掲載日:2025年04月24日 試乗インプレ・レビュー
写真/川上 礁太 取材・文/小松 男
ヤマハ YZF-R125 vs ヤマハ MT-125
話題沸騰人気爆発!バイクブロス的解釈で進めるガチンコ対決企画の始まりです。今回は一昨年登場し人気を博しているヤマハの125シリーズからYZF-R125とMT-125をピックアップ!!
これら2台は発売前から結構な話題性があり、ふたを開けてみると案の定、瞬く間に大ヒットモデルとなりました。特に免許を取得したばかりのビギナーライダーや大学生、新社会人などのヤング世代からの支持を受けていますが、実はオトーサン世代のオーナーも多く、日常の足として重宝していると耳にしています。
ただ両車は同一エンジン、フレームを使用しているのです。もちろんヤマハのフラッグシップスーパーバイクであるYZF-R1直系のフルカウルスポーツであるYZF-R125と、ストリートファイタースタイルで纏められたMT-125では見た目からして異なるのですが、それ以外にもきっとキャラクターの違いはあると考えたので、もっと深い部分を調べていきたいと思います!
私、コマツダンが16歳の時当時の中型自動二輪免許を取得して最初に買ったのはヤマハ・TZR125でした。それから30年以上の年月が流れた現在のレーサーレプリカ的存在であるYZF-R125は血脈を受け継いでいるのでしょうか?
YZF-R125のスタイリングは、YZF-R1をイメージさせるバブルスクリーンやフェイスマスク、さらにはシャープなテールカウルなど、ヤマハのYZFファミリーのアイデンティティをふんだんに取り入れて纏められています。
前後のタイヤを17インチとしたいわゆるフルサイズロードスポーツモデルであることもあり、178cm、71kgのライダーが乗ってもあまり小さい印象はありません。なお、リアタイヤの幅は若干広いものの、基本骨格は同じで排気量の大きいYZF-R15も存在します。
MTファミリーの証であるバーハンドルを採用しているMT-125。昨年のMT-09、先だって発表されたMT-07など上位モデルのフェイスマスクが変更されたことに伴い、MT-125も次期モデルは顔つきが変わることが予想できます。
YZF-R125と比べ、MT-125はさらに大きな車格に感じられます。アップライトなライディングポジションは車体を自由自在に操ることができます。タンデムシートの後端が短いデザインとされているのでテール周りは引き締まった印象を受けます。
排気量50cc以上、125cc以下のエンジンを搭載した小型自動二輪車は、二段階右折や30km/hの速度制限が無い上に、二人乗りも許されており(乗車定員2名登録の車両に限る)、それでいながら税金や保険料も抑えられることなどから、メイン及びセカンドバイク、ビギナーからエキスパート、通勤通学、レジャー、ビジネスなどなど幅広い層、幅広い使い方で愛されています。
欧州圏でも16歳から取得できる二輪車ライセンスの最大排気量ということで、毎年相当な台数が販売されている市場となっています。なお、このクラスのバイクには日本に入ってきていないメーカーやモデルも多数あるのですよ!
そのような背景から各メーカー様々なモデルをラインアップしているのですが、中でも今回取り上げるYZF-R125とMT-125は趣味性が高くしかも上位クラスに劣らない作りこみがなされているプレミアムモデルとなっているのです!
