掲載日:2009年12月07日 特集記事 › 日本最長のダートを食む「四国剣山」
2009年8月1日発行 月刊ガルル No.280より記事提供
写真/長谷川徹 文/菅野真司
四万十川を称して「日本最後の清流」。日本国中どこを探しても、これほど清い流れはないということか。たしかに心まで洗ってくれる、透明感にあふれた清流だ。しかしこの「日本最後の」というフレーズが、どうも気にくわない。
真偽のほどが疑わしいじゃないか、ということじゃない。これほど美しい自然に対して、順位だとかランクだとか、そういうものを押しつけてアピールしようというような、もっとはっきり言えば商業的な作為が絡んでいるような、そんな濁りが感じられてしまうからだ。
流れの透明感だけでなく、周囲に原風景が残されていること。そして遠い山とのコントラスト。昔は、どこの川だってそうだったじゃないか。せせらぎが、そう語る。人は水のあるところを選んで生活を営んできた。その一方で、氾濫を恐れて流れをコントロールしようとしてきた。どこまでが自然との共生で、どこまでが自然破壊なのか、それがわからない。わからないけど、自分なりの意見は持っておかなければ。沈下橋の中央でバイクを止め、清流を見下ろしながら考えてみたけれど、頭の中はまとまらなかった。
橋のたもとで、タクシーが止まっている。どうやら僕が渡るのを待っているようだ。あわててヘルメットを被り、エンジンをかけて向こう岸へ。渡ってきたタクシーも、僕の脇で止まり、観光客らしいおじさんが2人、にぎやかに降りてくる。
「いやぁ、マイナスイオンやね、気持ちがええわ」と笑いかけられ、愛想笑いを返した。我ながら、不自然な感じはなかったと思うけど、どうだっただろうか?
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