掲載日:2017年06月09日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/杉山研二
フルカウルの車体に649ccのパラレルツインエンジンを搭載するNinja650。パワフルな動力性能だけでなく、軽快なハンドリングや扱いやすさを持ち合わせるバランスの良いスポーツモデルです。この2017年型では、完全新設計のトレリスフレームを採用してのフルモデルチェンジが行われました。エンジンには低中速トルクを増強する改良が施され、もちろんエクステリアも一新。性能、ルックスともに大きく進化しました。
高張力鋼管を用いたトレリスフレームはパイプを可能な限り直線で構成し、曲げ部分の角度も小さくすることで加わるストレスを分散。またカワサキ独自の解析技術で最適な形状に設計しフレームの単体重量をわずか15kgに抑えました。ショックユニットとリンクをスイングアームの上側にマウントするリアサスペンションには、やはり軽量設計のスイングアームを採用。車両全体の装備重量は193kgに仕上がっています。
エンジンは従来モデルから引き継ぐ180度クランクの2気筒がベースですが、エアクリーナーボックスの形状やスロットル径、インジェクター、吸排気カムシャフトの作動角とオーバーラップなどを変更して低中回転域のトルクをさらに増強。またセッティング変更により、燃費はWMTCモードで従来モデルに比べ6.8%も向上しました。駆動系には、レース技術のフィードバックで開発したアシスト&スリッパークラッチも採用しています。
シート高は790mmと低くなり、スリムな車体もあって足着き性が向上。トップブリッジに装着されたセパレートハンドルはアップライトなポジション設定で、リラックスしたライディングからスポーティな走りまで幅広く対応します。またフロントのスクリーンは3段階の高さ調整が可能となっています。
車体カラーおよび車両価格は、メタリックスパークブラックの標準モデルが税8%込みで80万7,840円。ライムグリーン/エボニーのKRTエディションは税8%込みで82万9,440円です。
Ninja650 はパラレルツインエンジンを搭載し、フルカウルを装備するカワサキのミドルツインスポーツです。「Ninja650」は北米市場でのネーミングで、欧州では「ER-6f」と呼ばれています。また、ほぼ同一のエンジンと車体構成を持つネイキッドモデル、ER-6n もラインナップされています。Ninja650 のデビューは2005年、2008年にはフェイスリフトを含むビッグマイナーチェンジを果たしており、2011年発表の現行モデルはフルモデルチェンジが行われた第2世代モデルとなっています。
先代からの最も大きな変更点はシャシーで、従来はトレリス形状だったフレームから、2本のパイプを平行配置してツインスパー的形状を持たせたダブルパイプペリメタースタイルフレームに変更しています。軽快で扱いやすいハンドリング特性はそのままに、快適性と乗り心地を向上。足着き性も良くなっており、Ninja650 のフレンドリーなキャラクターをよりいっそう高めているのです。また、スイングアームもメインフレームと同様にダブルパイプデザインを採用しています。
ミドルクラスではツインエンジン搭載のスポーツモデルをラインナップするのがカワサキの伝統とされてきましたが、Ninja650 のエンジンは従来モデルからの発展型ではなく、初代 Ninja650 のデビューに合わせて作られた完全新設計エンジンです。以前はセンターカムチェーン方式を採用していましたが、Ninja650 からはサイドカムチェーンを採用しています。総排気量は 649cc、180度クランクを採用しており、ツインとはいえ高回転型なところが「走りのカワサキ」らしさを感じさせます。現行モデルのエンジンも基本は先代モデルから引き継いでいますが、細部を熟成し、低中速トルクを増大。日常使用での扱いやすさを向上させています。
特徴的なアッパーカウルのデザインは Ninja1000 を思わせるシャープでスパルタンなもの。スクリーンは3段階 60mm の範囲で高さ調整が可能で、高い防風性能を持っています。ハンドル位置も高めで、ポジションはアップライト。新型フレームの採用で、車体がよりスリムになったこともあり、取り回し性はかなり良好です。ABS 仕様車も選択可能で、安全性にも抜かりはありません。手頃感のあるコンパクトな車体に必要充分な力を持ち、扱いやすい特性のエンジン、そして居住性の高いフルカウルなど、Ninja650 は全てが「丁度良い」バイクです。これほど楽しく、使い勝手の良いバイクはなかなかありません。お薦めの1台です。