ノジマエンジニアリング / XJR1300 カスタム写真
ノジマエンジニアリング / XJR1300 カスタム写真

ヤマハ XJR1300

掲載日:2011年09月07日 プロが造るカスタム    

元のキャラクターを尊重しながら
モノショック化で運動性を高める

今世界的に見ても、日本でのネイキッドバイク人気は特異に見えるようだ。特にキャブレター+ツインショック。ネイキッドというスタイルを含めて、この3点の支持は日本ではとくに高い。ヨーロッパでは同じネイキッドであっても異型ヘッドランプやモノショック、FIに対しての抵抗感はないようだが、日本ではこれから、といった感もある。

 

そんなツインショックネイキッドは、オールラウンドな性能も持たされてはいるが、もっと走りの性能を高めようとした場合に一番のネックとなってくるのが、そのツインショックだ。左右でのセッティングのばらつき、スイングアームとフレームが直につながれていることからストローク量や過渡特性にどうしても限界がある。

 

今ではショック自体の性能も高いし、レイダウン等の手法でかなり解決こそしてはきたが、さらに上を望んだ場合、リヤをモノサス化するというのが一番の手法となる。それを“NJ-2/NJ-3”と呼ばれるモデルで具体化したのが、ノジマエンジニアリングだ。

 

ノジマENG.は1999年の鈴鹿8耐にツインショック仕様のZRX1100で参戦、翌2000年にはこれをモノサス化して参戦。その経緯を生かして2002年、ZRX1200Rをベースにした“NJ-2”を作製し、受注を開始した。キャブレターやマフラーの交換程度でも車体側の限界が比較的早く来てしまうZRXの潜在能力を上げたいとしてのことだった。スポーツ性を求めるライダーにはこれが好評で、NJ-2はふた桁の台数を数えるに至った。

 

これに続いたのが、このNJ-3=XJR1300改だ。ノジマではZRX以前にもXJRをレースに使っており、素性が分かるということから着手(もちろん、ユーザーニーズもこの2車に多かった)。ただXJRは車体側の限界が比較的高く、やや大らかとも言える懐の広さが強めに出ている。そのためにモノサス化でスポーツ性が高まるとしても、それによって絶妙な車体バランスが崩れる懸念もあった。それはXJR各年式でも現れていた('03年型は各部軽量化を行ったが、'02年型のまとまりのほうが取っつきやすい、など)ことだ。

 

しかしこのNJ-3では素材の良さをそのまま、しっかりとスポーツ性を伸ばしていた。モノサス化にともない足着き性はノーマルより若干劣るものの、問題のないレベル。ライポジ自体はノーマルを踏襲しており、コクピットにも特別手は加えられていない。エンジン後部懸架はラバーからリジッドに変更されるが、振動面での不満は最小限だ。動力系では排気系変更のみと、ノーマルベースにダイレクト感を上げつつ、車体チューンの分かりやすさを押し出すようにしている。

 

気になる乗り味は、XJRにもっとスポーツ性を求めるライダーを満足させるようなハンドリングを実現しているとのこと。前後輪が絶妙にマッチングしてニュートラルに旋回していたノーマルに対して、こちらはリヤが残らず素直にフロントに追従しつつ、元のキャラクター=ゆったりとした走り味は決して損なわれてはいない。NJに作られた優しさと高レベルなスポーツ性の両立。現代ネイキッドの進化を振り返れば当然の帰結と言えるだろう。

ヤマハ XJR1300の詳細写真は次のページにて

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