掲載日:2012年01月25日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/淺倉 恵介
巨大なエンジンに前後のタイヤが取付けられたような、特異なスタイリングが印象的な MT-01。Vツインエンジンを搭載したロードスポーツモデルではありますが、パフォーマンス向上ばかりを狙ったものではなく、走りのテイストを追求したという、ルックスだけでなくコンセプトもユニークな1台です。MT-01 が世に姿を現したのは、1999年の東京モーターショー。その時点ではコンセプトモデルとしての展示でしたが、キーワードである「鼓動」を具象化したような力に満ちたフォルムは大きな話題となり、多くのライダーが市販を熱望しました。それから数年、MT-01 は2005年に市販モデルとしてリリースされました。コンセプトモデルが市販化されると、スタイリングやディテールが変わってしまうのが常ですが、MT-01 はコンセプトモデルとほとんど変わらない姿で市販され、好評を博しました。
スタイリング上、大きなファクターとなっているエンジンの排気量は 1,670cc、北米向けのクルーザーモデル “Road Star Warrior” のエンジンをリファインしたものです。φ97mm×L113mmのロングストロークタイプのボア×ストロークに変更はありませんが、吸気・排気系及びクランク周りは新設計。90PS の最高出力は 4,750rpm、15.3kgf-m の最大トルクは 3,750rpm で発生させるなど、高出力化、高回転化されており、MT-01 に相応しいエンジン特性を与えられています。エキゾーストシステムには、ヤマハ独自の排気デバイス “EXUP” をマルチエンジン以外では初めて搭載。テールアップスタイルのサイレンサーは、排気が発生させる圧力をライダーが直接体感できるようにと、乗り手に近い位置に配置されたものです。
フレームはスーパースポーツモデル YZF-R1 にも採用されている、CF アルミダイキャスト製。フロントフォークには倒立フォークを、スイングアームには低圧鋳造で形成された逆トラス形状のアルミ製リアアームを採用するなど、シャシーの構成パーツもクオリティの高いものばかりが使用され、高い走行性能を確保しています。また、各部の質感は非常に高く、MT-01 のプレミア感を演出しています。「速さ」というくびきから解き放たれた、「走り」の新たな価値観を持ったモーターサイクル。それが MT-01 なのだといえるでしょう。