KTM 2014年エンデューロモデル(EXCシリーズ)
KTM 2014年エンデューロモデル(EXCシリーズ)

KTM 2014年エンデューロモデル(EXCシリーズ)

掲載日:2013年08月01日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/三上 勝久  写真・取材協力/KTM ジャパン

KTM 2014年エンデューロモデル(EXCシリーズ)の試乗インプレッション

KTM 2014年エンデューロモデル(EXCシリーズ)の画像

2014モデルのEXCシリーズは
大きな変更が目白押し

KTMは毎年このEXCシリーズをモデルチェンジしているが、今回はフレームとエンジンに大きく手を入れたメジャーアップデートとなった。まず、4ストロークエンジン搭載モデルのフレームを新設計。エンジンを取り囲むクレードル部分のパイプにより薄く軽い素材を採用し、全体的に幅もスリムに変更。合わせてステアリングヘッド部分の構造も変更、これらによって車体全体での軽量化と剛性の最適化を果たしている。

エンジンは、250/350 EXC-Fのシリンダーヘッドを大変更。バルブを大径化、合わせてボアも拡大、パワーバンドでのトルクを4Nmもアップさせている。500 EXCもバルブトレインまわりのパーツを軽量化、エンジン全体で軽量化したうえで耐久性も向上させている。もちろん変更はこれだけに留まらない。4ストロークエンジン搭載モデルのコンロッド大端ベアリングをニードルローラーからプレーンベアリングに変更、これによってメンテナンスサイクルを100時間から135時間へと大幅に延長。セルモーター内部パーツの変更、ミッションの変更など数多くの点が変更されている。

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ミッションが6速から5速に変更された250/350 SX-Fは、正直エキスパートでないと昨年から変更された事に気付かないほどの乗り易さ、速さを継続している。ミッションの段数が減った事によるデメリットはまるで感じられない。

SIXDAYSモデルに採用されるサスペンション、WP製「4CS」もリニューアルされた。わずかな衝撃でもクイックに吸収するレスポンスの良いセパレート・ファンクションフォーク(左右で伸び側・圧側の減衰を独立して担う)だが、初採用された2013モデルではフルボトム時の減衰がやや不足気味とエキスパートに評価されていた。今年はフォーク最下部のバルブを改良する事により、フルボトム時にもしっかりと耐える特性を手に入れている。

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目的とスキルで選べる
広いバリエーション

最初に乗ったのは125 EXCだった。自転車のように軽い車体はまさに自由自在。125ccの2ストロークというとピーキーなイメージを受けるかもしれないが、このマシンは違う。スロットルをわずかに開けているだけでも急坂をしっかり上っていけるような低中速トルクをもっている。それでいて、開ければ上位クラスのマシンを置き去りに出来るような強烈な加速を見せる。KTMのマシンの中で唯一キックスタートのみのモデルだが、2012モデルからセル付きの200 EXCとクランクケースが共通化された事で、後付けでのセル装着も可能になった。ビギナーからエキスパートまで、誰にでもお勧めできるマシンだ。

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200 EXCは、その125にひとまわり太い低中速トルクを与えたマシンだ。125でも低中速は十分にあるのだが、200だと開け始めからさらに太いトルクがあるので、アクセルをさほど開けずともハードなセクションにトライ出来る事がメリット。始動もセルで、足つきが厳しいようなシチュエーションでも苦労する事なく走破する事が出来る。2000年代前半の200 EXCはかなりピーキーな性格だったが、現在のモデルでは250に極めて近いトルキーな性格に仕上がっている。

250/300 EXCは、ハードエンデューロでは鉄板と言える1台だ。125、200に比べるとやや大柄だが、極低から発生する巨大なトルクは世界唯一とも言える頼もしさ。アイドリングでも壁を上っていけるような強烈なトルクでどんな難所もイージーに走れてしまう。もちろん、開ければ4ストロークの500ccに迫る加速力を発揮する。開け過ぎないで走るのがポイントのマシンだ。

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4ストロークエンジン搭載モデルでは、250/350 EXC-Fが激変した。7,000rpm~レッドゾーンの間で4Nmもトルクが増えたのはダテではなく、これまでストールしがちだったヒルクライム直後や、ワダチに落ちた時などの低速での信頼性が大きくアップしている。350 EXC-Fはかなり巨大なトルクを発生するため、スロットルコントロールは250に比べてシビアになるが、それでも小柄な車体に絶大なトルクを発生するエンジンの組み合わせで頼もしい。250 EXC-Fはすべてのスタンダードと言える出来で、これは125 EXCと並んでビギナーからベテランにまで自信をもってお薦めできるモデルだと言える。

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500 EXCもイイ。このクラスになるとビッグシングルというとらえ方をする人が多いが、単気筒特有の低速でのパルス感がキレイに消されているので実に扱いやすい。エンジンのトルクとパワーは排気量なりのモンスター感があるが、丁寧にスロットルコントロールを行えばとても従順。さらに、車重が多少重い事によって、結果的にサスの作動性能がアップしていて、250/350よりもギャップ時のショックが少ない乗り味に仕上がっている。このクラスになると、高速道路を使用したツーリングも視野に十分入ってくるので、ホビーユーザーにもお勧め出来るモデルである。

以上、日本に輸入されるモデルをざっと紹介してきたが、オフロードを楽しみたいならどれを買っても最高の体験が出来るモデルばかりだ。ビギナーには125 EXCか250 EXC-Fをお薦めするが、500 EXCはツーリングユーザーにぜひお薦めしたいモデルである。トレールバイクでは満足がいかない、刺激的な世界を求めているライダーはぜひ一度乗ってみてほしい。きっと目から鱗が落ちるはずだ。

KTM 2014年エンデューロモデル(EXCシリーズ)の詳細写真は次ページにて

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