

掲載日:2014年10月02日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/佐川 健太郎 写真・動画/山家 健一 衣装協力/HYOD
NM4で街をクルーズしていて、まず感じるのは視線。こちらを指差して何やらひそひその若者たち、信号待ちで食い入るように見つめるサラリーマン、そして意外にも多い外国人からの熱い視線などをヒシヒシと感じる。バイクで目立つことを身上とする人であれば、それだけでも買いだ(笑)。
唯一無二のスタイリングは人目を惹くし、実際にカッコいい。アニメチックだとか揶揄する向きもなくはないし、バイクに何を求めるかによって当然好き嫌いはあるだろうが、ここまで斬新さを持ったデザインを量産バイクに、しかもこの価格で表現したことは称賛に値すると思う。
ライディングポジションだが、まずシートがとても低いので跨りやすく、足着きもすこぶる良い。ただ、起立式ピリオンシートを立てている状態では、乗り込むときに回し蹴りしないよう注意が必要だ。“潜り込むようなコックピットポジション”と謳い文句があるが、そこまで大げさではないにしろ、バックレストに背中をもたれて座ると、従来のバイクにはないリラックスした感覚になる。個人的には角度を一番立てた状態が、腰のホールド感がしっくりする。加えてボード状のフットレストもゆったりしているのだが、ハンドル位置とのバランスを考えると、もう少し手前にあったほうが自然な気も…。いずれにしても、加速時に体重をバックレストに預けられるのはありがたい。NC750cc系エンジンはもともと低中速トルクを生かした俊敏な初期加速が真骨頂で、それを発進のたびに腹筋・背筋やニーグリップで支えなくても済むだけで、どれだけ楽ができるか。
ブレーキングでも背中をバックレストに押し付けて、両足で踏ん張ることで、急ブレーキでの強烈な減速Gに簡単に耐えることができる。結果として両腕からも力を抜けるので、ブレーキ操作に専念できるし、ABS作動時のキックバックも感じ取りやすい。ちなみにブレーキは前後ともシングルディスクだが、この独特のライディングポジションと低重心な車体、そしてABSのおかげでかなり強力にかけることができる。
ハンドリングも独特だ。ロー&ロングな車体と200サイズのワイドリアタイヤの影響で、左右のロール方向には「ゴロン」と寝ていく感覚。巷のクルーザーモデルに比べるとバンク角も豊富で、かなり傾けないとステップは擦らないし、タイヤが太いのでどこまでもいける感じがする。コーナリングも250kgを超す車重の割には軽快で、左右ステップとバックレストへの荷重のかけ方で、曲がり方やライン取りをコントロールできる感覚は新鮮だ。
DCTによる変速は相変わらずスムーズで扱いやすい。個人的には市街地では俊敏なダッシュを効かせたいのでSモード、高速クルーズでは燃費を稼ぎつつ快適なレスポンスのDモード、ワインディングなどで積極的にギアチェンジして走りを楽しみたいときはMTモードがおすすめかも。また、走行モードに連動して自動的に発光色が変わるデジタルメーターもユニークで、視認性を高めるだけでなく、特に夜間やトンネルでは気分を高める洒落た演出にもなっている。
01との比較では、乗り味はまったく同じといっていい。シンプルで安い01か、装備が充実した02か、あとはスタイリングの好みで選べばいいと思う。ツーリング志向のライダーであれば、値段は少し高いがETCが使えて小さな荷物が積める02のほうがおすすめだろう。
感心したのが燃費の良さ。100kmほど市街地や郊外を走り回ってから給油してみたが、ほとんどガソリンが入らない。最近の燃料価格の高騰を考えると、これはますます魅力的に思えた。繰り返しになるが、好き嫌いはあっていい。ただ、NM4はモーターサイクルの新しいスタイルと価値観を広げる、楽しい乗り物であることは確かだ。
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