【ホンダ CB1000F 試乗記】待っていた甲斐のある完成度にメロメロ!!

掲載日:2026年01月23日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男

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HONDA CB1000F

満を持して登場したホンダのニューモデルCB1000F。同社の名機CB900Fを彷彿とさせるスタイリングで纏められていながら、その中身は最新スポーツモデルに匹敵するパフォーマンスを備える。果たしてこれは、ネオクラシック系の真打ちと呼ぶにふさわしい存在なのか!?

”ホンダが本気でオマージュすると
こうなります。”の好例となる存在か

ファイナルエディションがなおもマーケットを賑わせている状況からも分かるように、ホンダには長年にわたり「キング・オブ・CB」として君臨してきたCB1300SFという、あまりにも大きな存在があった。ビッグネイキッドの王道を体現し続けてきたこのモデルは、単なる一車種にとどまらず、CBというブランドそのものを象徴する存在だったと言っていいだろう。

しかし、そのCB1300SFが生産終了となることがアナウンスされ、次なるCBはどのような姿を描くのか、CB1300SFに代わるスタンダードなスーパーネイキッドは登場するのか──そんな声がファンや市場から聞こえ始めていた。そうした中で徐々に現実味を帯びて囁かれるようになったのが、往年の名機CB900Fをオマージュした新世代CBの開発という噂だった。

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そして昨年春に開催された大阪モーターサイクルショーにおいて、その答えの一端として一般に初公開されたのがCB1000Fコンセプトである。私はその後、東京モーターサイクルショーの会場で実車を初めて目の前にすることになったのだが、コンセプトモデルの域を超えるほど細部まで作り込まれた完成度の高さから、量産化、そして市販化もそう遠くないと直感したことを覚えている。

このカテゴリー、すなわちビッグネイキッドスタイルのネオクラシックモデルにおける先駆者といえば、言うまでもなくカワサキのZ900RSである。登場以来、爆発的なヒットを記録してきたモデルであり、実際に乗ってみても、エキサイティングな走りと懐の深さを高次元で両立している点は疑いようがない。

コンセプトモデルの発表から約半年。満を持して市場に送り出されたCB1000Fは、そうした強力なライバルの存在を前に、どこまで完成度を高めてきたのか。ホンダはこの一台に、次世代CBとして何を託したのか。その答えを探るべく、今回はじっくりとCB1000Fの本質に迫っていくことにした。

ホンダ CB1000F 特徴

世界を震撼させたCB900Fという存在
それは究極のスポーツモデルだった

1969年、ホンダは国産市販車として世界で初めて、4気筒4ストロークエンジンを搭載したドリームCB750フォアを世に送り出した。すでに日本のメーカーが世界各国のレースシーンで頭角を現し始めていた時代ではあったが、4気筒エンジンを積む市販ロードスポーツの登場は、当時のモーターサイクル界にとってあまりにも衝撃的な出来事だったと言える。この一台を起点として、ホンダの4気筒ロードスポーツ、すなわち「CBフォア」の歴史が本格的に動き始めたのである。

今回登場したCB1000Fのデザイン的なモチーフとなっているのは、先述した通りCB900Fだ。では、なぜこのCB900Fは40年以上を経た現在でも“名機”と呼ばれ続けているのだろうか。その理由を、ここで簡単にひも解いておきたい。

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CB900Fは1979年、ヨーロッパ市場向けモデルとして登場した。1969年のCB750フォアに端を発する「CBフォア」の正統進化系として位置づけられ、当時のホンダが誇る量産技術、圧倒的な耐久性、そしてスポーツ性能を高い次元で融合させた存在だった。

1981年には北米市場にも導入され、AMAスーパーバイクや耐久レースの世界で活躍。とくに、後にレジェンドレーサーとして語り継がれるフレディ・スペンサーが駆り、輝かしい戦績を収めたことで、その名は世界的なものとなっていく。

CB900Fが今なお名機と語り継がれる理由は、大きく分けて三つある。

ひとつは、空冷4気筒ネイキッドとしての完成度の高さだ。エンジン性能、ハンドリング、耐久性、そして扱いやすさのバランスが極めて優れており、日常使いからスポーツライディングまでを高いレベルでカバーできる懐の深さは、当時としても群を抜いていた。

ふたつ目は、レーシングイメージと市販車としての親和性。レースで勝てる素性を持ちながら、決して過度に尖ることなく、多くのライダーが楽しめる間口の広さを備えていた点は、ホンダらしさの象徴とも言える。

