3年前に発売を開始したモトキュービックの開発製造を行う東亜製作所は、本業として自動車製造メーカーの生産設備を初めとしたファクトリーオートメーション(FA)機械の製造を行っている。それらは発注主の依頼に基づく仕事だが、それとは別に自社の開発力や技術力を活用した自社ブランド製品の構築を模索していた。
同社社長の光岡主税(ちから)さんはバイク好きで、自分たちから発信できる製品作りとしてバイクの保管に注目。プレス板金や溶接など、普段は生産ラインを生産している設備を活用してコンパクトなバイクガレージの開発に着手した。
スチール製ガレージと言えば物置メーカーの製品が幅を利かせている。この製品は自家用車用には専用駐車スペースがあるが、バイク置き場は共同駐輪場に置かざるを得ないマンションや集合住宅に暮らすバイクユーザーをターゲットとした。露天や屋根付きの駐車場で車の奥に横向きにバイクを置き、車体カバーを掛けて保管しているパターンも多いが、ナイロン製の車体カバーに代わる金属製ボックスをコンセプトとしたのだ。
白線で仕切られた 一 般的な駐車場で、車の奥に置けるスリムな本体幅の中でバイクの出し入れをスムーズに行うために採用したのが、90度回転するスライドベースだ。回転、反転という動きは生産設備では日常茶飯事で、回転を支えるピボット部分には200kgを超える重量車でもスムーズに作動して長期間メンテナンスが不要なクロスローラーを採用するなど、生産設備開発会社ならではの発想が盛り込まれている。また、ドアやスライドベースのロック機構も堅牢な造りで、いかにも機械屋さんが主体となって開発したものだと実感させられる。
本体サイズやスライドベースの回転方向などいくつかのバリエーションがあるが、設置する場所のサイズや形状によっては既製品が収まらない場所もあるだろう。そんな場合でも、自社開発の利点を生かした柔軟な設計変更に対応できるのがモトキュービックの強みである。外寸の増減だけでなく、内部に作業台を置いたり2台並列で回転するスライドベースも製作。これまでに納品した製品も、何らかの仕様変更が施されているものの方が多いそうだ。
バイク専用のガレージを造るのは難しく、露天保管でも安全に維持したいサンメカは数多くいるはずだ。そんなオーナーにとって、モトキュービックはガレージの新しいスタイルとなるだろう。
BMWを2台入れたい、というリクエストに応えて製造したフルオーダータイプ。何度も切り返さないと出し入れできない場所で、一気に90 度ターンできる恩恵は大きいはず。
スライドベースを回転させる際は、スロープ部分のレバーを握ってロックを解除する。またベース裏側には地面に接するキャスターが装着されており、バイクを載せた際にピボット部分に掛かる荷重を分散する。
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