スクーターレースやミニバイクレースで、数々の勝利を打ち立ててきた実力派のパーツメーカーであるベリアル。そのベリアルが、現在力を入れている車種がホンダのPCX。マフラー、駆動系などスクーターチューンナップに必要なパーツがラインナップされたことで、ベリアル製パーツを使用しての、トータルカスタマイズが可能となった。そして、その動力性能は圧倒的だ。静止状態から発進し、時速100km/hに到達するまでの時間はノーマルでは27秒弱かかる。しかしベリアルのマフラーと駆動系を組み込んだ状態では16秒54と、その差はなんと約10秒。また、0-100mの加速テストでは、ノーマルが8秒52であるのに比べ、ベリアル製パーツを装着すると7秒53と、こちらでも約1秒のタイム短縮を実現しているのだ。そして、最高速はノーマルで108km/h、ベリアル製パーツ装着車は123km/hを達成している。
しかも、これはノーセッティングでのボルトオン装着状態のデータだ。少しでもスクーターをカスタマイズしたことがある人ならば、駆動系のセッティングが如何に微妙なものかを実感しているはず。ベリアルでは、パーツをトータルパッケージで開発し、またセッティングにも充分なコストと時間をかけている。そのため、装着するパーツをベリアルで統一すれば、面倒で費用もかかるセッティングのコストと時間もカットすることもできるのだ。それでは、ベリアルのPCX用パーツを紹介していこう。
【左】コンベンショナルな1本出しスタイルのセクターは、パフォーマンスを追求したストイックなモデル。それでいてジェントルな排気音も魅力。性能アップと静音性を両立したポイントは、独自のサイレンサー構造。サイレンサー内に隔壁が設けられているのだが、その形状に秘密がある。隔壁の面の部分が曲面加工されているため、適度な排圧をかけつつ排気効率を落とさないのだ。近接排気音量80db以下。ノーマル駆動系用の専用ウェイトローラーが付属する。
【右】マフラーステーは3本支持で、ステー自体も太く強度が高い素材を使用。スクーターのマフラーは、単気筒で振動が多い上に、ユニットスイング式でかかる負荷も大きい。強度不足での破損は許さないという、ベリアルの物造りのポリシーが伺える部分。
【左】スタイリッシュな2本出しスタイルのWGPラプター。ファッション優先と思われがちな2本出しタイプのマフラーだが、WGPラプターは性能の面でも手抜かりは無い。テールパイプの分岐部分に独自形状を用いて、オリフィス効果を持たせることで下側のサイレンサーをサブチャンバー的に活用。全域でのトルク特性を損なうことなく、高回転時の抜けの良さを確保しているのだ。近接排気音量82db以下。ノーマル駆動系用の専用ウェイトローラーが付属する。
【右】WGPラプターはタイプの異なる2タイプのサイレンサーを選択可能。車体に装着されているスタンダードなブラックカーボンと、深いレッドがカーボンの織りを強調してくれるB/Rカーボンの2種類だ。どちらを選んでも価格に変更がないのも嬉しい。
【左】ハイパーGPクラッチKITは小径かつ軽量。一式の重量はノーマルクラッチの1,810gに対し、ハイパーGPクラッチKITは僅か1,260gに抑えられる。クラッチ部分の慣性と遠心力を低減することで、スタートダッシュが向上するのはもちろん、中高回転域に至るまでパワフルでレスポンスの良い走りを実現する。
【中】クラッチシューには独自のメタルカーボン素材を使用。軽量化と小径化によって損なわれたクラッチの伝達力を、ハイグリップタイプのシューを使用することで対処。確実なパワー伝達を実現している。
【右】クラッチアウターの外周部には、ホールが開けられているが、これはクラッチシューから発生するダストを排出させるためのもの。シューとアウターの接合面をクリーニングし、性能の安定化を図る。
【左】空冷フィン部分は、斜めにカットした形状が持たされている。冷却に必要な風量を確保しながら可能な限りフィンの面積を減らし、回転時の空気抵抗を軽減している。ロス排除へのこだわりは凄まじい。
【中】スライドピースはシリコンを含有し、ランププレートをスムーズに作動させる。プーリボースの軸受け部は、潤滑能力が高いリン青銅を使用。ボス自体にも高周波焼き入れを施し、擦動抵抗を下げてある。
【右】ウェイトローラーは、耐久性に優れる専用の幅広タイプを使用。ローラーガイド部分には、テフロンコーティングが施されており、ウェイトローラー接触面の抵抗を低減。安定した変速を実現している。
