

掲載日:2008年01月31日 試乗インプレ・レビュー
モト・グッツィといえば、8年ほど前に少しだけ乗った1100Sportの記憶が思い出される。当時のグッツィといえば遠いハンドルに高いシート、そして一度払うとまたがったままでは自分で出せないサイドスタンドと、小柄な僕にとってはとてもとっつきにくいバイクという印象しか残っていなかった。その上、「これでスポーツするの?」というくらいの、自分のレベルではワインディングを走ることが想像できないハンドリングだったような気がする。そんなイメージを持ったまま、最新の1200Sportに対面した。エルゴノミクスを考えてスムーズなラインを描くタンクやシート周りのデザインは、昔のようなとっつきにくいイメージはなく、またがると小柄な僕でも片足であれば安心して足が届く。目の前に広がるコクピットは現代のバイクらしく高度に電子化されていて、特にボードコンピューターには瞬間燃費や平均燃費、平均速度に最高速度、そして左手のスイッチで操作して記録できるラップタイムまで表示できる。これらに限らずすべてにおいて今風なつくりが、これまで僕の中にあったモト・グッツィへのとっつきにくさを払拭してくれた。
走り出してみても1200Sportはまったく新しいバイクになっていた。エボルツィオーネエンジンが生み出すトルクによって、クラッチミートに神経を使うことなく発進でき、タウンスピードでは高めのギアでトルクに乗って走ることができる。その上、1200Sportだけに奢られたサイレンサーが奏でるサウンドは野太くライダーを飽きさせない。下から上までトルクに載って走ることのできるフィーリングのおかげで、ワインディングでも安心してアクセルを開けて走ることができる。同じイタリアの90度V型2気筒でありながら、ドゥカティのそれとはまた違うエンジンフィールに、しっかりモト・グッツィにファンがいることを納得させられた。そして高速道路に上がるとさらにモト・グッツィの真骨頂を味わうことになる。というのも、以前取材させていただいたモトグッチリパラーレの志賀太一さんが、「モト・グッツィの魅力は高速道路を使った長距離ツーリング。長時間、高いアベレージスピードで走り続けられる性能を持っている」とおっしゃっていた。今回試乗で一番印象的だったのはまさにこのことで、高速道路をかなり飛ばしても、本当に受けるストレスが少ないのである。もちろん、ネイキッドであるから受ける風圧や風切音などはある。しかし、バイクから伝わってくる挙動というか、重力とでもいおうか、そんな必ずどこかでライダーが力を入れてしまうような要素が少なく、バイクがビシッと真っすぐ走っていってくれるのである。同じ縦にクランクを置くBMWが長距離ツーリングに強いと言われていて、僕自身それを疑わなかったが、モト・グッツィの“どこまでも行けそうな感”はBMWのそれを上回る感じだったのである。
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