ERKエンジニアリング キヨナガ / GPZ900R カスタム写真
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カワサキ GPZ900R

掲載日:2011年01月19日 プロが造るカスタム    

独自の理論をベースとして
カワサキの旗艦を融合

'84~'03年に生産された水冷4バルブの元祖“Ninja”GPZ900Rと750R(こちらは'84~'86年)シリーズは、同じカワサキが送り出した空冷2バルブのZ系(同じく、1972年発表。Z1000Mk.IIを最終型とすれば1980年まで)と同様、日本が世界に送り出して後の基準となった、もしくは日本製バイクの形状を端的に決めた、さらに言えばオールラウンダーとしての、ジャパニーズスタンダードの地位を確立したモデルと言っていい。ことNinjaに関しては、レプリカともネイキッドとも異なる独自のスタイルは現在の目で見てもやっぱり新鮮だし、幅広いカスタムを受け付ける懐の広さは多くのライダーやショップを魅了してきた。

 

そんなNinja GPZ-Rをカスタムする場合、アフターパーツが豊富になった2000年代までは、誰もが考えてきたのが後継機種パーツの流用だった。1970年代のカワサキフラッグシップを請け負ったZ、1980年代にその後を継いだGPZ900R。GPZ900Rは'86年にはGPZ1000RX、'88年にはZX-10へと拡大発展、'90年にZZR1100(C)として、世界最強モデルへと進化した。'93年に登場したZZR1100(D)や2002年のZZR1200、ほかにも1997年からのZRX1100/1200シリーズは、とくにエンジン系パーツの互換性が高いとして、その大元になったNinja GPZ900Rへのパーツ流用を盛んにし、Ninja人気を支えてきているわけだ。余談ながらその後のフラッグシップとなった2000-2007年のZX-12Rや2006~年のZZR1400については、これらとの互換性は少なくなった。

 

そこでERKキヨナガの手がけたこのGPZ900R-A7だが、製作は2000年のこと。当時としては最先端と言って差し支えない仕上がりだった。オーナー山下さんは、過去にGPZ900Rの排気量拡大や、後継の1000RXエンジンへの換装を行って乗ってきた。そこから一歩進んでのキヨナガへの依頼は、「派手さは抑えて長く乗り続けられ、しかも内容は現行(2000年当時のことだ)トップモデル並みに」というものだった。

 

これを受けたERK代表の清永さんは、前述の流儀に則って、ZZR1100エンジンの搭載を提案する。ZRX1100やGPZ1100ではなく、あえてZZR用を推すあたりはキヨナガらしいところだろう。ZZRエンジンはGPZ-RやZRX/GPZ1100と異なり、吸気がホリゾンタル(水平)ではなくダウンドラフト(上下)式であるため、吸気ポートまわりや燃料タンクには軽微では済まない加工が必要となったし、互換性があるとは言ってもGPZ-RとZZRではエンジンマウント方式が異なるため、フレームも大幅な見直しを行うこととなった。

 

「GPZ-Rのダイヤモンドフレームは、ステアリングヘッド部から下に伸びるステーを強化するのが一番いいと思い、まずここを改善しました。また、ZZR用エンジンをエンジン下と同後ろのマウントで支えられるように、GPZ-Rフレーム側のスイングアームピボット周囲を補強した上で、ボルトオン式のダブルクレードルを作る感じで、補強と組み合わせてサブフレームを新作こしたんです」と、作業の内容を清永さんは説明する。この効果は絶大で、高速域で外乱を与えても車体は安定しているし、以後の整備性も問題なし。Ninjaの弱点を補強する形で、強化も済ませてしまった。まさにオーナー山下さんの望みどおりの、究極のニンジャがここに完成したのだ。

ERKエンジニアリング キヨナガ GPZ900Rの詳細写真は次のページにて

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