『バイク乗りの勘所』

傍若無人な“すり抜け”は、やめよう

掲載日:2015年02月17日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

すり抜けについては以前にも書いた。明確な禁止規定がなく、かといって“正しいすり抜けの方法”に関する規定もない、道交法上のグレーゾーンである。しないに越したことはないが、そうとばかりも言ってられない…というのが、多くのライダーに共通の心境だろう。だが、その“しないに越したことはない”との認識さえ皆無なのではないかと思わせる、傍若無人なすり抜けをするライダーが、ここ近年、都会を中心に増えてきているような気がする。

偏見と言われるかもしれないが、傍若無人なすり抜けは、原付二種のスクーターに目立つ。車体サイズに対して余裕のある動力性能(法定速度の違いも含めて)により、50ccではできない運転が可能なのが一因だろう。泣きどころは、追い越し加速性能である。いったん速度を落としてしまうと、軽二輪以上のバイクほど容易に元の速度に戻せない。だから、すり抜けの場合も、なるべく減速せず、それまでの速度を保ったまま行こうとする。これが危ない。

前にも書いたように、決してすり抜けを推奨するわけではないが、同じすり抜けにも、より危ないすり抜けと、それほど危なくない(または危なさを軽減する)すり抜けがある。どうしてもすり抜けしたければ、まず、いったんは前車または併走車と同等の速度に落とし、前車または併走車の様子をうかがい、さらに、前車または併走車の運転者が自分に気づいているのを確かめてから加速を開始する。相手が気づけば、すり抜けの危険性は大幅に低下する。

もうひとつ気をつけたいのは、すり抜けが終わったあとの走り方である。すり抜けのあとは、次のすり抜け…と、延々と繰り返していくのが常態化しているが、クルマの横をすり抜けた直後に前に入るのは避けたい。接触しなければ大丈夫…とばかりに、鼻先をかすめて行くライダーがいるが、それによってクルマの運転者が急ブレーキをかけ、後続車(バイクかもしれない)が追突という例も多い。後方の車間距離が充分にとれるまでは、まっすぐ行くべし。

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