メンテナンススタンド徹底解明
    取材協力/J・スタイル  取材・撮影・文/木村 圭吾 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
    掲載日:2011年12月7日

メンテナンススタンドで作業性の向上を!

洗車を含めたバイクのメンテナンス性を圧倒的に高めてくれるアイテムが、メンテナンススタンドだ。車体が真っ直ぐに立つことで、特にチェーンオイルなどの飛び散りで汚れやすいリアホイール回りのクリーンナップが、サイドスタンドとは比較にならないぐらい作業性が向上する。またチェーンの清掃や注油なども、リアタイヤが自由に回ることによる恩恵は大きい。そんなメンテナンススタンドのトップメーカー的存在が 『Jスタイル』 であり、同社がリリースする 『J・トリップ』 ブランドの製品は高い支持を得ている。その中でも今回は「はじめてスタンド」に焦点を当て、使い勝手の良さに迫ってみよう。

 

はじめてスタンド」は、メンテナンススタンド本体と、それを車体にセットするための受け部分のパーツとフロントブレーキをロックするためのゴムバンドが付属している。

 

本体。カラーは黒と赤(車輪はスケルトン)、白(車輪は黒)の3種で、同社のWEB販売限定で白にスケルトンの車輪の組み合わせも。

本体。カラーは黒と赤(車輪はスケルトン)、白(車輪は黒)の3種で、同社のWEB販売限定で白にスケルトンの車輪の組み合わせも。

付属品のはじめて受けセット。左右の受けが1セットとシャフト、フロントブレーキを固定するためのゴムバンドの構成になっている。

付属品のはじめて受けセット。左右の受けが1セットとシャフト、フロントブレーキを固定するためのゴムバンドの構成になっている。

「はじめてスタンド」が使用可能なのは、リアホイールのアクスルボルトの内径が8mm以上の貫通タイプのみ。そうでない場合は、オプションとして設定されている「V受け」や「L受け」を用いる。

「はじめてスタンド」が使用可能なのは、リアホイールのアクスルボルトの内径が8mm以上の貫通タイプのみ。そうでない場合は、オプションとして設定されている「V受け」や「L受け」を用いる。

J・スタイル

大阪府藤井寺市大井1-4-32

TEL/072-952-2220

メンテナンススタンドを作り続けて30年あまり。日々バイクをリフトアップさせることに関しての追求、製造業であることの強みを活かし、使用される現場やユーザーの声を素早くフィードバックし、常に進化させ続けている。同社のウエブサイトでは、メンテナンススタンドの掛け方の動画などもアップされている。

「はじめてスタンド」の実践

スタンドの立て方

フロントブレーキレバーを引いた状態で固定して、前輪を動かなくする。セットに付属しているゴムバンドを用いる。

前輪の固定

スタンドアップ中の万が一のアクシデントに備えて、ハンドルを左に目いっぱい切っておく。こうすることで車体の右側に倒れてしまう可能性が相当に減少する。

ハンドルは左に切っておく

上部のノブを緩めて、左右の受けの幅をバイクのスイングアームに合わせる。ピッタリと合わせる必要性はなく、指1本ぶんぐらいの余裕があっても構わない。高さは出荷状態で基本的にはOKだが、立ててみてタイヤが設置していて回らないようであれば調整する。

受け幅の調整

左右の受けの穴と、アクスルシャフトの穴を合わせ、付属のシャフトを車体右から左に貫通させる。これでバイクを立てる準備は完了。

シャフトを通す

車体の左側のナンバープレート横あたりに立つ。キホンポジション。

バイクを起こす作法

左手でグラブバー、もしくはシートベルトを掴み、右手は車体後端を持つ。

車体後端に手を添える

車体をスタンドの右側のローラーが接地するまでゆっくり起こす。

ローラーを接地させる

右足でスタンドの取っ手部分を踏みスタンドを車体下側に潜り込ませる感じで踏み込む。手は車体を持ち上げる方向に引く感じだ。

スタンドを立てる

驚くほどの軽い力で立てられる。オーバーリッタークラスのバイクでも、原付のセンタースタンド並みかそれ以下の力の入れ加減だ。

スタンドアップの完了

 

