バイクの静電気を除去するボルトで抵抗を取り除いて「軽さ・軽快感」を実感!?
掲載日/2018年9月14日
取材協力/NGCジャパン
記事提供元/モトメンテナンス編集部
※この記事は雑誌『モトメンテナンス』138号(2018年6月16日発売)に掲載された内容を再編集したものです。記事の内容は雑誌掲載当時のものです。
バイクのトータル性能を決める要素として重要な「軽さ・軽快感」という判断基準。では目に見えない「静電気」が軽さの足かせになっていると聞いてどう感じるだろうか? 「そんなバカな……」「あるかもしれない……」を実体験で解明し、軽さを追求してみよう。

チューニングより簡単・確実!!
ロスを減らして実質パワーアップ!!

自動車メーカーが特許を出願したことで、それ以前はどこかうさん臭くオカルト的な視線で見られることが大半だった「静電気」が俄然脚光を浴びている。実は静電気の影響はさまざまなシーンで問題視されていて、工場用品を取り扱う通販サイトを見ると、製品にホコリが付着したり張り付きを防止するためのテープやマット、ブラシやスプレーなど多種多彩の静電気除去グッズを販売している。

トヨタよりも早く静電気除去に関する特許を出願したNGCジャパンの小林さんは、外周に突起の付いたワッシャー状の円盤からコロナ放電によって静電気を放電する極めて単純な放電装置を開発。電気や物理を専門に学んだわけではないが、中学や高校の教科書にもある静電気に関する記述やインターネット上の情報を参考にしながら筋道を作り、テストを繰り返し車体各部で静電気の溜まりやすい場所、放電によって効果が出やすい場所を、トライ&エラーで探し出した。

小林さん自身は自家用車のストラット式サスペンションのアッパーマウントに取り付けると、サスペンションが上質感のあるしっとりとした動きに変化したのを体感して静電気除電の効果を実感。ここではダンパーロッドが伸縮する際に発生する静電気が、サスペンションの動きを阻害していたと考えられる。

吸排気系に対しては、開発当初は電気的に作動するソレノイドバルブが発生する静電気が悪さをするのではないかと仮定したが、負圧式キャブレターのトップカバーやインテークマニホールドのバンド部分に除電ボルトを取り付けることで効果が確認されている。

静電気はゴムや樹脂素材に溜まりやすい上に、さらに異種金属を組み合わせた物体に帯電しやすいことはインターネット上をはじめとしてこれまでも頻繁に指摘されていて、考えてみればこれらはずばりスロットルボディにも当てはまる。だがバイク業界ではメーカーもユーザーからも注目されることがなかった。

ところが、負圧キャブのトップカバーに除電ボルトを取り付けるとエンジンフィーリングが俄然良くなると、特にハーレーユーザーの間で「魔法のネジ」と呼ばれ評判となった。スロットルを開け始めた領域ではダイヤフラムの動きが渋く、バキュームピストンのレスポンスが悪い。放電ボルトを装着すると、ダイヤフラムに溜まった静電気が除電され柔軟になり、ピストンがスムースに動くようになりスロットルの開け始めからスムーズなトルクが出るというのが魔法の正体である。

同様に、ゴム製のインシュレータにーも混合気が通過する際に発生する静電気が帯電するため、クランプボルトを放電タイプに交換することで混合気の流れを阻害する因子を取り除くことができ、スロットルレスポンスやパワーフィーリングの向上、急開時にノッキングが減少するなどのメリットが報告されている。

空気や液体の流れやサスペンションの摺動など、稼働部分に発生する静電気がどれほどの影響を与えているのかを体感させてくれる、スムースドライブシステムの小さな放電ボルト。抵抗や引っかかりのない軽い動きを目指す際に、静電気の除去への注目度が高まりそうだ。

空気、オイル、摺動部の摩擦物質が移動するところに発生する静電気
効果的な放電ポイントを探そう

ヤマハトリッカー用スムースドライブシステム
トップブリッジ用 ◎価格2,160円(税込)
キャブレターインシュレーターバンド用 ◎価格2,700円(税込)
リアショックボルト用 ◎価格2,160円(税込)

フロントフォークの上部のボルトを放電タイプに交換。初期作動が良くなりサイドスタンドで立てた車体を起こすだけでフォークが動くようになる。

常にショックアブソーバーやリンクが動き続けるリアショックも除電によって動きが変わる。端的に言えばサスの質感が向上する。

ゴムパーツは静電気の溜まり場
除電でフリクションロスを軽減

負圧キャブのピストンダイヤフラムゴムの静電気を除電するにはトップカバーのビスを交換するのが定番。

チェーンアジャスターボルトに追加すると、ホイールが軽く回るようになる。ベアリングやオイルシール、チェーンに発生する静電気の除電効果があるようだ。

発生した静電気の除電ではなく
静電気の発生を抑制する手もある

ハイランダー埼玉ファクトリーが開発してNGCジャパンでも販売するツー・ウェイ・コートは、摩擦により発生する静電気を抑制するケミカル。容量100mlで1本1,944 円(税込)。

吸気が通過するエアクリーナーボックスやカウル、スクリーン、ヘルメットなどに塗布することで、撥水コーティング効果とともに静電気を抑制する。ヘルメットやクルマのバンパーに塗布すると風切り音が低減する。