取材協力/有限会社山崎技研工業(ALCANhands) 取材・文/淺倉恵介 写真/木村圭吾 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

アルキャンハンズはハンドル周りのパーツを得意とするパーツメーカー。なかでも注目なのは、やはり看板パーツであるハンドルだ。今回は、アルキャンハンズのハンドルを実際に車両に装着して、その効果を検証。ハンドル変更によるポジションの変化が、ライディングに与える影響は絶大。ハンドルを変えて、理想のポジションを作り上げよう!!

FEATURE

走るシチュエーションによって
理想のハンドルは変わる

バイクは、全身を使ってコントロールするもの。とは言うものの、マシンと身体が実際にコンタクトする部分は意外に少ない。その代表的な3点が、ハンドル、シート、ステップだ。それでも、下半身は腰から下の身体全体を使ってマシンをホールドしたり荷重を行ったりするので、まだコンタクトエリアは広い。その点、上半身で実際にマシンと触れる部分はハンドルのみ。上半身からステアリングへの入力は、全てハンドルを通じて行われるのだ。そう考えれば、いかにハンドルが重要なパーツであるかが理解できるはずだ。

右の写真を見てもらいたい。上はCB400SFのノーマル車両。そして下はハンドルをアルキャンハンズのベーシックSFKに交換したものだ。一見してわかるのが、上半身の姿勢の違い。前傾姿勢を強いられるノーマルに対し、ほぼ直立したリラックスした姿勢をとることができている。また、太ももの角度と膝の位置にも注目して欲しい。ノーマルハンドルでは、上半身の前傾に引っ張られて膝の位置が上がっているが、ベーシックSFKでは膝の角度も緩くなっている。ハンドルを交換したことで、上半身だけでなく身体全体が楽な姿勢をとることができるようになったのだ。

上がノーマルハンドルで、下がアルキャンハンズのベーシックSFK。乗車位置からのライダー目線からみても、高さの違いは一目瞭然だ。

こうした、全身がリラックスできるライディングポジションは、白バイやジムカーナ用の競技用バイクに見られるもの。つまり、小回りが多い市街地での走りなどに向いているポジションなのだ。姿勢が楽なので、長距離走行でも効果を発揮してくれる。ならば、ノーマルハンドルが作り出すポジションが悪いのか?と言うと、そんなことはない。例えば、バイクレースの世界最高峰であるmotoGPを走るレーシングマシンは、どれも極端な前傾姿勢のライディングポジションをとっているし、オフロードを飛んだり跳ねたりするモトクロスマシンは対照的な直立ポジションだ。つまり、バイクのポジションというものは、走るシチュエーションによって理想形が変わるものであり、乗り手の体格やライディングスタイル、スキルによっても求められる形が変わってくるものなのだ。

自分のスタイルに合ったポジションを見つけられるか否かで、走りやすさには大きな違いが出る。その理想のポジション探しで、大きな役割を持つのがハンドルなのである。ハンドルの好みは意外に繊細なもの、わずかな違いが気になったりするもの。一方で、一部の特殊な製品を除いて、ハンドルは調整機構を持たない。だからこそ、多くのラインナップを持つメーカーに頼るしかないのが現状だ。

アルキャンハンズのハンドルは、ネイキッドマシン向けのモデルだけでも約40種類をラインナップ。形状の異なるパイプハンドルを、これだけ揃えているメーカーはなかなか無い。アルキャンハンズなら、自分にあったポジションのハンドルをきっと見つけることが出来るだろう。

アルキャンハンズではハンドル周りのパーツを豊富にラインナップ。グリップは大人気商品の「iグリップ(1760円)」長さや太さを変えたスリットを多く持たせたデザインで、ホールド性が抜群に高い。バーエンドプロテクション「COVER-L(2200円)」は、サイズはLとSの2サイズでカラーは5タイプから選択可能。(価格はいずれも税別)

今回紹介しているベーシックSFKは、アルキャンハンズの最新作。ノーマルハンドルと同様な絞り角度を持たせて、グリップ位置は高く設定。この形状は、CB400SFの教習車仕様をモチーフにしたものだという。多くの人が免許を取得する時に乗ったであろうCB400SFの教習車仕様。ビギナー向けにセットアップされたバイクだけあり、とにかく乗りやすいのが特徴のマシン。その乗りやすさに大きく貢献していたのが、アップライトな乗車姿勢を構築するハンドル。その、乗りやすさ、親しみやすさを再現したのがベーシックSFKなのだ。

アルキャンハンズのハンドルは、ベーシックSFKだけでなく本当に多くのスペックを持った製品が揃えられている。自分にあったハンドルを探して出して、理想のポジションを作り上げることができるのだ。

