ホンダ NC750X(2016)
ホンダ NC750X(2016)

ホンダ NC750X(2016) – 初代から受け継がれる抜群の快適性と利便性

掲載日:2016年08月04日 試乗インプレ・レビュー    

レポート/中村友彦  写真/富樫秀明  記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです

近年のミドルクラスの中では、かなりのハイペースでモデルチェンジを敢行している
ホンダNCシリーズ。2016年型では運動性能と質感を高める大幅刷新が行われた。

初代から受け継がれる
抜群の快適性と利便性

1月に登場した2016年型で大幅刷新が行われたにも関わらず、世間でも雑誌業界でも、話題になっている感がいまひとつ希薄な新型NC750X/S。いや、初っ端からそんな表現をすると、各方面からお叱りを受けそうだけれど、今年のホンダの最大の話題作と言ったら、NCの約1カ月後に国内販売が始まったCRF1000Lアフリカツインだし、ライバルに当たるヤマハMTシリーズの躍進ぶりを考えると、2012年のデビュー当初は世界中で大ヒットモデルとなったNCシリーズの勢いは、近年になって徐々に衰えている…ような気がしないでもない。

だがしかし、遅ればせながら7月に2016年型NC750Xを体験した僕は、このシリーズの魅力を世間と雑誌業界に改めてアピールしたい気分になっているのだった。実は試乗前の僕は、他誌の仕事で乗ったばかりのアフリカツインとMT-09トレーサーにかなりの好感を抱き、一方でNC750Xには微妙な不安を感じていたのだけれど、このモデルにはそれらに勝るとも劣らない、と言うより、それらとはまったく方向性が異なる魅力が備わっていたのだ。

ホンダ NC750X(2016)の試乗インプレッション

NCシリーズの魅力と言ったら、多くの人が思い浮かべるのは、通常のガソリンタンク部に設けられた便利な収納スペースや、エコランを意識すれば30km/L前後をマークできる燃費のよさ、大きすぎず小さすぎずの程よい車格、どんな場面でも過不足ない性能を発揮するエンジン+シャシーなどだと思うものの、僕自身が今回の試乗で最も感銘を受けたのは、乗り手がその気になっていないときのフィーリング、ゆったり走ったときの充実感だった。

ホンダ NC750X(2016)の試乗インプレッション

この件に関してはアフリカツインやMT-09トレーサーも侮れない実力を持っていて、飛ばせない環境でも特にストレスは感じないのだが、NCの場合はストレスを感じないどころか、エンジンが発する程よい鼓動感を味わうと同時に流れていく景色を眺めながら、このままどこまでも走り続けたい…という気分になってくる。そういった感触には、ちょっとハーレーや旧車を思わせる雰囲気があるけれど、もちろんNCの運動性や直進安定性は、現代のミドルクラスの基準にしっかり達しているから、峠道や高速などでこれと言った不満を感じることもない(人によっては、多少の物足りなさは感じるかもしれないが)。いずれにしてもNCシリーズには、他のバイクではなかなか味わえない資質が備わっていて、デビューから4年以上が経過した現在でも、その魅力はまったく色褪せていなかったのである。

HONDA NC750X(2016)の試乗インプレッション

さて、ここまでに述べた話は2015年型以前のNCにも通じる話だが、ホンダ自身もこのシリーズの魅力をもっとアピールするべきと感じていたのだろう、冒頭で述べたように、2016年型では大幅刷新が行われている。

今回試乗したXで最も目を引く変更点は、質感の向上を目指して全面刷新された外装だが、Sと共通の変更点であるDBV:デュアルベンディングバルブ式フロントフォークの採用や(オーソドックスなフリーバルブ式だった従来型と比較すると、乗り心地と旋回性が明らかに向上した)、緻密なモード設定が行えるようになったにDCT、ヘッドライト/テールランプのLED化、液晶メーターの多機能化なども、新型NCを語るうえでは欠かせない要素。もちろん僕としてはこれらの変更が、NCシリーズが再躍進する原動力になればいいと思っているのだが…。

後に業界の知人と話をしたところ、「NC750Xにはアフリカツインみたいな夢とロマンを感じないよね」と言われてしまった。それはなかなか的を射た表現だが、そもそもNC750Xとアフリカツインはジャンルが異なるモデルで、方向性と価格帯も違うのだから、比較することにあんまり意味はないと思う。ただし現在の僕は、NCに備わっている抜群の親しみやすさと利便性は、夢とロマンに劣るものじゃないんだよなあ、と感じているのだった。

HONDA NC750X(2016)の試乗インプレッション

豊富なバリエーションモデルを準備

従来型と同様に、2016年型NC750X/Sも豊富なバリエーションモデルを準備(X:4種、S:3種)。価格は、X:74万3040~92万4,480円、S:69万120~82万2,960円と、わずかな値上げが行われているが、多岐に渡る改良点を考えれば、異論を述べる人はいないはずだ

NC750Xの詳細写真は次のページにて

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