CLASS FOUR ENGINEERING / Z1000R カスタム写真
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カワサキ Z1000R

掲載日:2010年10月25日 プロが造るカスタム    

ドラッグレースの迫力と明るさを
ロードカスタムにいち早く吹き込む

CLASS FOUR ENGINEERING / Z1000R カスタム写真1973年のZ1を筆頭に、1980年代前半のZ1100R/GP・GPz1100までカワサキ・フラッグシップを担い続けた空冷Z系。水冷化やリヤ・モノショック、ラジアルタイヤなどバイク界の技術革新が進んだ'80年代の10年間を終える頃、それ以前の“旧車”となって過去の歴史の一部になりかけていたZに、再び脚光が差す。カスタムブームの到来だ。当時ジャンル分けが進んだバイク界にあって、ロードスポーツに定着してきた17インチホイールと、同時に進んだリヤタイヤのワイド化。その太いタイヤが履ければ、迫力が出せる、カッコよくなる。そう考えたライダーたちが、時代的背景はあったにせよ、レースからストリートに至るまでフラッグシップだったZ系にこぞってワイドタイヤを履き出した。無論、そのためのボルトオンパーツは皆無と言える時代だったから、手法は現物合わせでの起こしや、≒排気量の車両からの純正流用が主流となった。今では強度も計算してZに合うようにしたパーツ等も多く作られ、ある意味恵まれた時代ともなっているわけだ。

 

そんな時代に作られた武骨さを感じさせながら、現代のカスタム同様のフィニッシュのきれいさも合わせ持ったのが、このクラスフォーエンジニアリングのZ1000Rだ。基本的な手法はアメリカのドラッグレースからフィードバックされている。ドラッグレースは、ストック=ノーマルバイクのフォルムを踏襲しながらも、スタンダードパーツがほとんど残らないほどに大幅なモディファイが施されるということも多い。2000年台後半に入ってようやく主流はスズキ・ハヤブサやGSX-R1000、カワサキZX-14にと変わってきたが、それ以前は'70~'80年代の空冷インラインフォアが主役だった。SS(スタンディングスタート)0→1/4マイル(約402m)を7秒強で走り抜けるのに必要とされるパワーは実に200ps以上で、空冷チューンの究極でもあった。

 

クラスフォーでは、そんなドラッグシーンで'80年代末以来継続的に活動を行ってきた。そこで培ったノウハウを、このZ1000Rに惜しみなく注ぎ込んだ。ベースは'81年型(Z1000-R2)で、エンジンはワイセコのピストンにより排気量を998→1135ccとする。油冷GSX-R系の前後ホイールや、大径フロントフォーク、高剛性なアルミスイングアームなどを組み合わせるといった手法は、今でこそストリートカスタムにおける一般的なスタイルだが、ワイドホイールの装着にともないオフセットされたドライブスプロケットを外側で支えるアウトボードベアリングサポートや、エンジンマウントの強化方法は、そもそもはドラッグレース由来のノウハウと言っていい。5.50-17サイズと、当時空冷Z系としてはかなり太めに見えたリヤホイールも、もちろんドラッグイメージを狙ってのものだった。

 

そんな一方で、ストリートマシンに必要不可欠な要素として忘れられないコーナリングにおける楽しさも捨ててはいない。タイヤに応じた高機能なサスペンションパーツを選び、軽快かつコントローラブルなハンドリングを実現している。これに力強い加速力と安定性を加えた上で、トータルでしっかりとまとめ上げているのが特徴だ。

 

クラスフォーの提唱する“ストリートドラッグ”は、決して直線加速オンリーのドラッグマシンのレプリカではない。このZ1000Rのように、太めのリヤタイヤとアメリカンなカラーが似合うストリートカスタムなのだ。このスタイルの構築が既に'90年代の前半に完成され、今でも通用するところに、ストリートとドラッグレースの価値観を正しく見つめてきた同店の先見性さえ窺える。

クラスフォーエンジニアリング Z1000Rの詳細写真は次のページにて

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