取材協力/サインハウスクラスフォーエンジニアリング  撮影/渕本智信  文/青木タカオ  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

ヘッドライトの光量不足で頭を抱える絶版車ユーザーたちの救世主となっているのが、サインハウスがリリースする「LED RIBBON」。厳格化した車検を楽々パスし、普段の走りにおいても安全性を飛躍的に向上する。旧車乗りたちにとって待望のLEDヘッドライトだ。

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光量不足で車検不可
そんな悩みを解消!!

絶版車オーナーたちから最近よく耳にするのが「ヘッドライトの光量不足で車検が通らない」という悩み。「2年前は大丈夫だったのに……」と戸惑うオーナーが多いのは、昨年9月から車検基準が厳格化されたことの影響によるもの。

そんな中で抜本的解決策となっているのが「エルリボン=LED RIBBON」だ。LEDを使い省電力でありながらHIDと同じ最大3000ルーメンを実現し、寿命は約27倍。ハロゲンと比べれば3倍明るく、なんと100倍もの寿命を誇る。レンズやライトボディはノーマルをそのまま使うから、バイクの外観を損なうこともないのも大きな魅力といえよう。

評判を聞き、編集部でも検証してみようと、車検切れとなっている1978年式Z1-Rをお馴染みのカスタムショップ「クラスフォーエンジニアリング」に持ち込み、エルリボンを装着。実際に車検を通してみた。

まず気になるのは装着時の煩わしい手間の有無だが、配線はシンプルで実にカンタンだった。LEDコントローラーと呼ばれる47×43×14mmほどの小さなユニットと、放熱のためのヒートシンクとなるヒートリボンが追加されることになるが、いずれもさほどのスペースは必要とせず、Z1-Rに限らずどんな機種にも対応できそう。

左がLED RIBBON H4型 Compactで右がノーマルのH4バルブ。ほぼ同じ大きさだ

LED RIBBON H4型Compact XHP3525W
■価格1万8,000円(税抜き)

バイクでのLED実用化をいち早く実現させたサインハウス。大きなミッションは3つあった。まずひとつ目は、125cc以上に適用される保安基準1万5,000カンデラ(150hcd)を上回り、正しい光軸が出せること。ふたつ目は、HIDの明るさと同等かそれ以上の明るさ性能。そして3つ目は様々なH4ライトレンズにおいて(マルチリフレクター、カットレンズ、角目、丸目、異形など)、ノーマルのLoビーム、Hiビームの正しい配光を再現すること。2014年12月に、これらを全うしたH4型LEDヘッドライトバルブ「XP-L30W H4型」を世に送り出したが、それから約1年半。LEDチップのさらなる革新的な進化に伴い、さらに進化したエルリボン「H4 Compact」をリリース。CREE社製の最新プレミアムチップ「XHP35」を新採用することで、明るさはそのままに発熱量を抑え、H4バルブと同等なほどの小型化を実現。従来品では装着できなかった車種へも取り付けが可能となっている

ポイントは本体後部にヒートリボンを省かずに装着することで、これがないと熱を逃がすことができない。製品名の由来にもなっているが、これを発明したことがバイク特有の取り付け問題を解消している。

そして、もうひとつ。ヒートリボンとLEDバルブを固定する際に、伝熱シリコングリスをきちんと塗布すること。これを塗ることで熱伝導がしっかりおこなわれ、性能をフルに発揮することが可能となるからだ。

さて、点灯して驚いた。とにかく明るい。予備車検場にて、もともと入っていたH4バルブで明るさを計測すると120hcd(ヘクトカンデラ)で、車検をパスするための150hcdに満たなかったのだが、エルリボンにすると321hcdと2.67倍の光量を発揮し、言うまでもなく楽々車検も通過。このZ1-R、もうヘッドライトの光量に悩まされることはなくなった!

 

取り付けカンタンで3倍近い明るさ!
旧車にも違和感のない見た目も嬉しい

ビキニカウルを外し、ノーマルのヘッドライトボディをゴッソリ取り外す。H4バルブのままでは車検をパスできないZ1-Rが今回の対象だ

LEDコントローラーを空きスペースにタイラップで固定。精密機器なので、ステー等の接触面には付属のスポンジ両面シートを使用すること(ただし放熱のためケース全体を覆わないこと)。通電性の金属は不可

LEDバルブ本体に、4本の固定用ネジを用いてヒートリボンを装着する。このリボンがヘッドライトボディ裏側でヒートシンクとなる

「くれぐれも忘れずに」とサインハウスの三好さんが念押しするのは、接合部の微細な隙間を埋める伝熱グリスの塗布。接触面へ丁寧に塗る

走行風が効率よく当たるようヒートリボンを広げる。風がないときはコントローラーによって出力を下げ、自動的に温度上昇を抑制する

ライト裏はこんな感じになった。ヒートリボンは必ず使用し、広げることで表面積が上がり放熱効率も向上。写真は旧車のためかゴム製の防水カバーが装着されていなかったが、防水カバーがあるものは必ず装着する(基本無加工で装着可能)

純正コネクターをそのまま使え、配線はとてもシンプル。ヒートリボンやLEDコントローラーの接続も難しいことはなにもなかった

コネクション部分が緩く開いていないか、車体側のヘッドライトカプラーの状態をチェックしておくのも忘れずに。低年式車は要注意だ。カプラー自体が溶けて変形していたり、端子の隙間が大きく緩くなっているものも。また、Hi、Lo、Comに正しく電気が来ていなかったり、プラスCom車(マイナスCom車※のみ対応)の場合は正しくライトが点灯できないので、電圧テスターなどで点検することをオススメする。※一般的な多くの車両はHi、Loの切り替えをプラス電気側で行うマイナスCom車となっている

車検の検査ラインへ入る前に、予備テスター屋さんにて光量の他、光軸がずれていないかなどを確認したが、H4バルブでの光量が120hcd(写真上)であったのに対し、LED RIBBONではなんと321hcd(写真下)。車検パスの基準は150hcd以上であるから余裕でクリアできる。レンズはノーマルを使用したが、光軸も問題なかった。写真は光軸の高さ調整前

ヘッドライトの光量が足らずに車検をパスできなかったZ1-Rだったが、LED RIBBONのおかげで検査を楽々パスすることができ、車検も無事に受かった。写真右は実際の作業に当たってくれたクラスフォーエンジニアリングの横田正彦氏、左はサインハウスの開発部広報課・三好史記氏

BRAND INFORMATION

サインハウス

B+COM(ビーコム)でおなじみのインカムの先駆け的メーカー。LEDヘッドライトバルブや、スマホやナビゲーションのマウント、バイク専用充給電システム「サインハウス・パワーシステム」など、オリジナルブランドを展開している。

住所/東京都世田谷区玉川田園調布2-9-14
電話/03-5483-1711
時間/9:30-18:00
定休/土日祝