取材協力/パパコーポレーション  記事元/モトメンテナンス編集部
※この記事は雑誌『モトメンテナンス』125号(2016年4月16日発売)P14~15に掲載された内容を再編集したものです。記事の内容は雑誌掲載当時のものです。
掲載日/2016年10月12日

バイク好き、自動車好きのあいだで話題のケミカル「スーパーゾイル」シリーズ。数多くの愛用者がリピーターになっている事実こそが、同シリーズ商品の性能や効果を実証していると言っても過言ではない。新車はノーメンテナンスではなく「新車だからこそメンテナンス実践」することで、後々のマシンコンディションに大きな違いが出るものだ。
このコーナーでは、高性能ケミカルを利用しメンテナンスすることで、マシンコンディションをさらに良くしようと考えている。
エンデューロレースやオフ走行をメインに楽しんでいるKLX125は、さすがに各作動部分が眼に見えてお疲れコンディションに至っている。いくら新車だったとは言え、さすがにこれだけ過酷な使い方が続くと、ノーメンテナンスはあり得ない!! メンテナンスはマシンのコンディション維持に必要不可欠である。今回はスムーズな作動性を求め、フロントフォークオイルにスーパーゾイル・エコを添加してみることにした。

SUPER ZOIL ECO for 4cycle
200ml◎6,800円(税別)
320ml◎9,800円(税別)

エンジン各部に発生する摩擦熱に反応し、摺動面に金属化合物を成形するのがスーパーゾイルの特徴だ。これにより金属表面改質再生効果が現れ、エンジンパーツのライフアップに貢献。優れた油膜特性によって摺動抵抗が低減される。顕微鏡レベルで見ると、使用前後でただれていた金属表面がツルツルに改質再生される様子がわかる。摩擦熱の発生が抑制されるため、エンジンオイルの劣化速度も低下。今回はスーパーゾイル・エコをフォークオイルに利用。

エンジンオイルは頻繁に交換しているつもりでも、ブレーキフルードやフロントフォークオイルに関しては「思い出したときに……」と口を濁すマシンオーナーが意外と多い。吸湿性が高いブレーキフルードは、雨天走行時に水分を呼び込みやすく、レースエントラントの中には、サーキット走行毎のブレーキフルード交換が当たり前で、決勝レース前日の予選でウエットコンディションだったときなどは、決勝レースの前にプレーキフルード交換とキャリパーピストンの揉み出し&ラバーグリースの塗布を実践している者もいる。

大切な愛車で気持ち良く走りたいのは当然だろう。例えば、雨天走行後にブレーキパッド周辺を見ると、想像以上に砂利が付着している様子に気が付く。時には、ブレーキパッドの摺動面に砂利が噛み込み、大切なディスクローター面がレコード盤のようになってしまうケースもある。そんなことにならないためにも、レーシングマシンはもちろん、街乗りバイクに関わらず雨天走行後は、ブレーキキャリパー周辺の洗浄とメンテナンスを徹底するように心掛けよう。そんなメンテナンスの繰り返しが、実は、愛車のコンディションを良く保つ秘訣でもあるのだ。中古車売買の際に「雨天未使用」と言った決まり文句があるが、本当にそうならブレーキ周辺のコンディションはかなり良いはずである。

フロントフォークオイルに関しては、実は、ブレーキフルード以上に交換頻度が少ない潤滑油のようだ。そろそろやっておこうかとフォークオイルを抜いてみたら、ネズミ色で悪臭漂う液体が出てきた!! といった経験があるサンデーメカニックも数多いはずである。まさか新品オイルのときに赤色だったり、青色だったと誰が想像できるだろう。

フロントフォークは極圧状況下で作動していながらも、潤滑油であるフォークオイルは、同じ場所を行ったり来たりしているだけなので、想像以上に汚れてしまうのだ。しかも旧式フロントフォークのオイルダンパーの場合は、ボトムケースの底に組み込まれるシリンダベース(オイルロックピース)にインナーチューブの下端内側が摺動し、底付き(フルボトム)を防止する構造となっているため、部品の締め付け状況によっては強く擦れてしまい、最悪でカジリ症状が発生してしまうケースもある。そんな状況下では、フォークオイルはあっと言う間に汚れてしまうのだ。実際にフロントフォークを分解してみたら、そんなカジリや偏摩耗を見つけたことがあると言うサンデーメカニックも数多いはずだ。

このように、過酷に使われるフロントフォークオイルに添加することでも、効果を発揮するのがスーパーゾイルである。今回は、4サイクルエンジンオイル用のスーパーゾイル・エコをフォークオイルに5%添加し利用した。

