取材協力/パパコーポレーション  記事元/モトメンテナンス編集部
※この記事は雑誌『モトメンテナンス』122号 P6~7に掲載された内容を再編集したものです
※記事の内容は雑誌掲載当時のものです(モトメンテナンス 122号 2015年10月16日発売)
掲載日/2016年2月29日

バイク好き、自動車好きのあいだで話題のケミカル「スーパーゾイル」シリーズ。数多くの愛用者がリピーターになっている事実こそが、同シリーズ商品の性能や効果を実証していると言っても過言ではない。新車はノーメンテナンスではなく「新車だからこそメンテナンス実践」することで、後々のマシンコンディションに大きな違いが出るものだ。このコーナーでは、高性能ケミカルを利用しメンテナンスすることで、マシンコンディションをさらに良くしようと考えている。今回はブレーキキャリパーピストンのメンテナンスを実践してみよう。さぁ、「バイクいじり」を楽しもう!!

メンテ初心者にとっては、ボルト一本の増し締めにもハラハラ、ドキドキすることがあると思う。仮に、ツールショップで購入したハンドツールを利用していれば「使いやすさ」という点で申し分はないはずだ。しかし、メンテ初心者は当然ながらハンドツールを所有していない例が多く、「車載工具があるから大丈夫でしょ!?」なんて思っている者も少なくない。これは大きな間違い!! とは決して言わないが、正しい考え方ではない。

メーカー純正車載工具は、非常時や緊急時の足しのようなもので、決して使いやすいものではない。グリップが細く先が短いドライバーなどでは、固着したスクリュービスなど、緩めるのが実に困難だ。ツーリング先、特に、オフロード車の場合はイノシシや熊が共存!?する林道などを走るケースが多いが、そんな山奥で不測の事態に遭遇しないためにも、常日頃から必要十分以上にマシンメンテナンスを心掛けたいものである。

ここでは、KLX125のブレーキキャリパーメンテナンスを実践してみよう。写真解説ではフロントキャリパーのみ実践しているが、リアの作業手順もほぼ同じだった。昔のオフロードバイクとは異なりKLX125のリアキャリパーは、単純に取り外すことができるので作業性が良い。絶版オフロードバイクにはリアキャリパー本体とホイールサイドカラーが一体化されている例が多く、キャリパーメンテナンスを実践するためにリアホイールを取り外さなくてはいけないケースがあった。その点、このKLX125は極めてメンテナンス性が良かった。

SUPER ZOIL RUBBER GREASE
スーパーゾイル・ラバーグリース
ソフトチューブ入り100g◎税別2200円

ブレーキフルードと同系統の特殊合成潤滑油をベースにしているのでブレーキ関連パーツに安心して利用することができる。金属と金属ではなく、金属とラバー(ゴム)部品の間にも摩擦抵抗が生じ、ときには金属部品にダメージを与えてしまうケースもある。高温下でも酸化や炭化しにくく作動性の向上を維持する。樹脂部品とゴム部品、ゴム部品と金属部品の摺動箇部に塗布することで高い効果を得られる。

さて、ブレーキキャリパーの周辺メンテナンスで日頃から気にしておきたいのがキャリパーピストンとフローティングピンの作動性である。特に、オフロードバイクの場合は、荒野を走り、時には河原を横断するケースもあるため、キャリパー周辺のグリースが著しく汚れていたり、洗い流されてしまうケースが多々ある。だからこそ定期的なメンテナンスが大切なのだ。ツーリングに行ってきたからメンテするのではなく「ツーリングへ出掛けるからメンテ!!」といった考え方に頭を切り換えるように心掛けたいものだ。

ここでの作業内容は、ブレーキピストンの作動性確認とグリースの塗布。キャリパーをサポートするフローティングピンの摩耗確認とグリースアップである。汚れなどによってピストンの作動性が低下するとブレーキ性能が低下し、レスポンスも著しく悪くなる。フローティングピンが作動不良を起こすとパッドの引き摺りを招き、それが起因して熱によりローターが歪み、まともなブレーキングができないばかりか、最悪でブレーキロックしてしまう例もあるほどだ。

こんなブレーキメンテナンスの際にも「高性能グリース」を利用することで、気持ち良く走れるようになることを忘れてはいけない。そんなメンテナンス時に利用したいのがスーパーゾイル・ラバーグリースだ。金属表面の改質再生効果を持つスーパーゾイル成分を含有したラバーグリースは、金属とラバー部品の摺動面や樹脂部品とラバー部品の摺動面の潤滑に高い効果を発揮し、フリクションロスの低減とともに高い防錆効果も発揮する。その主成分はブレーキフルードと同系統の特殊合成潤滑油なので、ブレーキ関連パーツに安心して利用することができるのが大きな特徴だ。

