ホンダ CBR1000RR SP

CBR1000RR SP
HONDA

ホンダ CBR1000RR SP – 見事なまでに向上したスポーティさと乗り易さ

掲載日:2017年05月14日 試乗インプレ・レビュー    

試乗ライダー・レポート/和歌山利宏  写真/徳永 茂  記事提供/ロードライダー編集部

25年前に登場した初代ファイヤーブレード・CBR900RRは、絶対出力よりもパワーウェイトレシオを追及。軽さとトータルコントロールで「操る面白さ」が実現されたものだった。新しいCBR1000RRは、そのファイヤーブレードの理念を見事に再現してみせた。今回インプレッションとして乗ることになったCBR1000RR SPは、CBR1000RRをベースに一人乗り仕様としてブラッシュアップしたモデルだ。懸架方式を始めメーターディスプレイやタンクに違いがあるものの、車体構成はほぼCBR1000RRと同じといえる。

見事なまでに向上した
スポーティさと乗り易さ

新しいCBR1000RRは、前作から基本を継承しながらも、全てが生まれ変わった。16kg軽くなった車重195kgはクラス最軽量で、最高出力は192psに留まるとは言え、11psのアップだ。トルク特性の改良や電子制御スロットルの採用で、その繋がり特性も向上。電子制御も、IMUが検知した車両の運動状態からも制御を加える最先端技術が導入された。

これらは全て"操る面白さ"実現のためと言っていい。今回は公道試乗で、しかも、走りを楽しめるはずのワインディングが積雪で走れず、ほぼ市街地の一般道だけといったシチュエーションだったが、それでも乗ったセミアクティブサスペンション搭載のCBR1000RR SPには、操る面白さを強く印象付けられたのである。

ホンダ CBR1000RR SPの試乗インプレッション

まず、CBR1000RRの車体重量と運動性の良さが印象的だ。跨って車体を足で支えるのが軽いし、スラロームや切り返しでは、あのCBR600RRを思わせるほど身軽だ。車体の慣性モーメントの低減のみならず、車体の剛性バランスも心地良いキビキビ感に貢献しているようだ。

操作系もライダーにストレスを与えない。CBR1000RRはクラッチが軽いだけでなく、オートシフターのおかげで、発進したら停止まで、もうクラッチ操作の必要がない。

エンジンも従来型よりも低速域が増強され、小気味良く加減速できる。電子制御スロットルの採用で、スロットルワークに対し、トルクが意思に忠実に出てくるので、無心に走りやすい。

ホンダ CBR1000RR SPの試乗インプレッション

新しいCBR1000RRの基本構成に大きな変更は見当たらず、車体ディメンションの違いもスイングアーム長を5mm短縮した分に留まる。しかし、車重は16kgも軽量化され、フレームは形状こそ同じでも肉厚変更により剛性チューンが施されている。スタイリング面でもカウリングが明らかにスリム化されている

コーナーでは、ハンドリングの素直さはもとより、電子制御の有効性に驚かされる。パワーモード、トラクションコントロールとエンジンブレーキの効き具合を走行中も切り換えできることに加え、このCBR1000RR SPでは前後サスペンションの伸び圧減衰力も設定できる。僕の場合、コーナーを楽しむには、パワーモードは1がいい。忠実にレスポンスし過敏さもなく、3では大きくスロットルを開けないといけなかったからだ。トラクションコントロールは、立ち上がりで路面が荒れたコーナーで、リアの接地状態を安定させるのに5が良く、エンジンブレーキは効きの弱い3がスムーズで走りやすかった。

ホンダ CBR1000RR SPの試乗インプレッション

セミアクティブサスペンションは、A(オート)モードでは、走りの状況に合わせて減衰力が自動調節される。コーナーをサーキット向きのA1でも、公道向きのA3でもこなせる寛容ぶりながら、僕には今一歩しっくりこない。コーナーを攻めていく過程でサスペンションの能力を予測してしまうためで、そうした走行中は固定されるM(マニュアル)モードが走りやすかった。

ところが、気持ちをツーリングモードに切り替えて流し始めると、事情が変わってくる。パワーモードは3のほうが寛容で、ハンドルに体重が掛かった状態でも、スロットルワークにシビアでなく、疲れない。サスペンションもAモードのほうが乗り心地が良く、それでいて状況に合わせて踏ん張ってくれる。

バイクはもっと人間に近い存在であるべきとのホンダの主張が、強烈に伝わってくる新型ファイヤーブレード・CBR1000RRSPだったのである。

CBR1000RR SPの詳細写真は次のページにて

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