メンテナンスやレストア、チューニングなどバイクいじりを楽しんでいると、常に新たな刺激を求めたくなるものだ。サビ取り剤やワックス、エンジンオイルなど、ちょっとでも気になる製品があれば、まずは自分のバイクで試してみたくなるのがサンメカ気質だ。そんなコアなバイク好きでメカ好き向けに新たに発売されたのが、KURE「フュエルシステム」モーターサイクルシリーズである。

燃料タンク内に混ぜてガソリンに働きかける添加剤は、ほとんどが自動車用に開発された製品であり、このシリーズはバイク専用品として開発されたケミカルである点が大きな特徴だ。バイク用エンジンは自動車より常用回転数が高く、一方、燃料タンクは自動車用より小さくタンク内に留まっている時間が短い＝入れ替わりが早いため、短時間で効果を出すことが求められる。今回、バイク専用品として開発された新シリーズには「パワーチャージャー」と「モータークリア」という2種類の製品が用意されている。ここではそれぞれの狙いと、具体的な効果について解説していこう。

トルクやパワーといった、バイクならではのエキサイティングな楽しさを増幅してくれるのがパワーチャージャーだ。ガソリン分子に働きかけるナノサイズの燃焼促進剤が混合気の完全燃焼を促し、トルクとパワーの両面に変化をもたらす。人によってパンチ感、ガッツ感と評されるその変化は、具体的な効能として発進加速や追い越し加速時にエンジンの力強さが増し、発生トルクが向上することで同じ速度に達するまでの所要時間が短くなる。またスロットルレスポンスを改善させ、僅かなスロットル開度の変化にエンジンがダイレクトに反応するフィーリングを実感できるようになる。この状況を逆から見れば、同じ速度で走行する際にスロットルを無駄に開けなくても思った通りにマシンが進むことで、燃費改善という副次的効果も期待できる。

またコンプレッションの上がったチューニングエンジンでは、エンジンに負荷が掛かった際にノッキングを起こす場合があり、これが顕著になるとエンジン本体にダメージを及ぼすこともある。一般的にはレギュラーガソリンをハイオクに変更すると耐ノック性能が向上するが、そうしたエンジンにとってもパワーチャージャーは有効に機能する。つまりチューニングマシンにとってはエンジンを守る効果も期待できるわけだ。

一方、モータークリアは使用過程のエンジン内部の洗浄に効く添加剤である。燃焼と共に発生するカーボンスラッジは、空燃比を厳密に管理しているインジェクション車でも発生を避けられない。ましてやセッティングが少々ズレていても体感的な不具合なく走行できるキャブレター車では、実は吸気ポートやピストントップにカーボンがたっぷり付着しているという例も少なくない。カーボンが多くなると、バルブシート面に食い込んで密閉度が低下したり、カーボンが凝集したスラッジによってピストンリングが固着して実圧縮の低下やブローバイガスの増加などエンジン不調の原因となる。

モータークリアは頑固なカーボンやスラッジを除去できる強力な洗浄成分によってエンジン内部のコンディションを改善し、エンジンが本来持つパフォーマンスを回復させることで、スムーズな回転フィーリングやレスポンスの良さを体感できる。また洗浄後は新たな汚れが付着しづらい特性もあり、1台のバイクを長く愛用したいサンメカにお薦めだ。