スタンドの下ろし方

フロントブレーキレバーを固定していたゴムバンドを外し、サイドスタンドが確実に出ているかを足で確認する。ハンドルは立てる時と同様に左にいっぱい切っておく。

下ろすための準備

スタンドが動かないように、左側のローラーの前に右足を置いてストッパーにする。

ローラーの固定

左手はハンドル、右手はグラブバーまたはシートベルトを掴み、車体を前に少し押し出す。するとスタンドが外れるので、車体を左に傾けて出しておいたサイドスタンドで立てる。その後、シャフトを抜きメンテナンススタンドを取り外して終了。

車体をスタンドから下ろす

「はじめてスタンド」を立てる時も下ろすときも大きな力は不要であり、センタースタンド掛けが苦手な人でも苦労することは決してないだろう。また、上げ下ろしに関して「コツ」というのも存在しないこともポイントだ。実際に行なってみて、メンテナンススタンドが車体から外れる心配が皆無という安心感は極めて高く、1人で確実に立てて下ろせるというのも大きなメリットと言えるだろう。

 

製造発売元のJ・スタイルでは各地の用品店やイベント会場などで、スタンドの上げ下ろしなどが体験できるデモンストレーションも行っているので、そちらで体験してみるのも一考だ。会場は同社のウェブサイトに記されているので、そちらを参考にしてほしい。

 

あえて「はじめてスタンド」の “欠点” を上げるとすれば「リアホイールの脱着ができない」ことだ。だが実際問題として、それを行なうのは頻繁にあるだろうか? 少し考えてみれば、それが必要となるケースは少ないことに気付くだろう。

 

もしも、リアホイールを脱着する必要性があれば、その時にオプション設定の「V受け」や「L受け」にチェンジすれば良いのだから。

スイングアームにスタンド用のフックがある車両に用いるための「V受け」。スイングアームに傷が付かないように、先端部分はゴムでカバーされ、さらに曲げられている。

スイングアームにスタンド用のフックがある車両に用いるための「V受け」。スイングアームに傷が付かないように、先端部分はゴムでカバーされ、さらに曲げられている。

両持ちのスイングアームが装着されているであれば、ほとんどの車両に対応が可能な「L受け」。こちらも、スイングアームに当たる部分には傷防止のゴムでカバーされている。

両持ちのスイングアームが装着されているであれば、ほとんどの車両に対応が可能な「L受け」。こちらも、スイングアームに当たる部分には傷防止のゴムでカバーされている。

「はじめてスタンド」の実践

フロントスタンドもあり

リア用のスタンドだけではなく、フロントスタンドもラインナップされており、これがあればフロントホイールの脱着も可能になる。そして、バイクよりも広い幅で車体を支えることによる保管時の安定性の高さも大きなメリット。少しぐらいの揺れでは、バイクはびくともしないのである。フロントタイヤが浮かせられるから、その分負担が少なくなり、保管時のタイヤの変形を防ぐ利点もある。

 

 

レーシングマシンを “支える” 存在

メンテナンススタンドは「レーシングスタンド」と呼ばれることも多く、車体にスタンドを持たないレーシングマシンにとっては必需品とも言える存在だ。そのフィールドで絶対的な信頼を得て、高い使用率を誇っているのがJ・トリップのスタンド類なのだ。現場からの “声” を確実に製品へフィードバックさせながら進化を続け、その使い勝手の良さや、少々乱暴に扱われてもへこたれない耐久性の高さは、全日本選手権などに参戦する有力なレーシングチームから指名買いされているほど。製品としてはそういったレースフィールドで使われるものと、ストリートユーザーが手に出来るものとは全く同じ。高品質を誰でも手軽に味わえるように、とセットされたのが「はじめてスタンド」なのだ。

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