掲載日:2015年12月21日 トピックス
記事提供/アウトライダー編集部
文/野岸“ねぎ”泰之 写真/鳴海 武史
※この記事は雑誌『アウトライダー』の連載企画『ツーハピ・ラボ』に掲載された内容を再編集したものです
※記事の内容は雑誌掲載当時のものです(アウトライダー vol.52 2012年1月11日発売)
ライダーなら誰もが、自分の走っている姿の写真が大好きなはずじゃ。さらにあこがれるのが空撮じゃろう。一度でいいから、自分の走行シーンを空から見てみたいものじゃな。しかし、たとえラジコンヘリを飛ばすにしても大掛かりでお金もかかる。そこでもっとも手軽に実現できそうな方法として、凧を利用してみることにしたのじゃ。『仮面の忍者・赤影』の白影が懐かしいのぅ(古っ)。
手始めに、子供の頃には本物が買ってもらえず悔しい思いをしたゲイラカイトを入手して飛ばしてみると、明らかに小さくてパワー不足な感じじゃ。
ならばと少し大きめのスポーツカイトで試してみたが、今度はクルクル回るばかりで、とてもカメラを吊るどころではない。調べてみると、凧からの空撮を“カイトフォト”と呼び、趣味とする人たちがいることがわかった。
達人の作ったウェブサイト『凧から空撮』によれば、凧は意外と簡単に自作出来るとか。そこで早速、所員をホームセンターに走らせ、研究所内で凧を作らせたのじゃ。もちろんワシもサボっておったわけじゃないぞ。凧にカメラを吊るす装置を製作したのじゃ。さて、出来栄えはどうかのぅ。
まずは凧作りからじゃ! ホームセンターでダンポールという農業用の棒と、厚めで大きなビニール袋を購入。大まかな位置を決め、袋を開いて大きめに裁断。
凧の中央に、三角のパーツをテープで接着。糸をつなぐ部分はガムテープで補強。
両側のフレームはビニールを巻き込みテープで固定する。
背中側の横に通すフレームの固定には、鉛筆キャップを加工して利用。
ゲイラカイトと比べるとけっこうデカいじゃろ。
つづいてカメラマウント(リグ)の製作。ホームセンターでアルミの細板を購入。切断、折り曲げ、穴あけを行なう。
カメラは100円ショップのプラケースに入れ、レンズ部分は熱したカッターで切り取る。
アルミ板は3枚。黒いノブの部分は凧糸を巻きつけるためのパーツ。
ケース内でカメラが暴れないよう、スポンジを詰めて調整。
完成品はロープウェイが90度横を向いたような形。ノブやアルミ板に凧糸が擦れて切れないよう、テープで養生したほうがいい。これを凧に引っ掛けるのじゃ!
手始めに、ゲイラカイトをバイクで引っ張ってみたら、おもしろいように揚がりおるわい。まるで人懐っこい犬の散歩をしているようで楽しいのぅ。ま、何の得にもならんが、年賀状写真のネタなどには楽しかろう。
所員003号に凧を持たせ、スタンバイ完了じゃ。凧糸は無限に伸びないよう、ハンドル付近に固定したぞ。さぁ~飛ばすぞい!!
「せーの!」でスタートと同時に凧を離すと、いきなり空に舞い上がったのじゃ。そのまま走り続けると風を受け続けることになって、凧はいつまでも飛んでいる。自分で見られないのが悔しいが、なんとも酔狂じゃのぅ。
いよいよ自作の大凧を揚げてみると、これがまたグングン揚がるのじゃよ。さすがは優秀なる所員たち…実際は参考サイトの設計図が秀逸だっただけじゃがな、ファハハ。しかし、いきなり凧の近くにカメラを吊って引っ張っても、さすがに重くて揚がらんのじゃ。極意は、ある程度の高さまで凧を揚げて安定させてから、カメラを吊る装置を引っ掛けることじゃぞ。所員003号が慣れぬ手つきで揚げた凧にカメラを下げ、周囲をぐるぐる走り回ってから慎重に凧の高度を下げ、カメラを回収してみると…ウォッホン、みごとにワシらの勇姿が写っているではないか。この際ピンボケは許そう。
ある程度凧が揚がったらカメラを吊るす。リグはノブ部分をクルっと糸に巻きつけるだけでオーケー。なるべく高い位置に取り付けたい。
おおっ! カメラが揚がっていく!!
糸を繰り出せばカメラはグングン揚がる。あとは周囲を走ってうまく写り込むだけじゃ。
ウォッホン、ちゃんと空撮になっとるじゃろ。カメラの向きを逆にすれば、糸を写さないことも可能じゃな。
動画の場合はデジカメを録画モードにしてそのまま揚げればよいが、静止画の場合は一定時間ごとにシャッターを切る“インターバルタイマー”が必須じゃ。リコーのカメラには実装されているが、他の現行機種にはほとんどない。しかしキヤノンのカメラなら“CHDK”というファームウェアを自己責任で入れると、インターバル撮影が可能になるのじゃ。さて、次は自分で凧を引いて空撮にチャレンジじゃ~。
周囲の安全を充分確認し、あらかじめ所員の揚げた凧が安定したところでカメラをセット。さらに糸を伸ばしたところで糸巻きを受け取り、バイクを走らせる。
カメラがある程度揚がったら、所員からバトンタッチして糸巻きを受け取る。あとはひたすら走るのじゃ~!
するとどうじゃ、凧は人が揚げた時よりも風を受けてグングン上昇し、高いところで安定。その結果、みごとにセルフ空撮に成功したのじゃよ。風による揺れや振動でどうしてもブレるのと、ピントが凧糸に合いがちなのは、まだまだ改良の余地アリじゃが、正直ここまで撮れるとは思ってもみなかった。実験としては大成功と言えるじゃろう。
バイクで走り続ける限り、凧は風を受けるのでまず落ちることはない。周囲の安全が確保できる場所まで来たら、ゆっくりと糸を巻き取って、カメラを回収するのじゃ。年甲斐もなくワクワク、ドキドキしてしもうたわい…
どうじゃ! まるでヘリから撮影されたパリダカのワンシーンのようじゃろ!? では次回も、ライダーのハッピーのためにがんばるかのぅ~(つづく)。
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