働くバイクはいろいろ! トンネル内の緊急事態に現場へ急行/首都高パトロール バイク隊 黄バイ 後編

掲載日:2018年07月26日 トピックス    

取材協力:首都高パトロール株式会社、首都高速道路株式会社
文/池田大二郎 写真/長谷川徹
記事提供/バイクブロス編集部
※この記事は『BikeBros.平成三十年上期編』に掲載された内容を再編集したものです。

働くバイクはいろいろ! トンネル内の緊急事態に現場へ急行/首都高パトロール バイク隊 黄バイ 後編の画像

このバイクをご存知だろうか? パトランプや装備など、一見すると警視庁の白バイ関連のモデルと思うライダーも多いのでは。今回紹介する「働くバイク」は通称「黄バイ」と呼ばれる一台。首都高パトロールのバイク隊の活躍を紹介しよう。

ホンダCB400SBを機能増
パトロール用の装備が満載

それでは改めて車両を紹介する。細かい紹介は写真の説明で解説。ここではそもそものところを。車両は御覧のようにホンダCB400SBベースとなっており、緊急時の交通整理や走行規制を実施する装備が中心だ。

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リヤビュー・シングルシートカウルに変更し、その上に通信機器BOX。アンテナと赤色灯はステーに接続し、情報を捉えやすく、かつ赤色灯は認知されやすくしている。

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メーター回り。メーターについては、基本市販車ベースでそのまま。しかし左右のグリップ付近には、赤色灯、スピ―カー、通信機器のコントロール機器が集積されている。男子が好きな多ボタン。

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ヘッドライト下の黒い四角部がドライブレコーダー。バイク隊の日報のようなものであり、かつパトロール遂行の記録撮影のひとつ。ペア3組が山手トンネルの出入口と大橋ジャンクションを巡回する。

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赤色灯とウインカーが被るため、ウインカーの位置が変更に。そしてリヤの機器が多いためバックミラーがハンドル上部に。

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車両待機中は常に充電中。いつ何が発生するかわからないからこそだ。基本はペアでの出動になる為、2台が充電中。常にパトロール、出動が業務のため、この車両の走行距離はなんと3万キロオーバー。

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リヤのドライブレコーダー。何重にも受けられる通信機器体制で状況確認をし、緊急時に最適、迅速な対応をとる。いかに情報を共有できるかだ。

サイドボックスの中には、事故やトラブルを付近に伝える発煙筒や電飾誘導棒、トンネル内のアップダウンに備えた車輪止め、ブレーキ状態を維持するブレーキレバーロック、マーキングチョークなどを基本としている。特徴のひとつはマスク。トンネル内ということもあり、充満するガス・煙対策への備えだ。

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右サイドボックス内。写真がその中身。緊急時の安全走行をいち早く回復させるための発煙筒や誘導指示棒、アップダウンのあるトンネル内の車輪止め。ポーチの中身は所謂、応急箱。これらを常備している。

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ビキニカウル付近のポケット。安定駐車させるためのブレーキレバーロックは簡単にかけられる。他、現場用のマーキングチョークやメジャー。緊急事態の整理に迅速な備品がポケットにも携行されている。

またドリンクを積んでいるのは、緊急のお客様の水分補給用。センターのボックスのようなものは積載関連ではなく、中には専用の通信機器が搭載されており管制室からの指示・情報をここで受け情報端末と交信する。

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左側のボックスには、通信機器に関するものが多数。携帯電話、トランシーバー、ブルートゥースなどの通信はとても重要で最新・正確な情報を逃さないた何重にもわたる通信方法がとられている。

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注目の通信機器ラインナップ。20年前でいうと、ポケベルとPHSとガラケーという絶対につながる態勢。管制センターからの指示、ライダー同士の情報交換、西東京事業本部からの指示によって、優先順位がつけられている。基本は携帯からの通信が最優先。

あくまで白バイではなく、パトロールと緊急交通整理が業務のためヘッド&テールライト下にドライブレコーダーが。赤色灯とスピーカーは、前方に2台、後部に1台。赤色灯の位置がノーマル車のウインカーの位置に接触するため、ウインカー位置が変更に。バックミラーはより後方の視野を広げるためビキニカウルからハンドル部に。一見普通のCB400SBだが細かいところが変更されている。

黄バイ隊員の携行・装備品は
オリジナルと市販の組み合わせ

最後に首都高パトロールバイク隊の隊員の携行・装備品を紹介しよう。協力頂いたのは、このキリッとした表情の西東京事業本部バイク隊原隊員。原隊員は、一個班を率いる班長だ。この日丁寧に業務の紹介や説明に協力を頂いた。ライダーの気になるところから記載していく。ヘルメットはショウエイ社製に会社のロゴを前後に装着&プリントしている。

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ヘルメットはショウエイ社製をベースとしたオリジナル仕様。前方には会社のロゴ。後方のデザインも同じく会社のロゴをデザインしたペイントを施している。普通にカッコイイ。通信機器もデフォルトで設置。

ベストはヒットエアー社。トンネルの中は最新の換気システム、ミスト散布など通常のそれとは異なるが、やはり暑さは課題の一つ。このジャケットはメッシュ製でエアバッグも備えている。もちろん胸部プロテクターと脊椎パッドも基本装備だ。グローブは春夏・秋冬用が基本パターン。春夏グローブについては、実はコミネの市販商品。会社で支給しているそう。

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グローブは2パターンと一般的。冬用のグローブには会社のロゴがある特別仕様。しかし、春夏グローブについては、何と市販品のグローブが。グローブは、コミネ製のグローブで色は合わせたという。

通信装備が最も重視されている。携帯電話、トランシーバー、ブルートゥースマイクなどを常に装備し事態や優先指令に応じて受け取り機器まで変わる。トンネルという環境もあり、つながらない可能性を排除しているのだ。

バイク隊の隊員は、月に1度の高度操縦訓練が義務付けられており操縦技術の維持と向上に努めているそう。練習用バイクは13台。大井基地のスペースで実施。オフ車も2台あり、基本バランスを鍛えるのにオフ車はうってつけという。ツインリンクもてぎでの技術研修も行っている。

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管制センターからの情報、指示はここにまず来る。パトロール以外は基本待機。フロアの奥には休憩スペースもある。24時間365日という態勢の中、いつくるかわからない緊急事態に備える緊張は想像できない。

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隊員のベストから出ているコードのようなもの。これはバイクに接続するエアバッグのセンサー。仮に転倒などが発生し、バイクとの距離が一定以上離れコードが切れた際にエアバックが作動する。

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ベストにはエアバッグ用のエアボンベとエアバッグ起動装置となるキーボックスが。ここから伸びるワイヤーを車体につけるのが黄バイ乗車時のルール。ワイヤーは断絶で作動となる。

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通信機器のひとつトランシーバー。バイク毎にナンバー分けがされていて、基本はバイク毎の通信機器系統となっている。携帯電話、ブルートゥース、トランシーバーという3重で最新・確実な伝達を実現する。

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何だかんだいってもこのような「笛」はやはり欠かせない。騒音が外より大きいトンネル内では、明らかな「異なる音」が必要な時も。その意味でとても有効な備品のひとつだとか、そういえば最近売っていない。

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ベストは、ヒットエアー社製。トンネルは外より気温が高いため、メッシュ素材などで暑さ対策。胸部プロテクターと脊髄パットのダブル装備。通信機器などベストの装備一式となるとかなりの重量になる。

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