モトグッツィ ステルビオ
モトグッツィ ステルビオ
ステルビオ峠生まれのイタリアン・マルチパーパス

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
写真/磯部孝夫

取材協力/福田モーター商会

モトグッツィ ステルビオ – 峠生まれのイタリアン・マルチパーパス

掲載日:2008年12月14日 試乗インプレ・レビュー    

ステルビオ
峠生まれのイタリアン・マルチパーパス

はじめに、最近のモト・グッツィには乗る機会がなかったので、最新事情には疎いことを告白しておく。ではグッツィに対して興味が無いのかと言えば、その逆である。約8年前になるが、ちょうど今回試乗したステルビオの前身である、クォータ1100に試乗した印象は今も強く残っている。ステルビオのアーティスティックなデザインとは正反対の味気ないデザイン、それに平凡なスペックで、当時は興味の湧かない車両であったが、試乗後の評価は一転した。アクセルに力強く、ゆったりと反応するトルクリアクションの大きなエンジン。それをストロークの長い脚を持つ腰高のフレームに搭載するクォータは、良い意味で緩い挙動と鼓動感のあるエンジンがあまりにも気持ちよく、本気で購入を考えさせるほど魅力的だった。

モトグッツィ ステルビオの画像

そんな経験から、今回の試乗は楽しみ半分、不安も半分といった心境だった。あの心地良さが無くなってはいないだろうか? それが心配だったのだ。

セルボタンを押すと、90年代初頭からFIを採用するグッツィの経験を物語るように始動直後からアイドリングが安定し、思いのほか迫力ある排気音を奏でる。ブリッピングしてみると以前と比べ、車体を傾けるトルクリアクションは薄く、軽い吹け上がり。グラッと車体を大きく揺らす、以前のグッツィを知っていると少々物足りなさを感じてしまう。

モトグッツィ ステルビオの画像

走り出してみると、以前のゆったりとした大きな波に押されるような感触とは異なり、爆発力がしっかりクランクを蹴っているような感覚で、低回転から力強いトルクを発揮し、車体を弾くように押し出す。そのせいか、タコメーターを意識しないとピークパワーの7500回転より遥か手前の6000回転あたりでシフトを次々とあげてしまう。加速はなかなか鋭い。きっちりレッドの始まる8000回転まで回せば、105馬力のクワトロバルボーレ(4バルブ)の弾ける加速をさらに味わえるが、デュアルパーパスであることを考えると、ピークまで回すよりも早めのシフトが合う。

車体は見た目の脚の長さから、柔らかいサス設定かと思いきや、ダンピングが強めで無駄な沈み込みの無いロードよりの設定。車名になったステルビオ峠で鍛えられたハンドリンングはステム位置が高いせいで切り返しではダルさを感じるが、大径19インチのスポークホイールが、ギャップからの突き上げを綺麗に消してくれ、無神経にコーナー途中のギャップに突っ込める安定性重視のもの。

モトグッツィ ステルビオの画像

以前の緩い心地よさは薄れたが、今度は鼓動と弾ける加速で魅了する。味は変われど相変わらずイタ飯は美味い。ぜひご賞味あれ!

モトグッツィ ステルビオの詳細は次ページにて

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