富山新港-長野まで

掲載日:2006年05月27日 ツーリング情報局北陸エリア    

貴婦人に見送られ
旅立ちます

北陸ツーリング第三弾は…“富山新港の海王丸"~“ヒスイ海岸"~“親不知"~“白馬温泉"~“長野善光寺"のルートをご紹介いたします。『なんだか毎回、海がらみのネタばかりやねぇ』とは言わないでくださいネ。今回はバッチリ海や山のネタや食事ネタをご提供いたしますから。それと…今回は少し悲しいお話も出てきます。我々バイク乗りは『道』があればこそ走れるのですから、R148“新国界橋"の二度に渡る災害の現実を少しだけ心に留めていただければ幸いです。

富山新港からヒスイ海岸へ
ヒスイ探しと鱈汁を味わいます

イメージさて、スタートは富山新港の一角に保存されている海の貴婦人『海王丸』前(海王丸パーク)です。大型練習帆船「海王丸」は、昭和5年2月14日に進水し「海の貴婦人」と呼ばれ親しまれてきました。それが平成2年4月に富山に回航し「海王丸パーク」のシンボルとなっています。運がよければ、雄大な立山連峰を背景にした海王丸の総帆展帆が見られるかもしれませんよ。駐車場に愛車を停め、海王丸を眺めながら今日走るコースなどイメージしたら、いざ出発です。

海王丸パークを出発し、臨海工業地帯の中をR415~R472と走りましょう。鏡宮交差点で左折しR8を「ヒスイ海岸に向けて走ります。富山平野のど真ん中を南北に走るR8は片側二車線と広く、大半の車は平均速度80kmオーバーで走っています。しかし、ここはちょっとだけ自粛して安全運転を心がけてください、時折公務の二輪も走っていますから。R8を40kmほど走ると「北陸自動車道魚津IC」入り口があります。先を急がれる方はここで一旦高速に乗って頂き、「朝日IC」で再度R8に戻るルートをお勧めします。魚津から朝日までの約20kmは、慢性的な渋滞区間で回避する裏道が分かりにくいのです。しかし、この区間には何も見所はないのかといいますと、そうではありません。『魚津の蜃気楼』、ホタルイカで有名な『滑川』、立山方面へ足を向ければ『落差350m 日本一を誇る巨瀑“称名滝“』など日本中に名の知れた名所が盛りだくさんです。

イメージまだまだR8を進みます。朝日町を通過し、左手に富山湾が見え始めたあたり、城山トンネルを抜けると第2のポイント朝日『ヒスイ海岸』に到着です。海岸というとほとんどの人は白い砂浜をイメージするでしょうけれど、ここ『ヒスイ海岸』には砂がありません。青や緑、そしてコバルト色などの小石が海岸にちりばめられた小石の海岸なのです。その中には青緑色に輝くヒスイの原石が転がっています。バイクを止めて海岸に出れば、必ずといっていいほどヒスイ探しをしている人に出会います。皆さんもしばし時を忘れて宝石さがしに興じてみてはいかがでしょうか。さて、宝石探しに興じた後はバイクまで戻り、周りをよ~く見渡してみてください。食堂や民宿の看板、どこも同じ文字が…そうです、ここは『たら汁』でも有名な越中宮崎なのです。“鱈"はその字のごとく冬が旬ですが、今は一年を通してどこの店もたら汁を出してくれます。食事どきにここを訪れたなら食べてみる価値は充分ありますヨ。

断崖絶壁に通る道
難所“親不知"

