【Page5】ライバルたちとWR-F

掲載日:2010年07月14日 特集記事WR-Fの軌跡    

2010年3月6日発行 月刊ガルル No.288より記事提供

BATTLE HISTORY

ライバルたちとWR-F

レーサーとして造られたWR-Fにとって、ライバルたちとの乗り比べはモデルチェンジをする度に多くの誌面を取って行われてきた。バイクは比較してこそ、個々の特徴が立体的に浮き上がる。ここではライバルたちから見たWR-Fという視点から、5バルブエンデューロを語ってみる。

本誌2000年3月号では、前年の99年9月のパリショーに出展されたDR-Z400と、XR400Rもまじえて3台の乗り比べを行っている。

 

「バンクの多いモトクロスコースを攻めると楽しい。車体がしっかりとしているから無理がきく。エンジンは(他の2台がトルク重視なのに対して)2ストのようにシャープな吹け上がり」とWR400Fを評価。また、YZ400F譲りのサスペンションは『ジャンプも難なく跳べるがエキスパート向き」とある。

 

セル付きWR250Fになっても、モトクロッサーと共通といえるフレームやサスペンションの剛性感は健在。卜レール、エンデューロレーサーの計7台で比較をした2005年1月号では、「高い剛性がエンジンのパワーを支えるのでハイスピードが得意」と評価されている。また「パワーが売りのマシンなので、マディは決して得意じゃない。でも、アクセルを開け続ければ高い安定感で突き進むことができる」という。足着き性の比較では、998mmというシート高が不利、ポジションも大柄というコメントを発見できる。

 

時は流れて2009年3月号では、登場したばかりのシェルコSE250i-FやハスクバーナTE250、そしてKTM250EXC-Fの3台とWR250Fを比べた。このときのWR250Fは08年型。シート高は990mmに改善されているなど、細部に渡る熟成が積み重なっている。だがライバルのユーロファイターたちはKTM以外、フューエルインジェクションを採用するなどの新しさを取り入れている。毎年リファインを加える海外メーカーに対して、WR250Fはやや進化のペースダウンが否めない印象だ。ただ信頼性は抜群といえ、「エンジンオイルさえ入っていれば大丈夫」。また07年に力ムシャフトが低中速向きになったので「他車と比べてオールマイティな乗り味」とテストライダーの評。WR-Fと同じDOHCとなってパワフルな味つけとなったKTM250EXC-Fとは対照的な進化だ。

 

時代によって、またライバルたちの動向によってもWR-Fの評価は変わってきた。だが、ライバルたちからは、常にナンバーワンのエンデューロとして一目置かれ、ベンチマークとしての存在感を持つマシンであることに変わりはない。

 

 

他社より一歩先のノウハウと
ベストバランスの優位

エンデューロレーサーながらトレールバイクにも似た汎用性の高さゆえに、WR-Fはさまざまなバイクと比べられてきた。本誌は2005年にCRF250X、KTM250EXC-R、GASGASEC250、KTM525EXC-R、XR250、そしてKLX250の計6台とWR250Fを比べた。そのときはキャラクターの違いこそあれ、トレール2台を凌駕する性能はもちろん、ヨーロピアンに引けを取らないパワフルな走破性など、エンデューロでの優位性をWR250Fは持っていたといえる。

外国車レーサー勢の包囲網

登場から10年近くが経ち、WR-Fの5バルブエンジンにも見慣れた感が否めない。おそらく、多くのライダーが乗り継いでいるため目新しさがないのだ。加えてKTMやハスクバーナといったヨーロピアンたちが次々とモデルチェンジする中、WR-Fだけはエンジンを作り替えていない。戦闘力のアップや信頼性以上に、見る者、触れる者、そして乗る者を驚かせる魅力が新しいWR-Fには必要ではないだろうか。

 

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