『バイク乗りの勘所』

レーシングチームのドレスコード

掲載日:2011年09月05日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

古来、オートバイレースは高貴なスポーツだった。いや、オートバイそのものが紳士の趣味でさえあった。古い英国の雑誌などを見ていると、ツイードのジャケットやトレンチコートでバイクに跨がっている写真をよく目にする。レースでは、さすがにそれでは危険なので、ライダーは革ツナギが定番だったが、メカニックを除くチーム関係者やオーガナイザーらは、カジュアルではあっても、一見して上流階級とわかる服装を身につけていた。

その伝統を守ろうとしているのか、あるいは放っておくと歯止めが効かなくなると考えたのか、デイトナのレースでは、チーム関係者も取材者も、半ズボンでピットロードに入ってはいけないことになっている。すぐにTシャツと半ズボンになりたがるアメリカ人が多いから、歯止めが主目的かもしれない。そういえば、'80年代の英国には、革靴でなければ出入りできないディスコが多かった。あれも歯止だったのだろうか。

だが、歯止めではなく、伝統を守ろうとしている…と解釈したいのが、レーシングチームのユニフォームだ。MotoGP でいえばワークス系チームのユニフォームには、防寒用ブルゾン、春秋用ジャケット、整備用布ツナギ、スウェット、Tシャツ、ポロシャツ、キャップ、果ては雨合羽まで揃っているが、その中に必ず、襟つきのシャツ(いわゆるカッターシャツ)が含まれている。そして、決勝日には、メカニックもその着用が推奨されている。

TV中継などを見ていると、オートバイレースに限らず、いろんなスポーツのチームスタッフに暗黙のドレスコードがあることがわかる。半ズボン禁止は今やほとんどなく、時代とともにラフな方向に流れてはいるが、襟つきシャツというのは、未だに多くの場面で目にする。やはり、襟というのは “襟を正す” という言葉があるように、着れば気持ちが引き締まるからだろう。その効果を考え、ライディングにもぜひ、襟つきシャツをおすすめしたい。

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