富山-長野の旅

掲載日:2006年12月27日 ツーリング情報局北陸エリア    

イメージ雪深き国北陸の
今年最後のツーリング

12月に入ると全国的に寒気が入りバイクでは出にくくなりますが、乗ってますか? バイク!私、先日やっとの思いで、ヒーティングウエア上下とヒートグローブを揃えました(軟弱物といわないでください…。)若いときは、豪雪の中をバイクで新聞配達などしていたのですが、今では30年も前の貧しかった頃のよき思い出です。さて、今回は富山を出発して長野入るコースです。道すがらのお勧めスポットなどをご紹介したいと思います。このルートにはご多分に漏れず、観光や食のスポットは書き尽くせないほどあります。が、ここはツーリングということで、気持ちよく走り、食べて、体で土地を感じていただくことをモットーとしたいと思います。

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今回のスタートは「北陸自動車道滑川IC」。北陸自動車道はR8と並走していますので、何処で乗ってもいいのですが、魚津周辺の自然渋滞を回避するため「朝日IC」まで北陸自動車道を利用することにしました。富山~糸魚川までのR8は、以前ご紹介したように『ヒスイ海岸』、『親不知』などの見所がありますが、今回はスルーして糸魚川からR8をひたすら北上しようと思います。日本海は寒気が入ったこともあり、少々荒れ気味で海風に乗った潮が道行く車に覆いかぶさり、鉛色の空が冬の到来を知らせるかのように行く手に重く垂れ込めています。これが今年最後のツーリングになる、そう暗示しているようにも思えてきます。糸魚川から17kmほど走り能生の街を過ぎるあたり左手に『海洋公園マリンドリーム能生』が見えてきます。食堂や売店などの施設のほかに、とれたての海の幸を売る小屋が立ち並び、今日もお客さんで賑わっています。今の時期なら本命は、松葉ガニでしょう。『かにや横丁』と銘打ってカニを売るその光景は活気にあふれ、売り子のお母さんたちの気迫はしたたかさすら感じられるほどです。私もその気迫に負けて2ハイ買わされていました。少し休憩したところでR8をさらに北上します。海沿いを走る国道は『たにはま』を過ぎると、一旦海岸線を離れ郷津トンネルをくぐり上越市へと入って行きます。トンネルを出てすぐ左側にやはり鮮魚の看板と広い駐車場があり、看板には『魚のアメ横・さかなや魚勢』と書いてあります。北陸の冬の食を語るには寄らないわけには行かないでしょう。ここではカニばかりではなく、旬の新鮮な海産物が激安で売られており見て周るだけでも1時間ぐらいかかってしまうほど…。サービスで出してある大きな鍋の中には、身のぎっしり詰まった毛がにが。カニ汁の無料サービスです。バイクで冷えた体を温めるにはこの上ない御馳走でした(ご馳走様でした!)。

暖かさが身にしみる
新蕎麦をいただく

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上越市内でコースはR8からR18へと変わります。今日の天気は曇ったり日が差したり、道はドライ気味で少々気温は低いですが、まずまずのツーリング日和。ただ、ここからは山岳地へ入って行きますので、少し冷えるかもしれません。それでもぽつぽつとツーリング仕様のライダーとすれ違います。片側2車線の新R18は、市内の渋滞緩和と北陸自動車道への接続を考慮して作られた、まことに快適な道です。あまり飛ばし過ぎないようにしましょう。上越からR18を18kmほど走ると『道の駅あらい』が右手に見えてきます。この道の駅はハイウェイオアシスといえるだけあって、駐車場の広さや食堂街の件数もさることながら、ホテルも隣接しています。また、西隣を走る上『信越自動車道新井PA』のスマートICから、車両の出入りが出来るシステムをとっているので、PAにバイクを止めて食堂街へ出入りも可能となっています。土地を存分に使える立地条件だからこそ出来る技ですネ。再びR18を南に走ることにしましょう。しばらく走ると右前方に妙高山が見えてきます。昨夜の冷え込みで降ったのでしょうか、山の中腹より上部がうっすらと雪化粧しています。スキー場のゲレンデも白く浮かび上がり、その存在を誇示しているようにも見えますね。沿道の家々の前にはやがて来る豪雪に備えて除雪機が、窓枠には積雪に備えて板が打ち付けられています。多くの家が3階建てで1階は車庫となっており、2階が玄関に。それだけでも、積雪の多さを知ることが出来ますね。妙高山裾野には温泉が多く点在し『赤倉温泉』、『関燕温泉』、『妙高温泉』など…数え切れないほどの温泉地があり、季節を問わず温泉を楽しむことが出来ます。時間に余裕があればゆっくりしていくのもよいと思います。

イメージ『妙高高原』から『黒姫高原』にかけて、けっこう目に付くのが蕎麦の看板。やはりこのあたりも蕎麦の産地なんですね。この時期はやはり新蕎麦の時期です。熱い蕎麦を食べたくなり『黒姫物産センター』に立ち寄ることにしました。この黒姫物産センター、お土産品はもちろん、当地で生産された刃物などを展示即売しており、地下の蕎麦屋では味わい深いダシを使った蕎麦やうどんが安く食べられます。新蕎麦粉を惜しげもなく使い手打ちのざる蕎麦でもかけ蕎麦でも300円。山菜蕎麦が350円。量は多めで、私の家内などは少し残すくらいでした。店内には地元の土木作業員と思える人達が大勢おられ、その中に混ざって旅行者たちが「美味しい! 美味しい!」と、蕎麦を食べておられます。隠れたスポットとも言うべき人気店でした。

