ブルドック ゼファー1100(カワサキ ゼファー1100)

掲載日:2015年04月17日 プロが造るカスタム    

取材協力/ブルドック
記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2014』に掲載された内容を再編集したものです

BULL DOCK ZEPHYR1100(KAWASAKI ZEPYR1100)

高いレベルで組み上げることで高い汎用性も持つに至った
オリジナルコンプリート2台

「ゼファーシリーズって、後期型なら、まだコンディションの良い個体が結構ある。しかも、後期型の方が各部いろいろと対策されていたりして完成度も高いわけです。それでまた、10年落ちとかでも普通によく走るんですよね(笑)。この点は、Zなどの旧車とは決定的に違うと思います。Zの場合はレストア、対策とすべてやって、その上でカスタムしていくという段取りになるわけですから。そういう意味でいくと、ゼファーをレストア兼ねてフルカスタムしたいっていう人は、まだまだ少ないような気がします。あと10年くらいしたら、ちょうどそのタイミングになってくるのかもしれませんね」(ブルドック代表・和久井さん)

初期型から20年を経ているとはいえ、ゼファー1100/750シリーズは生産中止(両車とも2006年まで)になってから比較的年月が浅い。要するに通常の修理、カスタムで、まだ用が足りてしまう段階にあると言える。それをあえてフルカスタムしようという人は、和久井さんいわく「ゼファーシリーズに半端なく思い入れを持っている人。“これにずっと乗るんだ”と決めている人」ということになる。

今回紹介する2台も、まさにそんなオーナーからのリクエストで作り込まれたものだ。赤/黒外装の車両は、街乗りからサーキットまでオールラウンドにこなせるスポーツ仕様、かたやビキニカウル仕様の方はツーリングなど街乗りメインで、サーキットでのスポーツ走行もする、といった用途が中心となっている。とは言うものの、各部の仕様には共通する部分も多い。このあたりは両車とも同店のコンプリート、GT-Mとして作られているといった事情も大きく関係しているのだろう。

つまり、各部を妥協なく作り込んでいくと、結果的に近い仕様になってしまうということだ。そして、高いレベルで組み上げられたストリートカスタムは、往々にして高い汎用性を合わせ持っているものなのである。

エンジンはいずれのマシンもJE製φ76mmピストンを組んだ1,135ccで、カムもヨシムラ製ST-2と共通。ビキニカウル仕様については削り出しのST-1Mカムなどでも良かったのでは? と和久井さんに訊いてみると「このマシンを組んだ頃は、まだゼファー1100用にヨシムラST-1Mカムの設定がなかったんですよ。ST-2も絶版ということで、名古屋のしゃぼん玉さんから最後の数セットを、あわてて取り寄せたって記憶があります(笑)」

との答えが返ってきた。その代わり吸排気系のアレンジによって、それぞれの車両に求められるパワーフィールへと仕立て直しているようだ(赤/黒はTMRφ3811-MJNにセンター集合タイプの4-1マフラー、ビキニカウル仕様は、FCRφ35mm-MJNに4-2-1マフラー)。

今となってはST-2カム仕様のエンジンは逆に稀少だし、『ボアアップで増大したトルクを上振りのST-2カムで扱いやすくする』という手法は、カスタムらしいトルク感とトップエンドの伸び、両方が味わえるという意味でも、これは当時の最適解だったのだろう。このあたりからもGT-Mコンプリートの『深さ』が、伝わってくるような気がする。

BULL DOCK ZEPHYR1100(KAWASAKI ZEPYR1100)の詳細は次ページにて

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