イメージR8もここまでくれば渋滞や信号はほとんどなく、いたってスムーズに走れます。これから向かうは天下の険『親不知・子不知』、通称『親不知』です。『親不知』は青海・市振の間を走る、曲がりくねった道と隧道が連続する約15km道の総称です。北アルプスの北端がドン! と日本海になだれ落ち、断崖絶壁となった北陸道最大の難所として知られています。その地名の由来はいくつかあるそうですが、そのうちのひとつをご紹介しましょう。『まだ道らしきものもない時代。旅人が波打ちぎわを通るときに、あまりにも道が険しいため親は子を忘れ、子は親をかえりみる余裕などなく、波にさらわれる我が子をも助けることが出来なかった』というお話です。そのような厳しい条件の中を鉄道、国道、高速道が寄り添うように走っています。いまさらながら『日本の技術力』の凄さを再認識できますね。

この辺りで休憩をするなら『親不知』をほぼクリアしたあたりにある『道の駅 親不知ピアパーク』がお勧めです。北陸自動車道「親不知IC」入り口を左に見て、1kmほど先を左折すると北陸自動車道ガード下に食堂や海産物直売の店が立ち並んでいます。潮風にあたり疲れた体を休めるも良し、お土産に海産物を求めるも良しのお勧めスポットです。地元のライダーがここまで来て休憩し、帰って行く姿もぼちぼち見られます。また、ここのもうひとつの見所は「海上を走る高速道路」。全国各地にそのようなスポットはあちこちにあるでしょうが、たそがれ時の高速道路のナトリウム灯と夕日の残照がマッチしたときの風景は特に筆舌に尽くしがたいものがあります。是非高速道路上で見ていただきたい風景ですね。先ほどから食事や休憩の話題ばかりですね(笑)。そろそろ走り出したほうがよさそうです。R8に戻り、北へ5kmほど断崖絶壁の国道を走ります。左に見える海は富山湾から日本海へと名称が変わり、海岸の景色も穏やかに、国道は糸魚川の街へと入っていきます。

災害現場に祈りを捧げ
いざ五輪村へ

イメージここでR8を右折し糸魚川~大町間を結ぶR148通称『大糸線』に入ります。ここからはひたすら山の中へ入るため、スノーシェッドとカーブ、暗いトンネルの連続になります。ここは長野五輪の折にかなり道が整備され、ずいぶん走りやすくなりました。休日ともなれば、この道には観光バスや乗用車がひっきりなしに往来しています。通行には充分気をつけてください。このツーリングの写真撮影中、スノーシェッドの上では小さい落石があり私の頭上から人の頭ほどの岩が落ちてきて、谷へ落ちてゆくのを目撃しました(ちょっとビックリ)。落石から道を守っているスノーシェッドはありがたいものですね。

R148に平行して見え隠れするのが『JR大糸線』です。平成7年7月11日の集中豪雨災害では、南小谷~小滝間(21.7km)が寸断され、復旧が危ぶまれていましたが、およそ2年4ヶ月の復旧工事の後、営業が再開されました。R148沿いには『フォッサマグナミュージアム』や『小谷道の駅 深山の湯』と見所は盛りだくさんですが、是非記憶に留めて頂きたい場所が、平成7年と平成8年に長野・新潟県境で発生した土石流災害現場のそばに建立された慰霊碑です。県境の新国界橋を一瞬にして押し流し作業員14名の尊い命を奪ったあの災害から10年が経ちましたが、国道脇の慰霊碑の前を通るとき当時のニュース報道がリアルに甦ってきます。慰霊碑の前には御遺族の方がお参りに来られたのでしょうか…被害者14名分のローソク立てに火が灯されており、お線香もあげられていました。その横にはローソクやお線香をしまっておくステンレスの箱があり、いつでも自由にお線香をあげられるようになっています。

