【Page3】87.7kmのその先にさらに癒される自然があった

掲載日:2009年12月07日 特集記事日本最長のダートを食む「四国剣山」    

2009年8月1日発行 月刊ガルル No.280より記事提供
写真/長谷川徹  文/菅野真司

日本最長のダートを食む

四国剣山

 

87.7kmのその先に
さらに癒される自然があった

阿波・讃岐・伊予・土佐の各国は、山という地理的な条件によって隔てられることで、それぞれ独自の色に染まっていった。ただ、海に面していて険しい山がある、という条件は四国共通だ。

 

だから、現在でも県境をまたぐ国道は、どこも険しい。地図上の感覚で走り始めると、想像よりもずっと時間がかかる。時に、国道であることを疑いたくなるような、舗装されていることが不思議に感じられるような、そんな道を延々と往くことになる。その先に、山深さとはまた違った豊かな自然が広がっていることを知らなければ、心が折れてしまいそうになる道だ。

 

どうせなら、舗装しなくてもよかったのに。そんなことは、口が裂けても言えない。地元の人たちの生活とこの道は、切っても切れない。前を走るスローペースの軽トラックがウインカーを付けて脇に寄ってくれた。左手を挙げて御礼の気持ちを表しつつ抜く。車間距離は十分に空けていたつもりだけど、だいぶ手前から気付いていてくれたんだろう。

 

ふと、剣山スーパー林道の案内看板の中に、オフロードバイクの姿が描かれていたのを思い出した。デフォルメされたバイクに跨ったライダーが笑っている、かわいい絵だった。われわれオフロードライダーを歓迎してくれる気持ちが伝わってきて、心がとても暖かくなった。林道を走っているときには、「走らせてもらっている」という気持ちを忘れていないつもりだったけど、舗装国道に入ったところで、ちょっと謙虚さを失っていたのかもしれない。アクセルをかなり緩めても、軽トラックに追いつかれることはないはずだ。

 

 

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索