【Page7】吸排気にも正しい相性があるんです

掲載日:2010年01月15日 特集記事ザ・パワーチューニング    

記事提供/2009年7月1日発行 月刊ロードライダー 7月号
JAM Co.,LTD <[TEL>048-227-2462 〒332-0004 埼玉県川口市領家 5-7-25
Photo/柴田直行 Text/中村友彦

パワーを引き出すための考えと最前線

吸排気にも正しい相性があるんです

JAMでは伊DiM SPORT製サブコン、ラピッドバイクの扱いを開始。多様なセンサーを設定、既存品と一線を画する緻密な制御が行えるそうだ。予価5万5000円~、取付・セットアップ工賃は4万円~。上写真が本体と車種別ハーネスの基本セット、左写真がマップ切り替えスイッチ等OP

 

上段のZ1、下段のイナズマ1200に装着されるのは、いずれもGSF1200から流用したBSTφ36mmだが、JAMでは'80年代以降のカワサキ車用CVKφ34/36mmやヤマハ車用BSRφ37mmを使うケースも少なくない(詳細は6月号のZ特集を参照のこと)。なおJAMではこうした負圧式キャブをZ系に装着できるアダプターも開発中


吸排気系の変更は昔からパワーアップの王道と言われているけれど、意外な落とし穴も多い。実際にチューニングを行う際の注意点を、吸排気系セッティングで定評を得ているJAMの成毛さんに聞いてみた。

 

── 吸排気系を変更すればパワーが上がる。多くのライダーはこれを当然と思っているが、そもそも、どうしてパワーが上がるのか。

「元々エンジンがそれだけの資質を持っていたから、ということになると思います。逆に言うと、キャブやサブコン、マフラーは魔法のパーツじゃないですから、エンジンが本来持つ以上のものはどうやったって出てこない。ただ市販状態のバイクは、ある意味で性能を抑えている部分もありますから、ユーザーの使い勝手に合わせて吸排気効率を上げれば、たいていの機種で眠っているパワーを引き出すことが可能なんです」

 

── その手法の第一歩に選択されることが多いのがマフラー交換。しかし実はこのマフラー交換こそが、ある意味では最大の難所なのである。

 

「マフラー購入時にユーザーさんが気にするのは、まずルックスですよね。次にパワーと音が来ると思いますけど、メーカーの公表データだけでは、実際の特性は分からない。だから疑心暗鬼のまま購入される方も多いようですが、実は各社のマフラーには明確な個性があるんです。最高出力重視の製品があれば、低中速がトルクフルになるケースもあるし、形や音はいいんだけどパワーが出ないものもある。僕自身はどれを選んでもいいと思うんですよ。“パワーが出なくてもこの形と音が大好きだ”って言うなら、それはそれでアリでしょう。ただ構造的にパワーの出しようがないのに、これで馬力を上げてくれって言われると、非常に難しい。だからマフラーを購入する前は、ウチを含めたチューニングショップやオーナーズクラブなどで情報収集することが大事だと思います。

 

── 吸気系の変更については、キャブではFCRやTMRといったアフター製にするのが一般的だが、JAMでは純正ベースの負圧式を薦めるケースも多い。

 

「どれだけパワーが出せるか、そのキモは“エンジンや排気量に合った口径”です。強制開閉式にしたからと言って、パワーが上がるわけじゃない。逆に負圧式にはFCRやTMRにはない扱いやすさがありますから、ウチではお客さんの希望や用途に応じて、推奨品を変えているんです。それから、『マフラー特性をキャブで補正してくれ』って言う人がいますけど、基本的にキャブでの補正には限度がある。だからこそマフラー選びは大事なんですよ」

 

── 吸気系変更について、インジェクション車の場合はどうだろうか。こちらはキャブのような口径拡大が一般的ではないが・・・・・・。

 

「純正のインジェクションはその性能を100%使っているわけじゃないですから、マップ変更でパワーアップは十分可能です。これまでの経験から言うと、セッティング不要と言われているマフラーでも、マップに手を加えると調子がよくなることが多いですね。このマップ変更は、ウチではこれからRAPiD BIKEというサブコンを導入し、よりキメ細かい対応をしていく予定です。いずれにしても、吸排気系の変更とセットアップは、エンジンとのバランスを取る作業なんです。確かにパワーは上がりますが、それはバランスを取った上での副産物、と思ったほうがいいのかも知れませんね」

 

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