そして三つ目が、そのスタイリングだ。印象的なタンク形状、角張ったサイドビュー、堂々とした4本出しマフラー(仕様による)といった意匠は、後年のネオクラシックデザインの原点とも言えるものであり、現在のCB1000Fにも確かにそのDNAは受け継がれている。

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ちなみに、日本国内で750ccを超えるモデルの正規販売が解禁されたのは1988年のこと。それ以前の国内市場には、同じCB-Fの系譜を引くCB750Fが存在し、日本におけるスポーツ4気筒の旗頭として高い支持を集めていた。一方で、CB900Fは逆輸入車としてしか手に入らない存在だったこともあり、その希少性が憧れをいっそう掻き立てていたのも事実だろう。

では、そのCB900Fが持っていた思想や価値観は、現代の技術で再構築されたCB1000Fに、どこまで受け継がれているのか。次章からは、実際に走らせた印象を通して、その答えを探っていくことにしよう。

ホンダ CB1000F 試乗インプレッション

新世代でありながら根っこはCB-F
求めていたのはこの感触だった

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量産型CB1000Fを初めて目の前にした際、まず感じた第一印象は、かつて目にしたコンセプトモデルよりも、全体がよりコンパクトにまとめられているというものだった。おそらくモーターサイクルショーという屋内展示の環境と、屋外に置かれた実車との差による視覚的な錯覚も影響しているのだろうが、実際に跨ってみても、400〜800ccクラスのミドルクラスモデルと同等のサイズ感に感じられたのは事実だ。リッターオーバークラスのCB1300SFが持っていた“巨大さ”と比較すると、CB1000Fは車体を起こした瞬間から「これは多くのライダーが無理なく操れそうだ」と直感的に伝わってくる。

セルスタートボタンを押し、エンジンに火を入れる。従来のCB900Fファンの中には、今回のCB1000Fに対して、唯一納得できないポイントとして「空冷ではなく水冷エンジンを採用したこと」を挙げる声も少なくない。しかし個人的には、そこに過度なこだわりを持つ必要はないと感じている。

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むしろ注目すべきは、CBR1000RRをベースとする水冷エンジンでありながら、アイドリング時の排気音が「ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ……」と、どこか空冷エンジンを連想させるような独特の音色を奏でている点だ。この時点で、単なる性能の転用ではなく、サウンドチューニングの段階から徹底的に作り込まれていることが伝わり、思わず唸らされてしまった。

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ギアを1速に入れて走り出すと、極低回転域から豊かなトルクが立ち上がり、車体を軽々と前へ押し出していく。クイックシフターが標準装備されていることも相まって、ストリートでの走りは非常に俊敏かつ快速で、流れに乗ること自体が楽しい。

ライダー側に引き寄せられたハンドル位置、しっかりと腰を落ち着かせることができるシート形状といったライディングポジションのおかげで、操舵の動きは驚くほど軽く感じられる。しかし、その軽快ささえも、最新ネイキッドというより、どこか昔ながらのスポーツネイキッドの感覚に寄せているように思えてくるから不思議だ。

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高速道路では、カウルを持たないネイキッドスタイルである以上、走行風を正面から受けるのは当然のこと。そのため、エンジン回転数で言えば4000rpm前後でのクルージングが最も心地よく感じられる。一方で、高回転域までどこからでも引き出せる力強いトルクは非常にエキサイティングで、とりわけ6000rpm前後を使った際の加速感は、かなりスポーティだ。車体に身を伏せるようにして操れば、さながらスペンサーの名を思い浮かべながら走っているかのような、高揚感を味わうことができる。

CB1000Fを郊外のワインディングロードへ持ち込んでみると、またひとつ新たな側面が見えてきた。近年のネオクラシックモデルの多くは、どちらかといえばストリートファイター的な、ガッチリとしたマッスル感のあるハンドリングで仕上げられているケースも少なくない。その点、CB1000Fはあえてそこから距離を取り、足まわりに“若干の頼りなさ”を感じさせるようなセッティングが与えられているように思える。

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それはリアサスペンションがやや立てられた格好でセットされていることも一因だろう。しかし実際のところ、バンク角を深く取っていっても不安定さはなく、路面からの入力をしっかりと受け止めてくれるため、結果的にはタイヤの端まで安心して使い切ることができる。つまりこれは性能不足ではなく、明確な意図をもって施された“味付け”なのである。

その“味付け”という観点でいえば、走行中にタンクを挟む内ももに伝わってくる微細な振動や、どこかザラつきを残したエンジンフィール、そして耳に届くエキゾーストノートに至るまで、感性に訴えかける要素が徹底的に追求されていることが伝わってくる。単なるスペックの話ではなく、ライダーが「走っていること」を実感できるための演出が、随所に散りばめられているのだ。

