

掲載日:2013年05月23日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/佐川 健太郎 写真・動画/MOTOCOM 衣装協力/HYOD
VTR のルーツは、1982年登場の 『VT250F』 にまで遡る。クラス世界初の水冷 90 度V型エンジンを搭載し、フロントに小径 16 インチホイールを採用。徹底した軽量設計などで俊敏な “走り” と軽快な “操縦性” が楽しめる、高性能ロードスポーツモデルとしてセンセーショナルにデビューした。
エンジンは新開発の水冷4ストローク 90 度V型2気筒 DOHC 8バルブ 248cc で、当時の4ストローク 250cc マシンとしては驚異的な 35ps の高出力を実現。ホンダ独自のプロ・リンク式リアサスペンションや、このクラスの市販車に初めて採用されたフロント 16 インチホイールなど、当時のレーシングマシンの技術を投入することで卓越した操縦性を発揮。149kg のライトウェイトを武器に、峠では “ナナハン” をカモる走りも見せつけた。
ビキニカウルを装備した先進的なデザインもさることながら、油圧クラッチやフルトランジスタ点火、電気式タコメーター、インボード・ベンチレーテッド・ディスクブレーキなど、当時の最先端テクノロジーを結集した、スーパークォーターだったのだ。
大ヒットととなった VT は進化を続け、レプリカブーム絶頂の1987年に登場した 『VTZ250』 はシリーズ最強の 43ps/12,500rpm を達成。その後もアルミフレーム搭載の 『VT250スパーダ(1988年)』、ハーフカウル仕様の 『ゼルビス(1991年)』 とキャラクターを変化させつつも、Vツインエンジンは進化と熟成を重ね、1998年には現行モデルへと続くトラス構造ダイヤモンド型フレームを採用した新世代の 『VTR』 をリリース。2009年には電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)を新たに採用し、より洗練されたスポーティな外観に一新された。
そして2013年。各部のさらなる熟成とともにハーフカウルをまとった VTR-F が新たに登場。歴史の1ページとして加えられたのだ。
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