ホンダのニューモデル CB250F

掲載日:2014年08月11日 フォトTOPICS    

取材・文/鈴木 大五郎 写真/富樫 秀明  取材協力/本田技研工業株式会社

多くの制約があるなかで、単純にCBRのフロントカウルを取り払ってアップタイプのバーハンドルを装着した、といった味気ないデザインになっていないところが好印象。狙いだった“たくましく、ダイナミックなデザイン”はしっかり表現されており、CBRとは全く異なった世界観を作ることに成功している。

フルカウルモデルのネイキッドバージョンにとどまらない
侮れない走行性能は多くのライダーを楽しませてくれる

2011年に発売されたタイ生産となるグローバルモデル、ホンダ『CBR250R』は圧倒的な扱いやすさと幅広いシチュエーションに対応するオールラウンド性により世界中で好評を博していますが、今春、早くもモデルチェンジを遂行。それと同時に開発され、デビューしたのがネイキッドバージョンの『CB250F』です。

“モーターサイクルの楽しさ、喜びを手軽に体感!”というコンセプトのもとに開発された同車ですが、車体、エンジンのほか、多くの部品をCBR250Rと共通としながらも、躍動感あふれるストリートファイタールックスに生まれ変わっています。しかもメーカー希望小売価格は税込みで46万4,400円(ABS仕様は51万5,160円)と、魅力的な設定です。

CBR250Rと共通となる水冷DOHC 4バルブエンジンは、単気筒らしいドコドコ感はあまり感じられませんが、嫌味にならない適度なパルス感があり、低速でも意外な粘りをみせます。通常250ccという排気量では頻繁にシフトチェンジが必要となる場面であっても、常識的な回転数であれば失速せずアクセルワークにしっかりついてきます。

低中速域の充実具合や単気筒エンジンということから、回して楽しむキャラクターかとは想像し難いのですが、これまた意外な高回転の伸びがあり、回し切って遊べるスポーティーさも併せ持っています。

ハンドリングは、もともと軽快だったCBRと比較しても、より軽快で自由度が高く感じられます。市街地でキビキビと俊敏に走らせるのを得意としているようですが、ワインディングでの走りも侮れない実力なのです。タイトで路面状況も不確定であっても、安心して身体をゆだねていけます。若かった頃を想い出し、コーナーをハードに攻め立てても、なかなか根を上げることのないポテンシャルは、さすがレースベースとしても高い実力を持つCBRの兄弟車だけのことはあります。

「若者に、もっとバイクに乗ってもらいたい」という開発者の想いは、手頃な価格というだけでは完結していませんでした。そして、それは若者だけに限定されるものでもありません。老若男女、すべてにおすすめできるマシンに仕上がっているのです。

フォトTOPICS(写真点数/17枚)

01多くのパーツをCBR250Rと共通としながらも、イメージの異なるスタイリングづくりに成功。シンプルな構成だけに、カスタマイズの可能性も期待できる。世界各国の、それぞれのカスタムマシンも見てみたいところ。

02ストリートファイターというカテゴリー分けが適切かどうかと思うほど、ライディングポジションはオーソドックスで気楽なもの。ハンドル切れ角も大きく、扱い易いエンジン特性とあいまってUターン等の小回りも非常にイージー。

03CB1000R、CB650F、CB400Fなどと共通イメージとなる、コンパクトなフロントカウルにテールが跳ね上がったホンダ流ストリートファイターデザイン。しかし、初めて触れたときのタッチの良さや安心感は、さすがホンダ製と思わせるバランスの良さで、入門マシンにも最適。

0460/55Wマルチりフレクターヘッドライトを装備するフロントマスク。ストリートファイターモデルらしい、コンパクトながらも強さを主張するデザインとなっている。

05前方視界のスッキリさを感じさせるのは液晶ディスプレイのメーターがコンパクトだからということもあるだろう。バーグラフ式タコメーターにデジタルスピードメーター、燃料計や時計、トリップ計など、小さくとも機能は充実。

06エッジを適度に効かせた燃料タンク形状。外足のフィット感が良好で、ホールドしやすくスポーツライディングでも安心だ。タンク容量は13リットルだが、燃費が良好(50.1km/L。60km定地燃費地)なのでロングツーリングにも安心。

07兄貴分であるCB1000R、CB650、400F譲りの左右のシュラウドが、デザイン上の大きなアクセントにもなっている。

08前後分割式となるシートはCBR250Rと共通。サイドが絞り込まれ足つき性に貢献しているが、シート高自体は特別低く設定されておらず、使い勝手の良さに媚びすぎない走りの性能を重視。スポーツライディングにもしっかり対応する。

09タンデム走行を考慮し、テール部には左右分割タイプのグラブバーを標準装備。ツーリングシーンに重宝する荷掛けフックも同時に装備した。ウインカーはクリアレンズを採用。

10フロントブレーキはシングルディスクながら十分なコントロール性と制動力。約5万円アップでABS仕様も選択可能。砂利が浮いているようなワインディングでの安心感や実際の安全度を考えると、価格以上の価値は十分感じられる。

11CBR250Rと共通となるDOHC 4バルブの単気筒エンジンは、エンスト寸前の極々低回転を除けば、どんな回転域からもしっかりついてくるフレキシブルさ。低回転域では適度なパルス感とトルク。高回転に向けては意外な伸びを見せる気持ち良い特性を持つ。

12ボア×ストローク比はCBR1000RRと同じ数値とされたショートストロークタイプ。F.I.のセッティングも秀逸で、自然ながら頼もしいリニアなフィーリング。また、ピストン表面コーティングに模様をつける、パターンピストンコーティングを採用。オイル保持性向上によるフリクションの低減、燃費向上を実現。

13タイヤサイズはフロント110/70-17、リア140-70-17と、このクラス標準サイズ。タイヤ銘柄はこれまたこのクラスの定番OEMとなりつつあるIRC製RX-01。比較的高いグリップ性能とソフトな感触で、乗り心地や安心感向上にもつながっている。

14ステンレス製サイレンサーもCBR250Rと共通。規制緩和により、従来モデルに対し内部構造も変更されており、より歯切れの良いサウンドとなっている。

15プロリンク式リアサスペンションは5段階のプリロード調整が可能。サスペンションの動きは特別良いと感じるものではないものの、状況を把握しやすいわかりやすさがあり、バランスは良好。価格を考えても必要十分である。

16カラーバリエーションはミレニアムレッドとブラックの2パターン。

17スリムでコンパクトな車体は市街地での使い勝手に重宝するのは間違いないが、ワインディングでの走りも実に頼もしい。ヒラヒラとした軽快さはCBR以上に感じやすく、自由度の高いハンドリングは積極的に操っていく楽しさを感じさせる。250ccシングルの熱量の少なさも、この時期には嬉しい。

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