PICKUP PRODUCTS

周辺パーツもお任せ
ハンドル周りの全てが揃う

ハンドル交換を行うと、アクセルワイヤーなどのケーブル類やブレーキホースなどの周辺パーツも、同時交換が必要な場合もある。特に多いのがアップタイプのハンドルに交換し、ケーブルやホースの長さが足りなくなってしまうケース。そうしたトラブルにも心配は無用、アルキャンハンズでは車種別設計のケーブルやホースを2,000種以上ラインナップ。フルオーダー製作にも対応しているので、長すぎたり短すぎたりということがない、ジャストサイズの自分だけのケーブルを仕上げることも可能なのだ。また、バーエンドやグリップなど周辺パーツは実に豊富。アルキャンハンズというブランド名には、ALL=全て CAN=可能 HANDS=手という意味合いも込められているのだという。ハンドル周りのことならすべててのカスタマイズを可能とするメーカー、それがアルキャンハンズなのだ。 ※下記の価格はいずれも税別

01■ベーシックSFK 4000円 ●スチール製、外径φ22.2mm、2mm肉厚、エクセレントハードクロームメッキ仕上げ。全高:120mm、全幅:690mm、ホルダー取付け部の有効幅:110mm、プルバックサイズ:180mm、内入角度:25°、前傾角度:60° 要穴開け加工

02ベーシックSFKとCB400SFのノーマルハンドルを単体で比較したところ。高さにこれだけの差がある。

03■ベーシック1型 3080円 ●スチール製、外径φ22.2mm、2mm肉厚、エクセレントハードクロームメッキ仕上げ。全高:90mm、全幅:675mm、ホルダー取付け部の有効幅:125mm、プルバックサイズ:140mm、内入角度:30°、前傾角度:70° 要穴開け加工。究極のベーシックスタイル。ノーマルハンドルの補修部品としても最適な1本。

04■ベーシック3型 3410円 ●スチール製、外径φ22.2mm、2mm肉厚、エクセレントハードクロームメッキ仕上げ。全高:75mm、全幅:720mm、ホルダー取付け部の有効幅:120mm、プルバックサイズ:105mm、内入角度:15°、前傾角度:80° 要穴開け加工。ワイドでフラット、スポーティなポジションを構築するコンチネンタルスタイル。

05■ベーシック4型 3740円(税抜) ●スチール製、外径φ22.2mm、2mm肉厚、エクセレントハードクロームメッキ仕上げ。全高:75mm、全幅:675mm、ホルダー取付け部の有効幅:130mm、プルバックサイズ:130mm、内入角度:25°、前傾角度:110° 要穴開け加工。低めのポジションで、スポーツライディングと日常使用を両立するハンドル。

06■ファルコン 4840円 ●スチール製、外径φ22.2mm、2mm肉厚、エクセレントハードクロームメッキ仕上げ。全高:40mm、全幅:640mm、ホルダー取付け部の有効幅:105mm、プルバックサイズ:145mm、内入角度:37°、前傾角度:120° 要穴開け加工。セパレートハンドルに迫る、低くナローなハンドルポジションを実現。

07■バニー 4180円 ●スチール製、外径φ22.2mm、2mm肉厚、エクセレントハードクロームメッキ仕上げ。全高:130mm、全幅:650mm、ホルダー取付け部の有効幅:110mm、プルバックサイズ:220mm、内入角度:40°、前傾角度:50° 要穴開け加工。アップライトスタイルの定番ハンドル。リラックスしたポジションは街乗りで威力は発揮。

08■ドラフター1型 4180円(税抜) ●スチール製、外径φ22.2mm、2mm肉厚、エクセレントハードクロームメッキ仕上げ。全高:185mm、全幅:785mm、ホルダー取付け部の有効幅:150mm、プルバックサイズ:105mm、内入角度:20°、前傾角度:93° 要穴開け加工。オーセンティックなアップハンドル。ネオクラシックバイクのスタイルにもマッチする。

取材協力店
住所/大阪府枚方市星丘2-33-19
TEL/072-848-6110
営業時間/11:00~20:00 定休日/毎週火曜
今回、ハンドル交換を行ってくれたゲンズ枚方。1300ccから400ccまで、CB-SF系を得意とするショップ。トータルクラフトのブランドで、バイクのカスタマイズやオリジナルパーツも展開する。

BRAND INFORMATION(ブランド紹介)
住所/〒593-8312 大阪府堺市西区草部734-9
TEL/072-271-6821
アルキャンハンズ本社は大阪の堺市にある。ここは自転車関連の部品メーカーが多数存在する地域で、金属加工を手がける企業が多い職人の町。同社もそうした職人が集まった会社で、生み出される製品の品質と精度の高さは折り紙付きだ。