スクーターファンなら、誰もがその名を知るベリアル。そのルーツはやはりレース活動にあった。代表を務める片岡氏は、かつてバイク用アフターパーツメーカーに籍を置き、商品開発に従事していた経歴を持つ。当時、スクーターレースに入れあげ、レースに集中すべく独立し、ベリアルサービスを立ち上げた。その後ビジネスというより、自分がレースで使うために作ったパーツや、チューニングが評判を呼び、現在のベリアル製パーツの高い評価へと繋がっていったのだ。
ベリアルのパーツはリリースが遅い。新型車が発売されても、その車両用のパーツがリリースされるまでに、1年以上かかることも珍しくないという。だが、開発のスタートが遅いわけではない。その理由は性能追求への飽くなきこだわりがある。
「ノーマルパーツというものは、バイクメーカーさんが莫大なコストを注ぎ込んで開発してきたもので、元からかなり性能が高いんです。それを上回るものを造るのは並大抵のことではありません。我々のようなアフターメーカーは、手を抜かず、ひたすらテストを繰り返して仕上げていくしかないのです。」
と、片岡氏は語る。性能アップの伴わない、カタチだけのパーツは絶対に発売しない。耐久性に関しても譲れないという。少年時代、少ないお金をやりくりし購入したパーツが、すぐに壊れてしまった経験から、ユーザーにそんな思いはさせたくないとの考えがある。となると、開発期間は必然的に長くなってしまう。
「ベリアルのパーツを待っていてくださるユーザーさんには、申し訳ありませんが、待った分だけ良いパーツを出している自負はあります。」
そう聞けば、一度試してみたくなるのが、我々カスタム好きの性。ならば、迷わず、ベリアル製パーツを装着してみるべきだ。決して後悔はしないだろう。
マフラーをはじめ、駆動系やサスペンション、外装パーツにいたるまで、スクーターパーツを数多くラインナップする。長いレース活動を通じて得た、高い技術力をベースに開発されたパフォーマンスパーツに定評がある。左から二人目の人物が、同社代表を務める片岡 智氏。
住所/大阪府茨木市小柳町12-2
電話/072-637-5075
FAX/072-637-5186
営業時間/9:00~18:00
定休日/日曜日・祝日・土曜日(不定期)
ベリアルの根本には、レース活動で培った技術力がある。1990年代から2000年代初頭、スクーターレースブーム真っ盛りの頃に、数々のタイトルを獲得した強豪だ。2サイクルエンジンから、4サイクルエンジンへ移行する時代を経験し、エンジン形式を問わないノウハウを手に入れている。
パーツ開発には膨大な時間と手間が注ぎ込まれている。新しいパーツを製作しては実走テストを行い、問題点を洗い出す。その繰り返しから、ベリアル製パーツの高性能が生み出される。テストの舞台は、ストリート、クローズドコースを問わず、あらゆるシチュエーションで行われている。
ベリアルの工場では各種工作機械を備え、一部のパーツを除き開発から製造まで自社で一貫して行える体勢を整えている。工場内には、金属加工用の大型機材や、溶接機などがズラリと並べられている。その中で目立つのが、マフラーやチャンバーの製作に使用される治具類。治具は、それぞれの商品に合わせた専用品が必要。オーダーメードで造られる、治具の製作には当然コストもかかるのだが、精度が高く品質が均一な製品造りには欠かせないものだ。パーツ製作に携わるスタッフは、皆熟練した職人ばかり。各々が高い技術を持ち、また、品質向上に向けた高いモラルが感じられる製造現場だ。
適合車種/JOG(4st)・JOG-ZR
価格(税込み)/29,400円
バンク角を犠牲にせず、パワーを最優先に製作したマフラーです。レーシーなデザインとB/Rカーボンサイレンサーを採用
適合車種/シグナスX
価格(税込み)/55,650円
従来のモデルより高速域のパワーとレブ特性の更なるUPを実現!サイレンサーはB/Rカーボンを採用(レース専用モデル)
適合車種/シグナスX
価格(税込み)/39,900円
ガルアームタイプ=対ノーマルに比べ約2倍の強度とバネ下重量の軽減を実現。3次元切削加工ハイクオリティー仕上げ
適合車種/シグナスX、BW'S125、マジェスティ125
価格(税込み)/15,540円
マシンのポテンシャルを最大限に高め、レスポンスを向上させる優れた変速特性。ベリアルだから成し得たプーリーKIT
適合車種/シグナスX、BW'S125、マジェスティ125、アクシストリート
価格(税込み)/17,640円
オリジナル小径クラッチ(特許申請中)の圧倒的加速とレスポンス向上、並外れたオーバーレブ特性のパフォーマンスKIT