掲載日:2020年06月14日 プロが造るカスタム
取材協力/しゃぼん玉本店記事提供/ロードライダー編集部 ※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2018』に掲載された内容を再編集したものです。
登場直後の'90年代からゼファー1100の資質に注目し、現在も多彩なカスタムを製作しているしゃぼん玉。そんな同店が、ゼファーの運動性能を高める方法論を確立する上で、大きな役割を果たしたのが、このRSのカスタムだ。
「オーナー山下さんとウチの付き合いは、今年で17年目になります。確か元々は、キャブレター交換で来店されたのですが、その作業でカスタムの魅力にハマり、以後足まわりやライポジ関連パーツ、点火系、外装一式、エンジン内部などに手を加えていくことになりました。改めて振り返ると、フロント18→17インチ化にともなうネガの解消や、ウチ独自のオリジナルパーツを開発する際は、必ず、何らかの形でこの車両が関与しています。僕を含めたウチのスタッフは、山下さんのRSを通して、いろいろなことを勉強させてもらったんです」(しゃぼん玉/代表・滝川さん)
単に動力性能を追求するのではなく、最新パーツにも興味を抱く山下さん。その愛車は、これまでに何度も仕様変更を重ねてきた。撮影後にも、フロントフォークがハイパープロに、フロントブレーキディスクがサンスター・プレミアムレーシングに変わったという。
「もちろん、ウチも山下さんも常にベストを目指してはいます。でもカスタム市場では常に新しいパーツが登場していますから、それをどうやってゼファーに取り入れていくかが、この車両では永遠のテーマになっているんです」(同)
ただエンジンは、今から10年ほど前にチューニングを兼ねてフルオーバーホールしてからは、大きな変更は受けていないそうだ。
「ずっと好調を維持しますし、最近はエンジン関連で、これと言った新しいパーツが出ていませんからね。ウチが手がけるゼファーカスタムのエンジンは、モリワキφ80mmピストンによる1258cc仕様が定番ですが、山下さんの車両はスポーティでスムーズな特性を得るため、ワイセコφ75 mmでの1107cc仕様。どちらが速いかと言ったら、それはやっぱり1258cc仕様のほうですが、高回転域まで回す楽しさなら、1107ccが上でしょう。ウチがこういった排気量による特性の違いが把握できたことも、山下さんのおかげです」(同)
滝川さんの話を聞いていると、カスタムバイクで最も大事なことは、乗り手と作り手の信頼関係だと思えてくる。もちろん、山下さんとしゃぼん玉が構築した信頼関係は、今後も続いていくはずだ。
速度&回転計はスタック。低めのハンドルは同店オリジナルのタッキーバーで、メタルボディのバックミラーはアントライオン。ブレンボ製Fブレーキ/クラッチマスターのレバーには軽量化が施される。
ステムはギルドデザイン、ステアリングダンパーはオーリンズ。アルミタンクはビーターで、カーボンサイドカバー/シートカウルは同店製。カスタムペイントはYFデザインが担当。
ワイセコφ75mmピストンによって排気量を1062→1107ccに拡大したエンジンは、ポート研磨やクランクのバランス取り、ミッションの抜け対策なども行われる。カムシャフトはヨシムラST-2で、排気系はオオニシ+ナイトロ。
ガソリンコックはピンゲル。キャブレターはTMR-MJNφ38mmで、ファンネルはヨシムラ・デュアルスタック。
ステップキット、スイングアームピボットプレート、スイングアームは、しゃぼん玉と昔から親交が深いウイリーの製品。スケルトン仕様のロックアップクラッチは、かつてワークスが販売したパーツ。
3.00-18/4.50-17→3.50-17/5.50-17のホイールはダイマグ。撮影時のブレーキディスクはプラスμで、サイズはφ 310mm/φ240mm。オーリンズRサスはスクーデリアオクムラのMEチューニングを受けている。
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