。
「自分はレースに育ててもらった人間ですから、バイクのレースがもっともっと盛り上がって欲しいと考えています。そのためには裾野を拡げることが大切なのですが、手軽に参加できるミニバイクレースに使える車両がほとんどなくなってしまったんです。そこで、試しに125ccのスポーツバイクをつかってみたところ、走った人がみんな『楽しい』としか言わないんです。
パワーはほどほどにありますし、車体もフルサイズですから大人が乗っても窮屈じゃない。125ccのスポーツバイクには、走りを楽しめる要素が揃っていたんですね。これは、みんなに知ってもらいたい。そう考えて、試乗会を企画しました。来年は、この榛名モータースポーツランドで『SS125』というレースを開催します。車両はもちろん125ccクラスのスポーツバイクで、改造範囲はマフラー交換のみ可能というレギュレーションですから、お金もかかりません。みなさん是非参加してください」
青木 宣篤
1971年生 10歳からポケバイに乗りはじめ、ミニバイクレースの世界で「青木三兄弟」の長兄として活躍。1988年からロードレースに参戦をはじめ、翌1989年に史上最年少で国際ライダーへ昇格。全日本選手権を経て、1993年より世界GPに参戦。2009年には鈴鹿8耐で優勝を果たしている。現在はスズキのモトGPマシンの開発ライダーを務める他、ライディングインストラクターやレースの主催など、バイクに関する様々な分野で活躍中。
2012年『BATTLAX 青木ノブアツ杯』開催概要 | 『ルーキーズ150スカラシップ』も発足 | |||
青木さんが主催するミニバイクレース『BATTLAX 青木ノブアツ杯』の開催概要が決定。2012年シーズンは、榛名モータースポーツランドで全5戦のスプリントレースのシリーズ戦と、冬と夏2回の耐久レースを予定。話題の125ccレース『SS125』クラスの他、ポケバイから150ccクラスまで様々なカテゴリーのレースが開催される。また、他にも日曜日に休みが取れない人向けの水曜2&4というレースも4回開催予定だ。レースに出てみたい、でもやり方がわからない…『BATTLAX 青木ノブアツ杯』は、そんなライダーにぴったり。今年こそ、レースデビューを果たしてみてはどうだろうか?なお、レース詳細は『BATTLAX 青木ノブアツ杯』の詳細はハルナミニバイクWEBでチェック! | ■BATTLAX 青木ノブアツ杯 第1戦 3月4日 第2戦 4月29日 第3戦 6月3日 第4戦 9月9日 第5戦 10月28日
冬耐 2月5日 エントリー受付中! 夏耐 8月19日
■水曜2&4レース(全戦水曜開催) 4月11日 5月9日 6月27日 10月3日 | 青木さんは今年から『ルーキーズ150スカラシップ』も発足。これは、モータースポーツの啓蒙とロードレースの普及のため、青木さんの呼びかけでブリヂストンやRSタイチといった企業の協賛で実現したスカラシップ制度。『BATTLAX 青木ノブアツ杯』に参戦するジュニアライダーの中から、成績優秀者の3名を選出し、ホンダの純レーサー『NSF250』を貸与するというものだ。ロードレースへのステップアップを目指し、いつかはモトGPへ…との目標をもったジュニアライダーには見逃せないチャンスだ。 |