2台を正面から見比べてみると、ハンドルの高さがまったく異なることが分かります。フルカウルスポーツとネイキッドストリートファイターというように明確なキャラクター付けがなされていることが分かります。
MT-125はYZF-R125と比べてさらに車格が大きく、ハンドルもワイドで高い位置にセットされているために、大柄なライダーが乗っても小さく見えません。それでいながら車重が軽いために力に自信の無い女性ライダーなどでも扱いやすいと思えるはずです。
両車が採用しているエンジンは排気量124cc、4ストロークSOHC4バルブ、最高出力15馬力、最大トルク12Nmというスペックですべて同じです。変速比まで一緒なのですから、パフォーマンスは本当に一緒ということになります。
ただ実際に乗ってみると、結構異なるキャラクターであることが分かると思います。大きくはライディングポジションからなる違いなのですが、YZF-R125はセパレートハンドルで上体を前傾した姿勢を強いられる上に、シートとハンドル間の距離が長く、車体に伏せるような格好で乗ります。しかし、腕に力が入ってしまうと上手くコントロールできないため、背筋から腰回りにかけての力の掛かり具合を意識して走ることになります。
一方MT-125はやや高めにセットされたバーハンドルと、そのハンドルとシート間の距離が短いために上体が起きる姿勢となります。加速時にはお腹にGが掛かるため、むしろ意識して上体を前へ倒すように乗って車両を操ることになります。つまりライディング時に求められる各部の入力の仕方が変わってくるのです。
ハンドル幅を比較してみると、YZF-R125はおおよそ69cm、対してMT-125は79cmほどでした。ハンドリングや操作性云々もありますが、置き場所の問題なども出てくるかもしれませんね。アップライトなライディングポジションで楽なのはMT-125です。
ステアリングピボットからシートまでの距離を計測。YZF-R125は約55cm、MT-125は約41cm。あくまでもおおよその数値ではあるのですが、この差から車両を走らせた時に感じるキャラクターの違いが結構大きいのです。
フレーム、エンジンが同じであれ見た目からして異なる両車ですが、ディテールも観察してみると違いを見つけることができます。例えばメーターディスプレイ。YZF-R125とMT-125では液晶の白黒が反転しています。それと、YZF-R125は「TRACK」という表示モードにすることで、ラップタイム計測をすることができるようになっています。
なお、それぞれ燃料タンク形状が異なり、それに合わせて容量もYZF-R125は11リットル、MT-125は10リットルとなっています。MT-125の方がよりショートなリアフレームを採用しており、マスの集中化、そして前後長が短く見えるのもポイントとなっています。タンクやリアフレームが違うことからシート形状ももちろん変わってきます。YZF-R125はライダーとパッセンジャーがセパレートシートになっているのに対してMT-125では一体型シートです。
YZF-R125のメーターでは「TRACK」モードを表示することができ、ラップタイムを計測することが可能となっています。サーキット入門マシンとしても好適ですね。MT-125のメーターは横長の液晶で白黒が反転しています。
スイッチボックスもそれぞれ違うものが採用されています。YZF-R125の方にはインフォメーションボタンなどが備わっていることが分かりますね。
YZF-R125の燃料タンクは前後に長い形状で容量は11リットル。MT-125は容量10リットルの球形燃料タンクが中に収められ樹脂製カバーで覆われています。
2台をとっかえひっかえ乗り比べてみて、どちらも良くできているなあと思いました。はっきり言ってしまうとどちらのモデルもそこまでのパワーは無いです。だからこそスロットルを全開にする快感を得られます。これが大きなポイントであり、YZF-R125で言えばスポーツライディングの基本を学ぶことができる教科書的な存在としてかなり有意義なモデルであると感じました。
エンジンをしっかりと回しながら、ブレーキングや体重移動、ステップ入力や膝入力など、セパレートハンドルモデルでの色々な走らせ方、車体の扱い方を体得することができます。全体的にカチッと作られており、むしろ上等過ぎると思えたほどです。YZF-R125であればサーキット入門にも好適ですし、YZF-R1まで続くステップアップの第一歩を踏み出すのに十分なモデルだと思いました。
MT-125は立派な体躯が自慢のストリートファイターです。意地悪な扱い方をしてもしっかりと受け止めてくれる素性の良さを持ち、だからこそエクストリーム的トリッキーな走りをチャレンジしてみたくなります。
個人的にはフルカウルスポーツモデルが好きなので、どちらにするか目の前に出されたらYZF-R125を選ぶと思いますが、日常的な使い勝手の良さという面から考えると、ライディングポジションが楽で取り回しのしやすいMT-125なので、十分悩んでから自分のライフスタイルに合う一台を選んでくださいね!!
YZFシリーズとMTシリーズの大きな違いは何と言ってもハンドルの違い、つまりライディングポジションの違いです。YZF-125のセパレートハンドルは結構低く垂れた角度でセットされておりストイックなライディングポジションで、そこが良いです!
ほぼ垂直に車体を起こした状態で、地面からのハンドルの高さを計測。YZF-R125が約85cm、MT-125は約102cm。全然違いますね!!
フルカウルスポーツモデルが好物であるために、今回のテストではついついYZF-R125を選んで乗ってしまっていましたが、日常生活で普通に使うのであればMT-125の方が向いているのかもしれません。春の新生活に合わせて購入を考えている方は、しっかり吟味されることをお薦めします!
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