片押しピストン式ブレーキキャリパーの場合は、その構造上2本のフローティングピンがキャリパー本体を支持し、ブレーキング時のキャリパーにのし掛かる制動圧も、このフローティングピンがすべて受け止めている。つまりこのピンがかじってキャリパー本体とリジッド化してしまうと、ブレーキ性能が低下するだけではなく、最悪でブレーキとしての機能を果たせなくなってしまうこともある。

この金属同士が擦れ合うフローティングピンには、極圧性能に優れた高性能グリース、スーパーゾイル・グリースを利用しよう。極圧部の潤滑に優れている「スーパーゾイル・グリース」には、金属表面を改質再生する効果があり、それ故に高い作動性と潤滑性能を期待できる。

日頃からメンテナンス実践しておくことで気持ち良く走れ、気持ち良くブレーキングすることができるようになる。バイクライフの充実は、メンテナンス深度の有無に大きく関係しているのである。高性能ケミカルを上手に利用し、バイクライフを楽しもう!!

キャリパーメンテナンスの際にはキャリパー本体の取り外し前に、パッドピンの抜け止めプラグを緩めておこう。キャリパーを外してしまうと緩めにくくなってしまうからだ。

パッドピンプラグを緩めてからキャリパー本体を取り外す。さすがに新車登録されたバイクなので痛みが少ないが、それでもピストン側面は汚れていることが一目でわかる。

パッドピンを抜いてブレーキパッドを取り外した。パッド残量は十分なので再利用できるが、パッド外周にはバリが立っていた。復元時にはバリ取りを実践しておきたい。

キャリパーブラケットに固定される2本のピンでフローティングマウントとなっているのが片押しピストンキャリパーの特徴だ。このピンの作動性が悪いと引き摺りを起こしてしまう。

フリーの状態でゆっくりブレーキレバーを握り込むと、キャリパーピストンの片側がゆっくり押し出されてくる。隠れていた輝きが見えたところで停止し、ピストン磨きの開始だ。

不要になった歯ブラシなどを利用してピストン周辺に固着した汚れをブラッシングでこそぎ落す。パーツクリーナーなど吹き付けなくても良い。不織布シートを利用しても良い。

露出したピストンの裏側にはブラシが届かないので、専用工具のピストンプライヤーでピストンを回転させて裏側を表側に移動させてから汚れをブラッシングで除去する。

汚れを除去したらエアーブローもしくはブレーキクリーナーで洗い流し、露出したピストン周辺へラバーグリースを少量薄く塗布する。ラバーグリース塗布後は作動性抜群だ。

薄く伸ばすようにピストン外周全体に塗布しよう。塗り過ぎてハミ出てしまうとグリースが逆に汚れを寄せてしまう結果になるので要注意。ハミ出た分はウエスで拭き取ろう。

ピストンがスムーズ!!

作動性が良いピストンは指先のチカラだけでキャリパーシリンダー内にピストンがスーッと戻っていく。ピストン径が大きかったり飛び出し過ぎてしまうと戻せない時もあるので、そのような際にはキャリパーピストンツールで戻そう。

制動力をダイレクトに受けるフローティングピン受けの内部はしっかり洗浄して極圧性に優れた高性能グリースを塗布しよう。ここでは綿棒2本にパーツクリーナーを吹き付けて内部をクリーニングし、その後、スーパーゾイル・グリースを塗布した。

キャリパーサポートを復元し、ゴムのダストシール反力だけでスムーズにフローティング作動するか確認しよう。ゴムブーツの切れは作動不良の原因になるので発見したら即交換だ。

パッドの外周にバリが立っていたので平ヤスリで軽く削って面取りをしておいた。ブレーキパッドは使い切るのではなく、残り3分程度で交換すればローターへのダメージも少ない。

キャリパー復元前には前輪を持ち上げてスムーズにホイールが回転し、リム振れが無いか必ず確認しよう。悪路や林道を走るオフ車は転倒が多いため、機会がある度にスムーズ回転を点検しておきたい。

チェーンメンテは頻繁に!!

新車購入ながら天候に関わらず通勤の足に利用し、これまでに何度も林道ツーリングへも出掛けているKLX125 。当然ながらこの車両の預かりメンテナンスの際には、毎度毎度チェーングリースをしっかり吹き付けている。比較的チェーンの伸びが早いので交換時にはシールタイプのチョイスがお勧めだ。