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このCB1000Fを、単に往年の名車を現代に蘇らせたモデル、と一言で括ってしまうのはあまりにももったいない。そこには、ホンダが長年培ってきた技術力と経験値、そして未来を見据えたイマジネーションが高い次元で融合しており、紛れもなく“傑作”と呼ぶにふさわしい一台であると太鼓判を押すことができる。

エンジン単体に目を向ければ、WSBKのホモロゲーションモデルでもあるフラッグシップロードスポーツ、CBR1000RRをベースとしていることもあり、当たり前ではあるが性能は圧倒的だ。少し気を抜いてスロットルを開ければ、腕が抜けそうになるほどの加速を見せ、文字通りひっくり返るような速さを体感できる。

それでも、CBR1000RRで「飛ばしている」と感じるにはかなり危険な領域に踏み込む必要があるのに対し、CB1000Fではそれよりもおよそ100km/h低い速度域で、十分に“飛ばしている感覚”を楽しむことができる。この差こそが、CB1000Fというバイクの本質を端的に表していると言えるだろう。

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CB1000Fは、予想通り市場でも好調なセールスを記録しているようだ。その完成度の高さから考えても、大きな仕様変更が加えられることなく、長くラインアップを支えていく存在になる可能性は高い。だからこそ、少しでも興味を抱いたのであれば、その瞬間こそが“買い時”なのではないか。そう思わせるだけの説得力を、このCB1000Fは確かに備えている。

ホンダ CB1000F 詳細写真

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CBR1000RRをベースとする999cc水冷DOHC直列4気筒エンジンを搭載。最高出力124PSを発揮しつつ、低中回転域のトルクを重視した専用チューニングにより、扱いやすさと鼓動感あるフィーリングを両立している。

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ショーワ製倒立フロントフォークを採用し、しなやかさと剛性感を高次元で両立。フロントブレーキはダブルディスクにニッシン製のラジアルマウントキャリパーを組み合わせ、ストリートからスポーツライディングまで安心感のある制動力を発揮する。

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丸型ヘッドライトを核としたフロントマスクは、CB-Fの系譜を現代的に再構築したもの。ヘッドライト下に備わる2連ホーンは、往年の空冷CBを思わせるノスタルジックな演出で、ディテールへの強いこだわりを感じさせる。

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スポーティなポジションにセットされたステップは、ホールド性の高い大型ヒールプレートを備え、車体をしっかり抑え込みやすい設計。クイックシフターとの相性も良く、ギアの入りは滑らかでスムーズな変速を実感できる。

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往年のCB900Fを想起させる、いわゆるスペンサーカラーを纏った燃料タンクは、量感ある造形と現代的な質感を両立。走行中は内ももに伝わる微振動やエンジンの鼓動が心地よく、視覚だけでなく感覚面でもノスタルジックな演出がなされている。

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剛性バランスを重視したスイングアームに、ワイドなリアタイヤを組み合わせ、安定感のあるトラクション性能を確保。右側に配置されたマフラーは存在感を抑えつつ、低く落ち着いたサウンドを演出し、車体全体の完成度を高めている。

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CB1000Fは高い視認性を誇る5インチフルカラーTFT液晶メーターを採用。複数の表示モード(CIRCLE/BAR/SIMPLE)から選択可能で、速度・回転・ギアポジションの視認性に優れるほか、Honda RoadSyncによるスマホ連携機能にも対応する。

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ハンドル幅は過度にワイドすぎず、ほどよくライダー側へ引かれた自然なポジションを形成。上半身の力を抜いたまま操作でき、街中からワインディングまで扱いやすい。スイッチボックスの操作性も良好で、各操作を直感的に行える。

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シート高は795mmと扱いやすい設定で、足つき性に配慮された設計。表皮にはプレス加工が施され、往年のCBテイストを演出するとともに、適度なクッション性で長時間ライディングでも安定感を保つ快適な仕上がりだ。

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やや角ばった造形のシートカウルは、CB900Fを思わせるクラシカルな意匠を現代的に再解釈したもの。フェンダー兼ナンバーステーにはターンシグナルが配置され、テール周りをすっきりとまとめつつ、軽快感を強調している。

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リアには分離加圧式シングルチューブタイプのクッションユニットと専用リンクレシオを採用。やや立ち気味に取り付けられた角度と相まって、素直なハンドリングと軽快性、乗り心地の良さを高次元でバランスさせている。

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シート下のユーティリティスペースには、工具やETC2.0車載器が収まり、多少だが余裕も持たされている。イマドキのバイクは基本電装系が集中してレイアウトされ、CB1000Fもその例に漏れない。

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