縁があってこそ見れる
幻想的ともいえる景色

イメージさて、美味しい蕎麦を味わい体が温まったところで出発しましょう。R18を少し南下すると、戸隠へ向かう県道36の交差点に出ます。右折すれば道はそのまま戸隠に向かいます。黒姫山を右手に見ながら、少し狭くなってゆく県道36をゆっくり走りましょう。この地は小林一茶の生誕地でもあり『一茶記念館』など、看板が目を引きます。県道脇には越冬野菜を売る小屋が数件並んでいて、その中でもひときわお客さんの多い小屋がありました。看板には『小林農園』と書いてありますね。店の外には大根、白菜などが大量に積まれ、それを買い求めたお客さんが忙しそうに車に積んでいます。小屋の中では漬物と熱い風呂吹き大根が、惜しげもなく無料で振舞われていました。我々も勧められましたが何分蕎麦を食べた直後で、丁重にお礼を申し上げ、旅の中で味わえる縁に感謝しつつ出発することに。

イメージ県道36は戸隠に向けて大小のカーブを伴い少しづつ標高をあげてゆきます。この時期はさすがに紅葉が終わり、落葉樹はすべての葉を落としています。走るにつれ気温が下がり標高がピークになる頃、突然目に飛び込んできたのは雪景色でした。道脇の木々の枝に薄く積もった雪があたかも花のようにも見え、幻想的ともいえるその中を走れる幸運に寒さも忘れるほどです。幸い路面に積雪はなく半分乾いた状態で普通に走れたのが奇跡のようでした。縁があるとこのような経験も出来るんですね。『戸隠高原』に入り、『戸隠神社』奥社入り口、中社前を通過するあたりから県道は下り坂になります。そのまままっすぐ走れば長野方面に行けるのですが、ちょっと寄り道してみたくなりました。お天気はなぜか快晴。空気は澄んでいて遠くの山々がはっきり見えます。県道36大望峠の展望台に行って見ましょう。お天気がよければ、この展望台からは北に西岳ピーク1・2・3、西には白馬岳などが見えるはずです。道はかなり狭いですが、ゆっくり気をつけて走れば心配はありません。鬼無里村方面に向かって進むこと約15分『戸隠郵便局前』の交差点から約5kmの道のりで、目的地の『大望峠』に到着します。峠の展望台から目に飛び込んできたのは、覆いかぶさるようにそそり立つ西岳や雪を頂く白馬…。縁があってこそ見れる景色を堪能させていただきました。

イメージ大自然の造形を堪能した後は、県道36を再び戸隠方面に戻ります。そこから県道76を走ります。ここまで来たら体も冷えてきたことだし、再度蕎麦に挑戦。『戸隠バードライン』を走り、大久保の茶屋で熱い蕎麦を頂くことにします。我々が入ったのは、『元祖手打ち蕎麦 大久保の茶屋』。文化二年から続いているというこのお店で、熱いとろろ蕎麦を注文。かつおのダシが濃く、蕎麦は打ちたて。無心で頂きました。お店の前からはガラス越しに蕎麦を打つ姿が見え、それを見ているだけでも楽しいものです。おやつに打ちたての蕎麦を頂くなんて贅沢な話です。ここからはバードラインを走り大座法師池から県道506方面に向かうとその先にちょっと面白いスポット?が…。県道506に入り、長野市街へ下りるように走ると途中にループ橋が現れます。日本全国にこのような橋はいくつか存在すると聞きますが、走ってみるとなかなか面白い! ちょっとくせになりそうでした。コーナー好きなライダーには喜ばれるかも知れませんネ。ここまでくれば長野市街は目前です。山中を走ってきた後に里へ下りてゆくとなぜか安堵感を抱きます。善光寺へお参りして帰ることにしましょう。

最後に

私の北陸ツーリングレポートは、今回で最終回となります。全8回のレポートを読んで頂いた読者の皆様に、最大の敬意を表したいと思います。また、今回レポーターとして抜擢して頂くことで、普段行くことがないところへも行くことができ、旅の奥深さを知り、人の情に触れることが多々ありました。私の拙い文章を校正し、世に出してくださった編集者の方々にも厚く御礼申し上げます。

また、いつかどこかでお会いできる日を…。

>> 今回のルートマップはこちらから

スポット紹介

道の駅 「マリンドリーム能生」

住所/新潟県糸魚川市能生小泊

電話/025-566-3456

URL/マリンドリーム能生

信州戸隠高原 大久保の茶屋

住所/長野県長野市戸隠豊岡276

電話/026-254-2062

URL/信州戸隠高原 大久保の茶屋

祐太パパ
プロフィール
祐太パパ

49歳。2006年式ハーレーダビッドソンFLHTCUI所有。ちなみに奥さんも大型二輪免許を持っており、夫婦揃って北陸だけでなく、関西・中部などあちこちまでツーリングで足を伸ばし、全国各地に知人は多い。

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