ハスクバーナ TR650ストラーダ
ハスクバーナ TR650ストラーダ

ハスクバーナ TR650ストラーダ – 軽快かつエキサイティングに!

掲載日:2013年03月29日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/田宮 徹

スクバーナ TR650ストラーダの試乗インプレッション

スクバーナ TR650ストラーダの画像

アクセルを回す楽しさが詰まった
扱い切れるチューンドエンジンが魅力

デュアルパーパス仕様と同時開発された、大排気量シングルエンジンのヨーロピアンモデルという事から、シートポジションはかなり高め。数値上の高さは860mmで、ABSレスのTR650テラよりは15mm低いが、ABS仕様のテラとはわずか5mmの違いしかない。このため、身長167cmで体重66kgの筆者だと、シートのもっとも足着き性が良い位置にまたがった場合でも、両足の裏がかろうじて接地する程度だ。

ただし、車重は燃料満タン状態でも186kgに抑えられていて、このクラスではライトウェイト。そのため、車体を片足のみで支えているのはそれほど苦ではない。身長が170cm以上あるライダーや、それ以下であっても、これまで250ccクラスあたりのオフロードバイクに慣れ親しんできたようなライダーであれば、意外と不安は少ないのではないかと想像できる。

スクバーナ TR650ストラーダの画像

ハスクバーナによってファインチューンされた652cc水冷単気筒エンジンは、テラとストラーダで完全に共通化されている。その最大のウリは、ライダーをわくわくさせるパワーフィールだ。停車状態からのフル加速では、シングルエンジンらしい歯切れの良い排気音とともに、俊敏なスタートダッシュをみせる。

恐らく車体姿勢の違いまたは足まわりの重量差が影響して、今回試乗したストラーダと、その直前に乗ったテラを比べると、1速でフロントタイヤが浮き上がる感じは、テラのほうが多めにあった。とは言えその差はごく僅か。ストラーダも、1速でちょっとラフにアクセルを開ければ、すぐに前輪が地面を離れる。

スクバーナ TR650ストラーダの画像

これは、ややローギアードに設定されたギア比も関係している。変速比は、1速で最高約70km/h、2速で約100km/hに設定されていて、これが58馬力を有効に使った鋭い加速力につながっている。ちなみに、一般的な市街地走行であれば、低中回転域でも十分なトルクという感じだが、このエンジンが特に力強さを発揮するのは、5,500回転を超えてから。スポーティに操るなら、この領域を積極的に使っていきたい。58馬力という最高出力は、言ってみれば国内仕様の4気筒400ccと同レベル。リッタークラスとは違って、高回転をキープして走るのも怖くない。

一方で極低回転域では、単気筒エンジンらしい粘りに加え、燃料供給にF.I.を使用している事もあり、クラッチを切らずに人が歩くような速度で走らせても、エンジンがストールしてしまうような事がない。このため、例えばUターンは非常にしやすい。通常時の走行では、4,000回転以下の領域で、アクセルを全閉状態から少し開けたときに、いわゆるドンツキのような症状を感じることがあった。ただし、大きく車体姿勢を乱してしまうようなレベルのものではなく、走り込むうちに慣れるレベルだった。

スクバーナ TR650ストラーダの画像

TR650シリーズの車体は、極めて高いスポーツ性能というよりは、全体のバランスを重視したような設計となっている。実際のコーナリングは、ややハンドル舵角を多めに感じさせながらも、非常にニュートラルだ。超高速コーナーでは、やや挙動が不安定になるシーンもあったが、そのような状況でも十分にライダーの制御下にある。

タイヤのサイズと銘柄の違いから、やはりテラよりはストラーダのほうが、舗装路でのスポーツ性は高い。純正装着されているタイヤは、テラがデュアルパース仕様なのに対し、ストラーダは90%はオンロード重視ながら10%はオフロード走行も意識したメッツラー製のツアランスEXP。このため、絶対グリップも、テラよりストラーダのほうが上だ。

スクバーナ TR650ストラーダの画像

またストラーダには、左手スイッチで作動のオン/オフを選択できるABSが標準装備されている。このABSは、一般的な舗装路の走行時には、絶大な効力と安心感を発揮してくれる。上級者なら、ABSをオフにしてアグレッシブに操る事もできるし、一般的なライダーであれば常時オンにしておけば安心して乗ることができる。

ハスクバーナによって公道走行をターゲットとしながらチューンされた刺激的なエンジン、バランスがよく扱いやすい車体、様々な状況下で制動しやすいブレーキ、そして欧州ハスクバーナというブランド力。TR650ストラーダには、数多くの魅力が詰まっている。

しかも、日本での車体価格は87万7,000円とかなり低めに抑えられ、荷物積載用ケースなどのオプションも充実。日常的なシティランのパートナーとして、または短中距離を中心としたツーリングマシンとして、さらにはワインディングを楽しむスポーツバイクとして、満足できる1台になっている。

スクバーナ TR650ストラーダの詳細写真は次ページにて

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