カワサキ純正サービスデータによれば、KLX125C 正立フォーク仕様は通常のオイル交換時で225ml。完全分解洗浄後は266±2.5mlとなっている。より確実に確認調整できる油面高さデータはスプリング無しの最圧縮時で138±2mmだ。

本来なら4サイクルのエンジンオイルや2サイクルのギアオイル用高性能添加剤として利用できるスーパーゾイル・エコだが、例えばシャフトドライブ仕様車のデフギアオイルへの添加でも好結果を得られる。そこで今回はフロントフォークオイルへ添加してみることにした。

規定の注入量( 左右フォークの合計容量)よりもやや多めにメスシリンダーにとり、オイルが足りなくならないようにした。フォークオイルとスーパーゾイルを長い棒でよく混ぜ合わせる。

前輪を復元してアクスルシャフトを締め付け(規定の締め付けトルクは79Nm)、キャリパーを復元したら(規定締め付けトルクは34Nm)前輪を持ち上げてスムーズに回転するか必ず確認しよう。ローターに歪みがあるとスムーズに回らないはずだ。

金属同士が擦れ合うときに発生する摩擦熱に反応し、摺動面に金属化合物を形成。摩擦抵抗を減らすのがスーパーゾイルの大きな特徴である。つまりフォークオイルに添加すれば、フロントフォーク内=各摺動部がスムーズな作動性を得られるようになるのだ。本来、フォークオイルには潤滑性や極圧性の他に、高い消泡性なども求められるが、現実的にオイル汚れが激しいフロントフォークの場合は、そもそも本来の走行性能を維持できていないケースが多い。そうならないためにも定期的なフォークオイル交換が必要不可欠なのだが、現実的には性能低下したままのフォークオイルで乗り続けているライダーが、圧倒的に多いようだ。

エンジンオイルとほぼ同じタイミングで交換するのが、フォークオイルの理想的交換タイミングだが、実際には1年に1回とか、車検毎にといった交換サイクルが多いようだ。そんな交換サイクルのなかでもゾイル効果によってフォークオイルの汚れスピードに違いが出る。その結果、フロントフォーク本来の性能を維持できる期間=賞味期限の先延ばしにも効果があるのがスーパーゾイルなのだ。

KAWASAKI KLX125(2015)

フロントフォークを抜き取る際には、完全に抜き取る前にトップボルトを緩めておこう。トップブリッジ上で弛めるよりもアンダーブラケット近所で一度クランプし直してから弛めると作業性が良い。

納車から1年強経過しているが、飛んだり跳ねたりのオフ走行が多かったため、もはやヘドロのようなフォークオイルだった。経験者ならご理解頂けると思うが、あのイヤな臭いがした。

インナーチューブをガードする蛇腹ゴムを装備したフロントフォークだが、エアー抜き穴から侵入したドロがインナーチューブにこびりついていた。フォークシールにダメージが無くて良かった。

蛇腹ゴムは外側だけではなく内側もしっかり洗浄しよう。想像以上にドロで汚れていたので柄の長いブラシで洗い流してからエアーブローで水分を飛ばした。ゴムに亀裂や破れが無いか点検しよう。

インナーチューブに付着したドロをウエスでしっかり除去して表面を磨き込み、噛み込んだドロがオイルシールに付着していないか確認し、エアーブローで除去する。コンプレッサーは便利だ!!

フォークシール近所のインナーチューブにスーパーゾイル・ラバーグリースを塗布する。ゴムやラバーと金属表面の摺動性を高め、フロントフォークの作動性を良くするのと同時に水分侵入を防止する。

ラバーグリースを塗布したらインナーチューブを何度もフルストロークさせてグリースをオイルシールに馴染ませる。この作業後には渋さが解消されインナーチューブの自重だけでススーッと縮むようになった。

インナーチューブを引っ張り出し、ちょっと多めに作っておいたフォークオイルを半分注入。KLX125はショーワ製フロントフォークなので指定オイルもショーワ製なのだ。10番相当のSS-8を利用。

フォークオイルを注入したらトップボルトの代わりに手のひらを当て、エアー漏れしないようにフルボトムまで押し込み手のひらを解放。また手を当てて引っ張り上げて負圧にしてから解放。

手のひらで押さえた圧縮解放を繰り返し行うことでエアー抜きをスムーズに行うことができる。フルボトム状態でインナーチューブ端面からの油面寸法をコンベクスで確認。データ通りピッタリに調整した。

トップボルトを締め付ける時にはOリングが噛み込まないようにラバーグリースを塗布するのがセオリーだ。乾燥状態で締め付けると最悪でOリングが切れてしまうこともあるので注意。

スピードメーターギヤは樹脂製のギヤリテーナーを介してウォームギヤを回す仕組みなので、ここでも樹脂部品×金属部品用に適したラバーグリースを塗布した。シール不良時はオイルシールを交換しよう。