イメージ人と自然が年中しのぎを削っているR148とは言え、現在はきっちりと対策がなされていますから安心して走ってください。スノーシェッドをくぐりながら糸魚川から約50km、1時間ほど走り、冬季五輪の村『白馬村』に入れば視界は一気に開け、目の前の八方尾根スキー場が出迎えてくれます。ちょうどこのあたりR148沿い進行方向右手に『純手打ち和食 大法院』があります。今日の昼食はここにお邪魔することに決めました。打ちたてのそばと糸魚川周辺で水揚げされた新鮮な地魚料理に御主人のこだわりが感じられ、珍しい“赤むつ"や“きじばた"を刺身や煮魚にして味わうことが出来ます。もちろん天然のエビや季節の野菜の天ぷらも絶品。今回私が注文したのは御主人お勧めの『おすすめセット』(いたって分かりやすいのです)。ざるそば、てんぷら盛り合わせ、真鯛の姿蒸し、これで1,850円! 白馬岳のすその自然の中で頂く、打ちたてのそばと新鮮な山海の幸はいたって美味…お腹も心も満たされました。

何かに導かれてここにいることは
間違いのない事実なのです

イメージ『お腹がいっぱいになったから、さて! 走りましょうか!』では芸がありません。『食べた後は温泉』という方のために白馬で名の知れた温泉をひとつご紹介しましょう。近年この界隈には温泉が幾つも営業を始め、スキー客や登山者の疲れを癒しています。今回はその中でも白馬塩の道温泉の外湯として知られている『倉下の湯』に寄って見ましょう。R148を新田森上交差点で右折、白馬大橋手前を左手に降りてゆきます。松川河川公園のすぐ近くにあり、開放感がある情緒豊かな露天風呂と白馬三山の素晴らしい眺めが旅の疲れを癒やしてくれます。私はここに来ると、長野五輪の最中、外人さんに囲まれて湯に浸かっていたことを思い出します。

『倉下の湯』でリフレッシュした後は『オリンピック道路』を通って善光寺へ向かいます。最初、今回のゴールは白馬村と決めていました。しかし、ここまできたところで何かが私を駆り立てます。『長野の善光寺まで走れ』と。白馬村の右手に、残雪の残る八方尾根。その直下にジャンプ台などを望みながら県道33号を長野方面に向かって走ります。道沿いには蕎麦屋さん、ペンションなど真新しい建物がぽつぽつと。途中R148とは立体交差になっていますので、R148をまたぐように直進しましょう。ここからはさすがに『オリンピック道路』として拡張されただけあって、道は完璧なまでに整備されています。ただすべてが新しく敷かれた道路ではなく既存の道路を有効に活用しつつ、長野~白馬間を小一時間で結びオリンピック選手や役員をピストン輸送したのです。

イメージ途中で道は県道33号から県道31号に変わりますが、そのままひたすらまっすぐ走りましょう。オリンピック道路終点手前に『道の駅 パークライン中条』があり中には食堂、野菜直売、おやきなどの販売所がありいつもお客さんで賑わうとのことです。オリンピック道路の終点は料金所になっています(自動二輪150円、22:00~6:00までは通行無料)。料金所を出て直進するとR19との丁字路に出ますので左折し、犀川沿いに長野市内に向けて走りましょう。長野市内に入ると少し前に山の中を走っていたことが嘘のように思えてきます。善光寺へは県庁前を通り、道路案内板に従い走れば到着です。門前に愛車をとめ、参拝のお客さんをただ目で追いながら今日のルートを振り返ってみると、今自分がここにいることが妙に不思議に思えてきました。でも、何かに導かれてここにいることは間違いのない事実なのです。

>> 今回のルートマップはこちらから

スポット紹介

大法院

住所/長野県北安曇郡白馬村北城塩島13478-1

電話/0261-72-7690

営業/11:00~21:00

休日/水曜日

倉下の湯

住所/北安曇郡白馬村北城9549-8

電話/0261-72-7989

営業/10:00~22:00

料金/大人500円、小人300円(3歳未満児無料)

休日/無休

URL/倉下の湯

祐太パパ
プロフィール
祐太パパ

49歳。2006年式ハーレーダビッドソンFLHTCUI所有。ちなみに奥さんも大型二輪免許を持っており、夫婦揃って北陸だけでなく、関西・中部などあちこちまでツーリングで足を伸ばし、全国各地に知人は多い。

>> WEBサイトへ

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索