アプリリア RSV4R APRC
アプリリア RSV4R APRC

アプリリア RSV4R APRC – 電子制御システムによるライダーサポートが進化

掲載日:2011年09月29日 試乗インプレ・レビュー    

アプリリア RSV4R APRCの試乗インプレッション

アプリリア RSV4R APRCの画像

エンジンからハンドリングまで
すべてがスパルタン

ノーズとテール部分が小さく凝縮された、見るからにコンパクトな車体。ライディングポジションも前傾がきつくシートは高いし、ちゃんと車体をホールドしていないと前につんのめりそうな感じだ。ライダーを快適にさせるような装備も一切ついていない。RSV4 は性能を追い求めることで存在意義を主張する、スーパースポーツというジャンルの中でもとりわけ過激なマシンである。

エンジンを始動してみると、Vツインと直4をミックスしたようなサウンドが聞こえてくる。イメージとしては、低速だとVツインのようにバラバラとした鼓動感があるが、回すほどに直4的な滑らかな高周波音に変わっていく感じだ。バランサーを内蔵しているためか、派手な排気音の割に振動は少ない。

アプリリア RSV4R APRCの画像

一定速度で流している分には穏やかなのだが、スロットルを開けると一転してパワーが弾ける。加速力は日本仕様といえども侮れない。「本当に106psなの?」と疑いたくなるほど強力なダッシュで軽い車体を一瞬でレッドゾーンまで引っ張っていく。まさに俊敏なスプリンターといった感じだ。

ハンドリングも軽快かつシャープで、ストリートだとちょっと神経質と思えるほどパタンとバンクしてくれる。重心が高い感じで、シートの高さも利用して倒し込んでいくタイプで、その発想がまさにレーシングマシン的。フレーム剛性も高く、さらに前後サスペンションもダンパーが効いた固めの設定のため、乗り味はかなりハードだ。RSV4 シリーズには前後サスにオーリンズを装着した「ファクトリー」という最上級バージョンがあり、以前これに試乗したことがあったが、どちらかというとファクトリーのほうが足まわりはソフトでストローク感もあった印象である。「R」はというと “吊るし” の状態では足が固くて、なかなか乗りこなしている実感を得にくいと思うので、最初に思い切ってサスセッティングをしたほうが良さそうだ。

アプリリア RSV4R APRCの画像

車名にもなっている APRC は素晴らしいシステムだ。まず、ライディングモードは右手のスイッチ操作で簡単にモード切り換えが可能で、3段階ある設定(ロード/スポーツ/トラック)で明らかに出力特性が変わったのが分かる。モードによって特にスロットル開けしなのレスポンスの鋭さとパワーの立ち上がり方が異なるが、これはビギナーでも感じ得ると思う。個人的には市街地走行やツーリングを含む大半の場所で、出力特性が穏やかな「ロード」が乗りやすいと感じた。

ATC (アプリリア・トラクション・コントロール)も試してみた。といっても、ストリートでトラコンを作動させるほど過激なライディングはできないので、ある条件でリアタイヤを意図的に滑られてパワースライド状態を作ってみたが、見事に点火が間引かれて、断続的に後輪に駆動力が伝わる様子がよく分かった。その他の「ウイリーコントロール」や全開ダッシュ時に作動する「スタート補助機能」なども設定できるが、走行環境的にテストすることはできなかった。

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ブレンボ製ブレーキに関しては効力、コントロール性とも申し分ないのだが、ここまで電子制御が進んでいるなら、スポーツタイプの ABS が付いたバージョンなどがあってもいいと思った。

いずれにしても、RSV4 はかなり先鋭的なマシンには違いない。「速く走れ!」とライダーを挑発してくるが、その性能を引き出してライディングプレジャーを味わうには、いくら APRC のサポートがあるとは言え、相応の腕が求められる。やはりサーキットが相応しいマシンなのだ。

アプリリア RSV4R APRCの詳細写真は次ページにて

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