『バイク乗りの勘所』

異物混入を防ぐ乗り方を

掲載日:2015年01月27日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

食品への異物混入事件が相次いでいる。バイクにとっても異物混入は、各種の深刻なトラブルの要因となるから注意が必要だ。混入と言うと、外から紛れ込むのをイメージしがちだが、外からだけとは限らない。4ストエンジンのエンジンオイルを例に挙げると、各部の摩耗粉や燃焼室から吹き抜けてくるカーボンなど、外部よりもむしろ内部で生成する異物の混入による問題が多い。中でもクラッチの摩耗粉の混入は、湿式クラッチ使用車の宿命とも言える。

品質管理の行き届いた現代のマシンで、慣らし運転が終わったあとの通常の運転において、動弁系やミッションなどから生じる摩耗粉が、オイルフィルターに捕らえられるほどの大きさかどうかは疑問である。仮に、オイルフィルターの『目』を通過するほどの大きさだったとすると対処のしようがないが、慌てて対処する必要がないとも言える。純正のオイルフィルターの『目』を通過するほど小さな異物は、交換時に、古いオイルとともに排出すれば良い。

ただ、クラッチの摩耗粉は例外で、摩擦材の種類・状態・運転状況などにもよるが、フィルターに捕らえられるほど大きな物も多々混じっている。交換したばかりなのにエンジンオイルが汚れた色をしているとか、フィルターがすぐに変色するなどというのは、クラッチの摩耗粉のしわざであることが多い。だから、湿式クラッチを使っている限り『今どきのバイクは、昔ほど頻繁にオイルフィルターを交換しなくても大丈夫』などという説には無理がある。

やはりオイルフィルターは、2回のオイル交換につき1回の頻度、最近のロングライフなエンジンオイルを使用して交換インターバルが長い場合はオイル交換ごとに新品に交換するのが望ましい。そして、クラッチを減らさない乗り方は、エンジンオイルに混入する摩耗粉を減らすうえで大きな効果があるから、本コラムの『クラッチを切るのは最小限に』や『ノンクラッチ・シフトアップのススメ』を参考に、クラッチをいたわった走りを心がけてほしい。

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