取材協力/アジアクロスカントリーラリー日本事務局 取材・文/宮崎 大吾
■大会名称
第19回 アジアクロスカントリーラリー2014
■開催期間
2014年8月9日(タイ パタヤ)~15日(カンボジア プノンペン)
■公認
国際モーターサイクリズム連盟(FIM)、国際自動車連盟(FIA)、タイ王室自動車連盟(RAAT)
■主催
オルティブタイランド、R1ジャパン
■協力
タイ国政府観光庁、パタヤ市、サケオ市、カンボジア政府
■お問い合わせ(電話)
アジアクロスカントリーラリー日本事務局(03-5911-3844)
2015年大会はタイとミャンマーで開催されることが発表され、多くのライダーから注目されている『アジアクロスカントリーラリー』。今回もライダーとして初挑戦した筆者の体験を元に、参戦ハウツーをご紹介。コマ図やトリップメーターの読み方をお伝えしましょう。
ラリーの醍醐味のひとつが、コマ図を読み解くナビゲーション。4輪は「コドライバー」と呼ばれるナビ専用選手がいるため、ドライバーは運転に専念することができる。コドライバーは先のコマ図情報を読み上げ、曲がる方向や路面状況をドライバーに伝える。しかし2輪選手はすべての作業を自分でやらなくてはいけない。つまりナビゲーション能力とライディングスキルの両方を持っていなければ完走できないのだ。
「マップホルダー」という専用電動ケースに、ロール状のコマ図を収納し、競技中も自分でナビゲーションしなくてはならない。4輪ドライバーはブック状のマップを渡されるのだが、2輪用はマップホルダーに巻き付ける長さの制約もあり、コマ図を省略することもあるという。従って、よりナビゲーションが難しいとも言える。
ここで筆者の経験を元に振り返ってみよう。まず毎晩、主催者から、翌日のルートマップを受け取る。一昨年まではロール状ではなかったため、各紙を切り揃えてロール状につなぎ合わせる作業が必要だったので、だいぶ楽になったようだ。
さて、受け取ったマップは1コマずつチェックしていく。筆者は「!!!」などのコーションマークなど注意が必要な箇所や、分岐が多くて間違いやすそうなコマを蛍光ペンでマーキングして作業を終了していた。後日、優勝した前田啓介選手にお話を伺ったところ、事前の準備の仕方がまるで違っていたことを知った…。
前田選手は1日分のルート(全コマ)を、実に4~5回見ながら完走(もちろん頭の中のイメージで)していたと言う。
「難しい箇所は手書きで注意書きしたり、頭の中で想像しておきます。コース全体を通して覚えておくと、現場でも思い出すことができて、先読みもできるので、パニックになることが少ないんです。多少のミスコースはありますけど、致命的なタイムロスはなかった。池町選手も4~5回見ているはずですし、みんな遊んでいるようで、入念に準備しているんですよ(笑)」
コマ図がすべての情報元であるラリー。ライダーはマップの準備、取り付けも全部自分でおこなう。競技中はナビゲーションをしながら、ダート路面を攻略する。市街地を走るリエゾンももちろんコマ図を読みながら走行する。この醍醐味は2輪ラリーライダーでしか味わえないものであり、決して楽ではないが、それに挑むこと、完走する価値の大きさと、他に得難い充実感こそが最大の特権だと思う。
しかし、そのコマ図を全面的に信頼しなくてはならない競技だからこそ、より注意深く接する必要がある。筆者がラリー参戦前に国際ラリーストから教わった、コマ図の読み方のコツを紹介しよう。
「コマ図作成者がどこで距離を計測しているのか?(入り口付近か否かで数メートルの誤差が生まれる) 距離補正しながらも、作成者のコマ図の書き方のクセを覚えよう!」
主催者の事情で、途中でルート作成者(車)が変わっていたりすると少し厄介だ。数メートルの誤差がミスコースに繋がる。
「コマ図のなかで100%信頼していいのは何だと思いますか? それは看板です」
コマ図を作成しているのは人間だから「大きな樹」「登り坂」「細い道」などは解釈次第で変わってしまう。しかし建造物は誰が見ても間違いのないもの。だから走行中に確認すべきなのは、看板などの建造物、ということになる。
準備不足もあり、実は筆者がマップホルダーとトリップメーターに触れたのは、なんとラリー初日。急いで車検を受けてスーパーSS(SS1のスタート順を決めるための極短いSS)に出たので、マップの読み方もメーターの作動の仕方も分からない状態でスタートしてしまったわけだ。いま思うとかなり無茶だが、他の競技者に聞くなどしてなんとか必要最低限の操作を覚えた。
もっともベーシックな作業としては下記のとおり。
・マップを電動スイッチで送る(次のコマ図を表示させる)
・マップに記載されている距離(総距離と区間距離)と、トリップメーターの距離を確認する
トリップメーターは2個装着するライダーが多い。ひとつは総距離確認用で、もうひとつは非常用もしくは区間距離表示用にすることができる。
距離の見方は人それぞれだ。大きく分けて2通りある。
前田選手に話を聞くと、コマ図はひとつひとつ確認するが、区間距離は見ずに頭の中でイメージするのみだと言う(直線のみのコマ図を無視するライダーもいるが、前田選手は違うようだ)。SS中にいちいちメーターをリセットする必要もなく、タイムを稼ぐことができるメリットがある。トリップメーターはひとつでも足りるが、もう1個は故障などの予備用として持っておくと安心。
筆者の場合はラリー初体験だったこともあり、ミスコースや転倒などのリスクを避けるため、小栗氏のアドバイス通りに1コマずつ区間距離を確認しながら進んでいった。つまり、総距離メーターを確認しながら、区間距離専用のメーターも確認し、1コマずつ0kmにリセットしていた。必然的に速度が落ちるため上位進出はのぞめないが、確実にゴールしたい初心者の場合は有効な方法だったと思う。
本記事で紹介している筆者が使用した機材は、ハスクバーナ東名横浜で購入・装着することが可能だ。ICOと同じ電源、リモコン、センサーのコネクタを利用して、配線加工なしでICOからrc-7に取り替えることが可能なICOコンパチモデル(本体のみ¥22,800)も発売中。購入を検討している方は直接お問い合わせください。※表示価格はすべて2015年4月現在(消費税込)です
『F2R Rally Electric Road Holder 730』¥43,200(税込)
『F2R Lighting kit for 730』¥4,860(税込)
『rc-7』¥19,800 (税込)
ハスクバーナ東名横浜
問い合わせ電話番号/042-850-6371