掲載日:2024年05月11日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/増谷 茂樹
KTM 250 DUKE
2024年モデルでエンジンだけでなくフレームまで一新されたスモールDUKEシリーズ。車検のいらない軽二輪クラスに当たる250 DUKEも兄弟モデル同様に新たな骨格と心臓を手に入れ、よりマッシブなルックスへと進化を遂げている。
従来型のノウハウを活かしつつ再設計されたエンジンは、EURO5+の排出ガス規制に対応し、前モデルより1PSのパワーアップを果たした。新設計のスチールトレリスフレームは、リアサスペンションのマウント位置が大きく変更されたほか、フロントのトリプルクランプやオフセットなども見直されており、ハンドリング性能も向上している。
一目見てわかる従来モデルとの違いとしては、タンクシュラウドの張り出しが大きくなり、より迫力を増していることと、右サイドにオフセット配置されたリアサスペンションが目立つようになったことだろうか。このサスペンションレイアウトによって、エアクリーナーボックスの容量を大きくすることができ、EURO5+に適合させながらも1PSアップを果たしたことにも大きく貢献している。また、シート高も下げることが可能になったとのことで、従来モデルより30mmダウンの800mmとなった。
ホイールデザインも新しくなっており、ブレーキディスクのインナーのない設計で見た目がスッキリしているだけでなく、バネ下重量も軽減されている。マフラーはショートタイプとなっており、精悍な見た目に。エキゾーストパイプにはチャンバーのように太くなっている部分があり、こちらも見た目のインパクトに一役買っている。塗装は多層ウェット塗装とされていて、しっとりとした高品質な仕上がりだ。
跨ってみると、先代モデルより30mm低くなったシート高と前方が絞られているシート形状のおかげで足付きは良くなっている。着座位置はDUKEシリーズに共通する前寄りで、エンジンの上に座っているような感覚。タンク容量が前モデルの13.4Lから15Lにアップしていることもあり、ニーグリップする部分はやや厚みを増していて内腿へのフィット感も高まっている。
エンジンは低回転域から力があり、それでいて高回転まで気持ち良い吹け上がりが感じられた。新型エンジンはSOHCに変更されているが、高回転域のスムーズさはむしろ向上している印象で、カムが1本減ったことによるネガは感じられない。7000回転を超えるとメーターパネルが赤く光り、シフトアップを促されるが、そのまま1万回転まではトルク感を伴ったままスムーズに回る。国産の250cc単気筒をイメージしていると、この力強さに驚かされるはずだ。
前述のようにタンクが大きくなっていることと、車重が前モデルの152kgから165kgに増えているため車格がアップしているようにも感じるが、実際に走り出すと重さは感じられず、ハンドリングはむしろ軽快になっている印象。これはホイール周りが軽量化されたことでバネ下重量が軽くなっている効果もありそうだ。
サスペンションは前後ともWP製APEXで、初期はしなやかに動くものの、ストローク後半にいくにしたがって動きにコシが出てくる。DUKEシリーズのサスペンションは伝統的にストロークが長めでピッチングを利用して曲がるオフロード車に近いものだったが、近年はストロークはそのままにピッチングがしっとりとした動き方になってきているが、その傾向がさらに強まった印象だ。
試乗時はあいにくのウェットコンディションだったが、前後タイヤがしっかりと路面に押し付けられてることが伝わってくるため、不安感なくワインディングを走ることができた。ニーグリップがしやすくなり、車体との一体感が増したことに加えて、シートの完成度が非常に高くタイヤの接地感がお尻を通して伝わってくる。触った際はやや硬めに感じたが、適度にクッション性もあり、長時間のライディングでもお尻が痛くなることはなさそうだ。
従来のイメージを踏襲した個性的なフロントライト。上位モデルの390 DUKEには外枠のようなデイタイムライトが装備されているが、250ではオレンジ色のパーツとされている。
面積が広くなり、存在感を増したタンクシュラウド。フロントマスクとともに、DUKEシリーズのアグレッシブな外観を作り出している。ウェット塗装がほどこされたことで、見た目の質感もアップした。
ガソリンタンクの容量がアップしたこともあり、ニーグリップする部分が太くなり内腿へのフィット感が増している。タンクの前後長は短く、着座位置は従来と変わらず前寄りのポジションだ。
LC4cと呼ばれる新型の水冷単気筒エンジン。ボア×ストローク値は72×61.1mmのショートストロークで高回転までスムーズに吹け上がる。最高出力は31PS/9500rpm、最大トルクは24Nm/7500rpm。
先代モデルと大きく印象を変えたショートタイプの排気口。斜めに切り落とされたようなシルエットで、複雑な形状のスイングアームやリアサスペンションがよく見えるようになった。
エキゾーストパイプの中間部分には、チャンバーのように太くなった部分があり、扱いやすくなったエンジン特性にも貢献。見た目のインパクトも大きい。
フレームが新設計となったことで、リアサスペンションが車体右側に配置されるように。エアボックスの容量アップや低くなったシート高にも貢献している。スプリングは390とは異なり不等ピッチを採用。
フロントフォークはWP製APEXのオープンカートリッジタイプ。太さは43mmで、トリプルクランプも見るからに剛性の高そうなものになっている。
スポークが細く、見るからに軽そうなデザインとなったフロントホイール。ブレーキディスクのインナー部分も不要となるため、バネ下重量低減の効果は大きい。ブレーキはバイブレ製のラジアルマウントキャリパーに320mmディスクを採用。
リアホイールもスポーク数が少なくなり、軽量なデザインに。スイングアームも新設計のものだが、大胆な肉抜きがされたデザインは先代モデルのイメージを踏襲している。
個人的にかなりフィーリングの良かったシート。コシのある硬さだが、タイヤ接地面の情報をしっかりと伝えてくれる。ライディング中に滑らない表皮素材となっている点も好印象。
スチール製トレリス形状のメインフレームに対して、サブフレームは加圧鋳造のアルミニウム製。個性的なデザインとなっているシートレール部分を露出させることで見た目のインパクトを増している。
メーターパネルは5インチのディスプレイ。390とは異なりモノクロ表示となる。ライドモードの切り替えには対応していないが、ABSはSupermotoモードが選べる。
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