ヤマハ ツーリングセロー(2012)
ヤマハ ツーリングセロー(2012)

ヤマハ ツーリングセロー(2012) – ツーリング性能を強化した派生バージョン

掲載日:2012年11月21日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/田宮 徹

ヤマハ ツーリングセロー(2012)の試乗インプレッション

ヤマハ ツーリングセロー(2012)の画像

セロー本来の扱いやすさと
追加装備による快適性が融合!

ツーリングセローは、2012年型セロー250に4つの旅系アイテムを装着したモデルなので、エンジンの基本性能などはベースモデルに準じることになる。しかし、ハンドルまわりに2つのアイテムを装着し、リアまわりにも大きなキャリアが追加されたことから、走りのフィーリングはスタンダードのセローとは若干異なっている。

車両重量は未発表だが、当然ながらツーリングセローはスタンダードよりも重め。とくにフロントまわりは、スタンダードと直接比べてしまうと、重さの違いにすぐ気づく。しかし、セローはそもそもが軽量級であり(130kg)、装備追加によって重量が増えてもなお、軽快感のあるモデルといったフィーリングだ。そして、わずかな重量増と引き換えに、ツーリングセローは多くの快適性と利便性を手に入れている。

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専用装備されたアドベンチャースクリーンは、確実にウインドプロテクション効果を生みだしている。身長167cmの筆者がシッティングで乗っていると、首から下に当たる走行風がかなり削減され、高速道路を移動するような時には、疲労や寒さの軽減につながる。また、このスクリーンベース部はフロントガードを兼ねている。さらにスタックしたマシンを引き上げたりする時にも役立つ。ベースモデルのセロー250も、ハンドル下側にハンドルスタンディングを装備しているが、握る場所の選択肢が増えることになる。山奥へと両足を着きながらトコトコと進んでいくマウンテントレールを提唱するセロー。時にはマディ路面でスタックすることもあるだろうが、仲間と力を合わせて乗り切って行ける、というわけである。

また、ハンドルグリップ部に装備されたブラッシュガードも、オフロードライディング時に役立つ。道にせり出した木の枝や、前走車が跳ね飛ばした石などから、ライダーの手や指先をしっかりガード。実際に転倒させたわけではないが、軽い転倒時には、レバー類が破損するリスクも低減されるはずだ。さらに、オンロード走行時にもブラッシュガードは効果を発揮。指先に当たる走行風が減るため、冬場には寒さの低減にもつながる。

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リアキャリアの使いやすさは一目瞭然。フラットな天板は、荷物の形状を問わず固定しやすい。後部には荷掛けフックもあり、武骨なフレームも使いながら、簡単にコードを掛けることができる。タンデムシートの左右にまでステーが伸びているため、タンデムライディングへの支障が気になるだろうが、実際にはステーがタンデムグリップを兼ねていて、意外と乗りやすい。タンデムライダーの体格によっては、ステーがふくらはぎの内側に当たるが、ひどく気になるレベルではない。

もちろん、走りにおけるセロー250の長所は、ツーリングセローへとそのまま引き継がれている。エンジンは、極低回転域で非常に粘り強く、クラッチをつないだまま1速で歩くよりも遅い速度で走らせても、ストールしない。これは、両足を着きながらゆっくりオフロードを進む場合に、とても頼もしい設定と言える。一方、低回転域ばかりが注目されがちなセローだが、じつはその吹け上がりはなかなかに力強く、スムーズで心地良い。ショートなギア比との組み合わせにより、市街地をきびきびと走ることも可能なのだ。

ヤマハ ツーリングセロー(2012)の画像

サスペンションは前後とも柔らかく、シートもこのジャンルとしてはソフトなフィーリングで、長距離をのんびりクルージングするのも意外と快適。ブレーキは、見た目こそかなりベーシックだが、前後とも入力に対して非常に忠実で、オンロードはもちろん、オフロードでもじつはハードブレーキングができてしまう。シート高は、前後21/18インチホイールを履いたフルサイズオフロードモデルとしてはかなり低めで、身長167cmで体重66kgの筆者がまたがると、ちょうど両足の裏がぺたりと着く。滑りやすいオフロードを、足を着きながらゆっくり進んでいけるのがうれしい。

ところでこのツーリングセローには、さらなるオプションパーツとして、アドベンチャーリアキャリア専用のサイドバッグサポートバー(1万1,500円)や、アドベンチャースクリーン専用のビレットナビマウント(4,935円)も用意されている。好みに応じて、さらにハードに使えるツアラーに仕上げることも可能だ。

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セロー250が持つ良さに、オフロード走行を含めたツーリングでの快適性と利便性がプラスされたツーリングセロー。その走りには優しさが詰まっているのに、旅先ではとても頼れる相棒となる。もちろん、メインマシンとしても大活躍すること間違いなしだが、ランニングコストが低めの軽二輪クラスということを考えると、ツーリング専用のセカンドマシンとしても人気となりそうだ。

ヤマハ ツーリングセロー(2012)の詳細写真は次ページにて

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